文献情報
文献番号
201501015A
報告書区分
総括
研究課題名
社会的養護等の子どもに対する社会サービスの発展に関する国際比較研究-循環型発展プロセスの課題と文脈の分析-
課題番号
H27-政策-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
木村 容子(日本社会事業大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
- 有村 大士(日本社会事業大学 社会福祉学部)
- 藤岡 孝志(日本社会事業大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,478,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、世界各国の子ども保護サービス(日本でいう児童相談所機能)および社会的養護制度の発展に関する国際比較を通じ、各国が社会的要請や課題にどのように対応してきたのか、その教訓と課題解決のストラテジー等を収集・分析する。これから予測されうる社会的要請・ニーズや課題に加え、有効な選択肢を検討した。
研究方法
本研究では、発展過程には1)社会的発見期、2)前駆期、3)達成期、4)振り返り期といった循環があるとの仮説を含んだ分析枠組みを用いた。文献調査および現地訪問調査により、研究対象国の教訓と課題解決のストラテジーを検討した。
<文献調査>
日本語および英語、対象国における言語に長けている研究者が得られている国においては対象国の言語で発表されている文献・資料について、分析枠組みに沿ったレビューを行った。
<現地訪問調査>
各国の対応課題、対応の検討と制度化のプロセス、その評価という、子ども保護を中心としたシステムの発展過程における文脈についてヒアリングを実施した。訪問先は、研究機関・研究者、省庁、子ども保護機関、マルトリートメントに関するデータベースを管轄する機関、代表的なマルトリートメント支援機関、子どもの権利・当事者参画に関する団体・機関等とした。
本研究は、本体班と分担班で構成されている。本体班は、本研究のデザインと総合的な評価を行う。分担班は、調査対象国各国の文献資料調査と現地訪問調査を担当し、分析枠組みに準じた各国の現行子ども保護システムの発展過程における文脈の把握と分析を行った。
<文献調査>
日本語および英語、対象国における言語に長けている研究者が得られている国においては対象国の言語で発表されている文献・資料について、分析枠組みに沿ったレビューを行った。
<現地訪問調査>
各国の対応課題、対応の検討と制度化のプロセス、その評価という、子ども保護を中心としたシステムの発展過程における文脈についてヒアリングを実施した。訪問先は、研究機関・研究者、省庁、子ども保護機関、マルトリートメントに関するデータベースを管轄する機関、代表的なマルトリートメント支援機関、子どもの権利・当事者参画に関する団体・機関等とした。
本研究は、本体班と分担班で構成されている。本体班は、本研究のデザインと総合的な評価を行う。分担班は、調査対象国各国の文献資料調査と現地訪問調査を担当し、分析枠組みに準じた各国の現行子ども保護システムの発展過程における文脈の把握と分析を行った。
結果と考察
1年目の平成27年度について、本体班では、a)調査内容や方法を検討し、研究協力者や現地訪問先への各種書類を作成し、b)調査対象候補国の選定と各国の調査を担当する国内外の研究協力者および訪問先との調整等を行い、c)子ども保護システムに関する文献資料を収集しとりまとめた。分担班は、対象候補国13ヵ国・州のうち、10ヵ国・州(イギリス、フランス、スウェーデン、デンマーク、アメリカ合衆国ワシントン州およびイリノイ州、カナダ ブリティッシュ・コロンビア州、韓国、タイ、フィリピン)について調査を進め、現行子ども保護システムの全体像を把握し、その概要をまとめた。現地訪問調査を実施したのは、アメリカ合衆国ワシントン州、韓国、タイ、フィリピンの4ヵ国・州である。各訪問先のヒアリング記録を作成し、1.現行子ども保護システムの発展過程、2.代表的なマルトリートメント支援機関の現行サービスシステム、3.子どもの権利・当事者参画の現在の取り組み、4.マルトリートメントに関する既存のデータベースについて、 分析枠組みに準じ、各発展過程の文脈について内容分析した。
本年度現地訪問調査を行った国々において、そのシステムは大きく異なり、とくに直面する問題はかなり異なっていた。一方で、発展途上国であっても、日本よりも先進的と思われるシステムを積極的に導入している面もあった。そのシステムに至る課題への取り組みや振り返りのプロセス、その背景にある考え方について、厚生労働省が9月に示した新たなサービス提供の枠組みなど新たな方向性に照らし、わが国ではこれまでには重要視されていなかった点が各国の分析から抽出された。各国の試行錯誤による積み重ねに着目した本研究において、先進国、発展途上国の区別なく各国からの教訓が得られたことも大きな成果である。
2年目の平成28年度は、a)他調査対象国の現地訪問調査を通じ各国の発展過程の把握を行うとともに、b)調査対象国の言語で刊行されている文献資料を含めた文献調査による発展過程の分析結果をまとめる。最終3年目の平成29年度には、各国の文献調査および現地訪問調査の結果をあわせて、上記1. ~4.に関する子ども保護システムを中心とした子どもの社会サービスの構築について、社会的課題の発見からその対応、評価までを一連の流れとしてその文脈を総合的に分析し、教訓を見いだす。その上で、これからの日本が直面する課題やアジェンダを、日本の文脈と教訓と照らし合わせつつ析出し、社会的なとらえ方の枠組みとその要素を検討する。
本年度現地訪問調査を行った国々において、そのシステムは大きく異なり、とくに直面する問題はかなり異なっていた。一方で、発展途上国であっても、日本よりも先進的と思われるシステムを積極的に導入している面もあった。そのシステムに至る課題への取り組みや振り返りのプロセス、その背景にある考え方について、厚生労働省が9月に示した新たなサービス提供の枠組みなど新たな方向性に照らし、わが国ではこれまでには重要視されていなかった点が各国の分析から抽出された。各国の試行錯誤による積み重ねに着目した本研究において、先進国、発展途上国の区別なく各国からの教訓が得られたことも大きな成果である。
2年目の平成28年度は、a)他調査対象国の現地訪問調査を通じ各国の発展過程の把握を行うとともに、b)調査対象国の言語で刊行されている文献資料を含めた文献調査による発展過程の分析結果をまとめる。最終3年目の平成29年度には、各国の文献調査および現地訪問調査の結果をあわせて、上記1. ~4.に関する子ども保護システムを中心とした子どもの社会サービスの構築について、社会的課題の発見からその対応、評価までを一連の流れとしてその文脈を総合的に分析し、教訓を見いだす。その上で、これからの日本が直面する課題やアジェンダを、日本の文脈と教訓と照らし合わせつつ析出し、社会的なとらえ方の枠組みとその要素を検討する。
結論
本研究では、各国がそこに至るコンテキスト、特に成功や失敗を踏まえたいわば教訓を、単に文献からだけでなく政策や現場での実践等に関わっている人々から収集している。これらを集積することで、子どもの社会サービス構築の材料に光を当てて立体的な情報が集積できる。集積した情報は、わが国が政策を考える際の検討事項の材料とし、政策実施後の反省点も踏まえた施策の展開が可能となる。また、教訓を踏まえた、いわばデータベースを構築し、わが国の子ども家庭福祉、および子どもの保護領域の施策構築を支援することに役立てられうる。
公開日・更新日
公開日
2016-11-11
更新日
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