稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201510053A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-069
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学医学部皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 裕美(川崎医科大学医学部皮膚科学)
  • 秋山 真志(名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学分野)
  • 池田 志斈(順天堂大学大学院医学研究科皮膚科学・アレルギー学)
  • 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 宇谷 厚志(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部衛生学講座)
  • 澤村 大輔(弘前大学大学院医学研究科皮膚科学)
  • 清水 宏(北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野)
  • 下村 裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
  • 鈴木 民夫(山形大学医学部皮膚科学講座)
  • 玉井 克人(大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座)
  • 照井 正(日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
  • 橋本 隆(久留米大学皮膚細胞生物学研究所)
  • 秀 道広(広島大学大学院医歯薬保健学研究院皮膚科学)
  • 武藤 正彦(山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野)
  • 山上 淳(慶應義塾大学医学部皮膚科学)
  • 横関 博雄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
17,402,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改訂を目的とする。
研究方法
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 診療ガイドライン(2010年)に基づいた治療成績を検討した。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)]「類天疱瘡診療ガイドライン作成委員会」を組織し、ガイドライン策定作業を行った。
[膿疱性乾癬] 臨床調査個人票の改訂、新しい治療のエビデンスに基づいた診療ガイドラインの普及と改訂の準備に努めた。
[表皮水疱症] 新しい重症度判定基準に記載された皮膚症状および皮膚外症状に対応した治療法ガイドライン(案)を作成した。
[先天性魚鱗癬] 全国の46施設に依頼して、重症度、QOLなどの調査を行った。
[弾性線維性仮性黄色腫]全国的疫学調査を行った。またガイドライン作成委員会を発足させた。
[眼皮膚白皮症] 眼皮膚白皮症1~4型とHermansky-Pudlak症候群1型およびその他の遺伝子変異について検討した。
[特発性後天性全身性無汗症] 重症度とQOLの相関関係について検討するとともに、無汗症に特徴的な自覚症状についても調査した。
[遺伝性血管性浮腫] 国際ガイドラインを参考に、海外との治療体制の相違点を抽出した。またレジストリ構築の準備を行った。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 臨床調査個人票データベースなどを活用して、膿疱性乾癬の治療法の組み合わせ、合併症の有病率などについて検討した。
[医療情報提供と社会啓発] 患者会のサポートを行った。皮膚難病に関する情報共有を目的とした国際シンポジウムを開催した。
[生体試料蓄積] 独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
[統括的ゲノム解析] 天疱瘡患者群と健常人コントロール群のDNAデータを統計学的に処理し、発症への関与が示唆されるSNPを抽出した。
結果と考察
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 慶應義塾大学病院で初期治療が行われた天疱瘡62例について治療成績が調査された。寛解(プレドニゾロン換算で10mg/日以下で2ヶ月間病変がない状態)が導入できたのは58例(93.5%)であった。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 水疱性類天疱瘡(BP)、粘膜類天疱瘡(MMP)、後天性表皮水疱症(EBA)を包含するガイドライン案を作成した。
[膿疱性乾癬] 診療ガイドラインに、新しい治療法である生物学的製剤、顆粒球・単球吸着療法などを組み入れて改訂した。臨床調査個人票を改訂した。
[表皮水疱症]診療ガイドライン(案)の骨子がまとめられた。
[先天性魚鱗癬] 全国疫学調査の結果、道化師様魚鱗癬、Netherton症候群、など各型の患者実数が把握された。
[弾性線維性仮性黄色腫] 全国の罹患の現状が把握された。日本における重症患者は21例で、海外と比較して重症度が有意に低いことがわかった。
[眼皮膚白皮症] 147例の眼皮膚白皮症および疑い患者のサブタイプ解析の結果、以前の報告とほぼ同様、4型、1型の順に多いことがわかった。ただし42例(28.6%)では、原因遺伝子は不明のままである。
[特発性後天性全身性無汗症] 中等症以上でDLQI(dermatology Life Quality Index)の障害が目立っており、本症はアトピー性皮膚炎や多汗症と同等以上にQOLが障害されることが示された。
[遺伝性血管性浮腫]国際ガイドラインを翻訳し、原著者の承諾を得て日本アレルギー学会誌で発表した。原発性免疫不全症候群支援団体によるレジストリを改修して使用できる見通しが立った。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] データベースを使用した解析で、膿疱性乾癬(汎発型)における発症初期の治療の組み合わせが確認できた。
[医療情報提供と社会啓発] ウェブサイトでの情報更新、各患者の会のサポートを行った。岡山にて難病診療に関する国際シンポジウムが開催された。
[生体試料蓄積] 新たな疾患の生体試料を集積する一方、生体試料バンクのウェブサイトを充実させた。
[統括的ゲノム解析] 新たに提供された患者の試料からゲノムDNAを抽出し、SNPアレイで解析した。過去のデータと合わせて統計学的処理を施行している。
結論
本年度は既存の指定難病(天疱瘡、表皮水疱症、膿疱性乾癬)の臨床調査個人票の見直し、7月から拡大された指定難病(類天疱瘡、先天性魚鱗癬、弾性繊維性仮性黄色腫、眼皮膚白皮症、特発性後天性全身性無汗症、遺伝性血管性浮腫)における診断基準と重症度判断基準の整備と検証、ガイドライン作成に向けた準備を重点的に行った。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-07-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201510053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,622,000円
(2)補助金確定額
22,622,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,847,722円
人件費・謝金 7,674,186円
旅費 1,292,846円
その他 1,588,757円
間接経費 5,220,000円
合計 22,623,511円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-13
更新日
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