食事摂取基準を用いた食生活改善に資するエビデンスの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201508024A
報告書区分
総括
研究課題名
食事摂取基準を用いた食生活改善に資するエビデンスの構築に関する研究
課題番号
H26-循環器等(政策)-指定-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 柴田 克己(滋賀県立大学 人間文化学部)
  • 勝川 史憲(慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター)
  • 奥田 昌之(山口大学 大学院理工学研究科)
  • 朝倉 敬子(東京大学 大学院情報学環)
  • 大久保 公美(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 村上 健太郎(滋賀県立大学 人間文化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
12,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
幼児・小児の栄養素等の摂取量の資料は乏しく、食事摂取基準の策定において質の高い資料が求められているため、主に次の2つの研究を実施した。
(1)小中学生の食事摂取量詳細調査の集計・解析
(2)保育所に通所する幼児の食事摂取等調査の実施
研究方法
(1)小中学生の食事摂取量詳細調査の集計・解析
昨年度(2014年度)、全国12地域(青森、山形、茨城、栃木、富山、滋賀、島根、愛媛、高知、福岡、佐賀、鹿児島)の公立小学校に通う3年生389名、5年生392名、および公立中学校に通う2年生409名、合計1190名を対象に、2日間の食事記録調査および質問票調査を実施した。本年度(2015年度)はデータ化されたその食事記録の点検、栄養価計算のための作業を行い、主要栄養素について、その摂取分布ならびに食事摂取基準等との比較における過不足状況を算出した。3日間の食事記録を完遂した小学3年生309名、5年生320名、中学2年生281名の910名(調査対象者の76%)を解析対象者とした。
(2)保育所に通所する幼児の食事摂取等調査の実施
2015年秋に、全国24道府県において保育園に通う1歳7か月~6歳の幼児を対象に、食事摂取状況を把握するための調査を行った。それぞれの調査地において年齢階級、性別を考慮して32人の対象者を得ることを目標とし、合計753人の幼児の研究協力を得た。研究対象者には、3日(3歳未満は1日)の半秤量式食事記録および簡易型自記式食事歴法質問票(3歳以上のみ)による食事調査、身体計測・身体強度測定、生活状況に関する質問票調査を行った。
結果と考察
(1)小中学生の食事摂取量詳細調査の集計・解析
主な結果として、①学校給食のある日のほうが食事摂取基準指標値を満足する者の割合が多い栄養素が大部分を占めた、②食事摂取基準への適合度の高い者ほど豆類・野菜類・果実類の摂取量が多く、炭酸飲料・乳酸菌飲料の摂取量が少なかったなど、公衆栄養施策上の重要な知見が多数得られた。
(2)保育所に通所する幼児の食事摂取等調査の実施
本年度内ですべての調査は完了し、食事記録のデータ化ならびに内容のチェックを進めている。本年度は、調査実施状況ならびに簡易型自記式食事歴法質問票のデータを集計して報告した。
結論
(1)「小中学生の食事摂取量詳細調査の集計・解析」は、わが国の小中学生の習慣的な栄養素等摂取量を知るための基本的な記述疫学研究である。単なる摂取量の分布だけでなく、平日・休日の影響、栄養素・食品群間の関連など、詳細な集計・解析に耐えるデータを収集し、解析しえたことは、この分野における学術論文が乏しく、そのために食事摂取基準の年齢区分のなかの小児における策定を困難にしている状況において、食事摂取基準の次回改定時に極めて重要な知見を提供できたものと考えられる。
(2)「保育所に通所する幼児の食事摂取等調査の実施」は、わが国の幼児の習慣的な栄養素等摂取量を知るための基本的な記述疫学研究である。わが国では類似の調査は過去にほとんど存在せず、そのために食事摂取基準の年齢区分のなかの小児における策定を困難にしている状況がある。本研究は高度かつ詳細な調査デザインが用いられたため、食事摂取基準の次回改定時に重要な知見を提供するものであると期待される。

公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201508024Z