障害児支援の現状分析と質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201516042A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児支援の現状分析と質の向上に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-身体・知的-一般-011
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 温(筑波大学 人間系)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 正仁(うめだ・あけぼの学園)
  • 内山 勉(国立病院機構・東京医療センター)
  • 米山 明(心身障害児総合医療センター)
  • 松葉佐 正(熊本大学附属病院・重症心身障害学寄附講座)
  • 森地 徹(筑波大学 人間系)
  • 大村 美保(筑波大学 人間系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
児童発達支援事業(児童発達支援センターを含む)と放課後等デイサービスは近年急増し、その実態解明が喫緊の課題である。本研究は、これらのサービスの業務実態の把握を行い、現状と課題を検討することを目的とした。さらに、この知見をもとに、これらの障害児支援サービスの質の向上のあり方を解明し、既存のガイドラインの見直し、および、障害福祉サービス等の報酬改定に資する成果を示すことを目的とした。
研究方法
本研究は、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業の事業所に対する質問紙調査とタイムスタディ調査の2つからなっている。質問紙調査では、全国の事業所のうち20%に該当する1,924箇所を抽出し、質問紙による郵送自記式調査を実施した。調査項目は、事業所の基礎情報、利用者の状況、職員の状況、関係機関との連携実態などで構成されている。調査期間は2015年12月から2016年1月にかけて実施した。タイムスタディ調査は、児童発達支援事業(3箇所)、放課後等デイサービス(4箇所)について、職種などを勘案し合計66名の職員に対して実施した。調査期間は2015年12月から2016年2月にかけて実施した。
結果と考察
質問紙調査では、667事業所(回収率36.1%)から回答を得た。質問紙調査から得られた知見は、児童発達支援事業では、医療型および一部の福祉型では公立が多く、職員体制は、保育士・児童指導員の配置が多いこと、3、4歳から保育園との併行通園をしている児童が多いことから、保育所等訪問支援との地域連携の重要性が示された。家族支援は約80%の事業所で実施されており、支援内容の分析に関しては今後の研究課題である。放課後等デイサービスでは、民間立がほとんどで、定員は10名以下が多いことが示された。週6回利用している児童がいる一方で、週1,2回の利用がもっとも多いことが示された。利用児童の状況は、知的障害、発達障害が多く、小学生が多かった。
タイムスタディ調査から得られた知見は、放課後等デイサービスにおける共通業務では送迎時間の長いことが示された。個別業務では、行動障害への対応が長く、コミュニケーション時間も長いことが示された。レクリエーションは放課後等デイサービス・児童発達支援事業とも、集団支援の方が個別支援よりも多くみられた。放課後等デイサービスでは利用児童の多様性に対応するために、児童発達支援事業に比べて、注意時間に労力が割かれていた。
結論
本研究は、児童発達支援事業と放課後等デイサービスに対して、質問紙による全国調査と7箇所の事業所における詳細なタイムスタディ調査の2つの調査により、実態を解明し、今後の制度において必要な課題を明確にすることを目的とした。2事業とも、職員体制の脆弱さ、併行通園の児童の多さ、などの課題が明らかになり、一般保育所との地域連携、家族支援といった障害児・家族への地域での積極的な支援体制の必要性が示された。この2事業の利用者は知的障害・発達障害が多い一方で、重症心身障害児や難聴重複障害児に対しての支援の必要性の高さも示された。タイムスタディ調査からは、2事業とも個別支援と集団支援とのバランスの問題、利用児童の多様性への対応、支援時間以上に注意時間にかかる労力の大きさなどが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201516042C

収支報告書

文献番号
201516042Z