文献情報
文献番号
201510022A
報告書区分
総括
研究課題名
HAM及びHTLV-1関連希少難治性炎症性疾患の実態調査に基づく診療指針作成と診療基盤の構築をめざした政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-026
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
出雲 周二(国立大学法人鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 岡山 昭彦(宮崎大学・医学部)
- 中村 龍文(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 高嶋 博(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
- 中川 正法(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
- 久保田龍二(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
- 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学大学院)
- 藤田 次郎(琉球大学大学院 医学研究科)
- 川上 純(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 鴨居 功樹(東京医科歯科大学 医学部)
- 中尾久美子(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
- 松浦 英治(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
13,118,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1986年のHAMの疾患概念提唱を契機に、各診療科の現場でHTLV-1キャリアに生じている種々の慢性炎症が注目され、気管支肺胞炎、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、多発性筋炎、ぶどう膜炎、慢性甲状腺炎などの慢性炎症性疾患とHTLV-1との関連が報告された。しかし、これらの難治性炎症性疾患は各診療領域で独自にすすめられており、慢性関節リウマチ、多発性筋炎、シェーグレン症候群、慢性肺疾患など、それぞれの大きな疾患枠の中にマイノリティーとして埋もれており、適切な疾病対策や研究の推進の妨げになっていた。また、感染者のごく一部にのみ発症する希少性や地域偏在性、疾患の多様性のために集約的な研究が困難で、その実態と発症病態の解明が待たれている。本研究ではHAMをはじめとするHTLV-1関連炎症性疾患を「HTLV-1感染症」として包括的に捕らえ、自験例の再調査を通して各疾患に共通の問題点とその対策を検討し、診療指針作成など、HTLV-1感染症総合的対策に資する診療基盤を整備する。
研究方法
本研究ではHTLV-1高浸淫地域医療機関で、長期間の診療・研究実績を有する研究者による研究体制を構築し、それぞれの研究機関で蓄積されている患者診療情報データベースを用いて、①HAMの長期予後に関する後方視調査と治療の検証、②非HAM HTLV-1関連希少炎症性疾患の後方視的、横断的検索、③HTLV-1陽性難病患者の診療実態調査をおこない、各疾患の問題点とその対策を検討した。2年目の本年最終年度は6月17日に第1回班会議を開催し、各班員の分担疾患についてこれまでの研究の流れ進捗状況について報告し、目標・成果物の達成に向けた道程を確認した。また、11月23日に岡山班と合同で班会議を開催し、目標・成果物の達成に向けた進捗状況を確認し、対象の疾患について現時点での診療の指針となるマニュアル、手引きなどの作成を行った。
結果と考察
2年目最終年度の成果として、HAMについては、患者データベースの解析や「HAMねっと」を活用した疫学調査により得られた結果を踏まえ、全国のHAMの臨床家・研究者12名でHAM診療マニュアル改訂版の策定委員会を組織して、診断基準、運動障害度、急性期の定義、診断アルゴリズムについて議論し改訂事項を決定、HAMの臨床経過についての新章を追加し、「HAM診療マニュアル改訂版」を発行,全国のHAM診療施設に送付した。また、重症度分類については「Osameの運動機能障害度」がHAMの進行や治療による改善をよく反映し、海外でも認知度が高いため、当面これをもちいることが妥当であると判断された。非HAM HTLV-1関連希少炎症性疾患に関して、HTLV-1(関連)ぶどう膜炎症例の臨床データをもとに「HTLV-1関連ぶどう膜炎の診療の手引き」を作成した。また、シェーグレン症候群における抗HTLV-1抗体陽性患者の特徴と予後を後方視的に解析し、論文として報告、「HTLV-1陽性シェーグレン症候群の診療ガイドライン」を作成した。炎症性筋疾患についても多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎で20-30%と高率にHTLV-1陽性であること、HAM患者中に筋炎合併例が存在し、特徴的な筋力低下のパターンを示すことを見いだした。また、HTLV-1筋炎の臨床病型として傍脊柱筋の障害が顕著なaxial myopathyを論文発表した。琉球大学入院患者の糞線虫感染とHTLV-1感染の関連を検討し、英文論文として発表した。自験例の検討および文献収集を行い「HTLV-1陽性の糞線虫症患者診療の手引き」を策定した。HTLV-1陽性難病患者については、宮崎大学、長崎大学が協力してHTLV-1陽性関節リウマチ患者のコホートの解析をすすめ、ATL発症リスクや生物学的製剤などの治療効果についての検討結果と最新の文献的報告をもとに「HTLV-1陽性関節リウマチ患者診療の手引」を作成した。リウマチ学会、HTLV-1学会における検討、全国のリウマチ診療施設よりパブコメを得て、ホームページで公表予定である。
結論
本研究により、HTLV-1陽性者に生じるHAMをはじめとする種々の慢性炎症性疾患を「HTLV-1感染症」として包括的にとらえ、HTLV-1感染症総合対策に資する診療基盤として、各対象疾患の診療をサポートするマニュアル、手引きが整備された。
公開日・更新日
公開日
2016-07-19
更新日
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