文献情報
文献番号
201507007A
報告書区分
総括
研究課題名
がん医療ネットワークナビゲーターによるがん医療情報提供強化プロジェクト:情報が確実に手元に届く地域連携モデルの構築
課題番号
H26-がん政策-一般-007
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
西山 正彦(国立大学法人群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 片渕 秀隆(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
- 桑野 博行(国立大学法人群馬大学 大学院医学系研究科)
- 調 憲(国立大学法人群馬大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,166,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 調 憲
九州大学大学院医学系学府 消化器・総合外科学(平成21年4月1日~27年10月31日)→ 群馬大学大学院医学系研究科 肝胆膵外科学(平成27年11月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
多くの患者にとって、がんとの闘いはすべてが未知の体験である。“知る”ことは医療と生活を選択するための基盤であるが、情報提供体制は十分ではない。診療と社会生活に関わる様々な情報を確実にすべての患者に伝える仕組みの確立は、がん患者が強く望む危急的課題である。その実現は、「がん対策推進基本計画」の全体目標である「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」、さらには分野別施策と個別目標となっている「地域の医療・介護サービス提供体制の構築」、「がんに関する相談支援と情報提供」に大きく貢献することになる。
本研究では、がん診療連携機能の強化を大目的とし、地域がん医療ネットワークに精通した「がん医療ネットワークナビゲーター」の養成を試み、これを地域ネットワーク内に配置・機能させる情報提供の強化モデル事業を展開し、満足できるがん医療と社会生活を送るために適切な情報をすべての患者に確実に伝える仕組みの構築を目指す。
本研究では、がん診療連携機能の強化を大目的とし、地域がん医療ネットワークに精通した「がん医療ネットワークナビゲーター」の養成を試み、これを地域ネットワーク内に配置・機能させる情報提供の強化モデル事業を展開し、満足できるがん医療と社会生活を送るために適切な情報をすべての患者に確実に伝える仕組みの構築を目指す。
研究方法
本研究は、がん医療ネットワークナビゲーターの、1)教育プログラムの確定とその遂行のための基盤整備, 2) 教育の実践と資格認定,及び 3)資格認定者の現場配置によるモデル事業の実施と有用性評価、の3ステップからなる。平成26年度には、育成プログラムを確定し、教育ツール、研修、実習受け入れなどの準備を終了して募集を開始した。現在、座学とコミュニケーション研修を終了し、5月には実地研修を開始する予定である。平成27年度には、実際に資格認定を行う予定であったが、2016年6月には、第一期生の資格認定の見込みである。本モデル事業の評価を行うための評価委員会を立ち上げており、最終年度(平成28年度)には、実際に、がん年齢調整死亡率の低い(熊本)、高い(福岡)、中間(群馬)の3地域に「がん医療ネットワークナビゲーター」を配置して情報提供強化モデル事業を展開、効果、発展性、課題を検証して研究を総括する体制を整備する。
結果と考察
研究最終年度、平成28年6月には「がん医療ネットワークナビゲーター」が誕生する見込みである。最終年度(平成28年度)には、実際に、がん年齢調整死亡率の低い(熊本)、高い(福岡)、中間(群馬)の3地域に「がん医療ネットワークナビゲーター」を配置して情報提供強化モデル事業を展開する。地域ネットワーク内に配置・機能させる情報提供の強化モデル事業を展開し、満足できるがん医療と社会生活を送るために適切な情報をすべての患者に確実に伝える仕組みが構築できる。がんの医療とケアの面から厚生労働省の推進する医療介護、住まい、予防、生活支援サービスが身近な地域で包括される「地域包括ケアシステム」の確立に大きく寄与するとともに、がん患者の診療と社会生活に関わる様々な情報を確実にすべての患者に伝える仕組みの確立によって「がん対策推進基本計画」の推進、設定目標実現の促進に貢献するものと考えられる。
結論
本研究は、3年間で、がん診療連携機能と療情報提供体制の強化をはかるために「がん医療ネットワークナビゲーター」を養成、その実効性を評価することを目指すものである。平成26年度は、1)e-ラーニングのコンテンツを確定して収録と監修を終了、2)教育研修セミナーを、群馬、福岡、熊本でセミナーを開催し、3)コミュニケーションスキル研修の要綱とともに、4)地域のがん診療・医療サービス、医療・生活支援サービスなどの情報を、過不足なく収集・提供するための実地研修の要綱とマニュアルを作成し、研修施設、指導者の認定作業を行った。「がん医療ネットワークナビゲーター」の養成基盤が確立でき、計画通り、平成27年4月から教育プログラムを稼働させることが可能となった。今年度は京都、熊本、福岡、群馬でコミュニケーションスキル習得のための研修を行い、さらに本研究において重要な役割を果たす研修施設の理解と協力をえる体制を整備し、実地研修の内容について検討を行った。その結果、群馬、福岡、熊本県を中心に40の研修施設の参加を得ることができた。最終年度早々に第一期の認定が可能な状況になっている。最終年度にはその実際の活動状況を報告するとともに、認定に関する体制およびその活動の評価を行う予定である。
公開日・更新日
公開日
2016-06-20
更新日
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