難治性稀少部位子宮内膜症(肺・胸膜子宮内膜症、尿管・膀胱子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症)の集学的治療のための分類・診断・治療ガイドライン作成

文献情報

文献番号
201510081A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性稀少部位子宮内膜症(肺・胸膜子宮内膜症、尿管・膀胱子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症)の集学的治療のための分類・診断・治療ガイドライン作成
課題番号
H27-難治等(難)-一般-014
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
大須賀 穣(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 甲賀 かをり(東京大学 医学部附属病院 )
  • 原田 省(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座 生殖機能医学)
  • 北脇 城(京都府立医科大学・女性生涯医科学)
  • 北出 真理(順天堂大学・産婦人科学)
  • 楢原 久司(大分大学医学部・産科婦人科学)
  • 片渕 秀隆(熊本大学・産科婦人科学)
  • 中島 淳(東京大学・呼吸器外科学)
  • 栗原 正利(日産厚生会玉川病院呼吸器外科・気胸研究センター)
  • 堀江 重郎(順天堂大学・泌尿器外科学)
  • 渡邉 聡明(東京大学・外科学)
  • 吉村 浩太郎(自治医科大学・形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,877,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子宮内膜症(エンドメトリオーシス)は子宮内膜類似の組織が子宮以外に異所性に増殖・発育する疾患である。一般の子宮内膜症は卵巣、骨盤腹膜、ダグラス窩に発育し、月経痛、慢性痛、不妊症、卵巣嚢胞を惹起し、産婦人科診療の対象となる。これとは別に、まれに肺・胸膜膀胱、膀胱・尿管、腸管、臍などの臓器に子宮内膜症が発症することがある。これらのまれな部位の子宮内膜症は、発症機序、臨床的取り扱いなどが一般の子宮内膜症と大きく異なる点が多い。これらの子宮内膜症は異所性子宮内膜症などとも呼ばれていたが統一した呼称として正式のものはなかった。近年、関連学会によりこれらの稀な子宮内膜症に対して、“稀少部位子宮内膜症”という用語が新たに制定され、これらのまれな子宮内膜症の総称として使用されることになった。稀少部位子宮内膜症は難治性の疼痛、気胸、水腎症、イレウス、大出血などの症状を惹起し、女性のQOLを著しく低下させるにも関わらず、一定の治療ガイドラインがない。
本研究の目的は本疾患の治療実態を網羅するために、日本エンドメトリオーシス学会が中心となり、産科婦人科、胸部外科、泌尿器科、消化器外科、形成外科の協力を得て全国調査を実施し、本邦における本疾患の実態を把握することにした。
研究方法
対象は、2006年~2015年の間に各施設で経験した腸管子宮内膜症、膀胱・尿管子宮内膜症、胸腔子宮内膜症、臍子宮内膜症であり、その経験した症例数について、一次アンケートで調査を行った。また、稀少部位子宮内膜症より悪性化したと思われる症例の症例数の調査も行った。
 また、一次アンケートにて回答のあった施設に対して、2次アンケートの送付を行った。
結果と考察
それぞれの一次アンケート回収率は34~55%と高率の回収率を得た。また、症例を経験した施設数は、産婦人科では、腸管子宮内膜症は107施設(49%)、膀胱尿管子宮内膜症 89施設(37%)、胸腔子宮内膜症109施設(46%)、臍子宮内膜症(27%)であった。また、消化器外科では、148施設(37%)、泌尿器科103施設(25%)、呼吸器外科233施設(66%)、形成外科38施設(23%)であった。
2次アンケートの内容は、年齢、病歴、診断、治療経過、他科との連携などについてである。2次アンケートの調査結果としては、腸管子宮内膜症は、672症例(産婦人科405例、消化器外科267例)、膀胱・尿管子宮内膜症は、203例(産婦人科156例、泌尿器科47例)、胸腔子宮内膜症は、495例(産婦人科185例、呼吸器外科310例)、臍子宮内膜症は、110例(産婦人科88例、形成外科22例)の報告があった。総数1480例もの症例の報告が得られた。
 現在、これらを集計中である。これらの結果をもとにガイドライン作成に向けコンセンサスの形成していく。
 今回、稀少部位子宮内膜症のうち、腸管子宮内膜症、膀胱・尿管子宮内膜症、胸腔子宮内膜症、臍子宮内膜症に絞って、全国調査を行った。のべ5450施設にアンケートを送付し、稀少部位子宮内膜症につき、これまで類を見ない大規模な調査を行った。
結論
回、稀少部位子宮内膜症症例について全国規模でアンケート調査を行った。アンケート内容は、患者背景、診断、治療、複数診療科の連携にまで及ぶ。今回回収した多数の症例を集計、解析することにより、新たな知見が得られ、ガイドライン作成に資することを確信している。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201510081Z