文献情報
文献番号
201447022A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオセキュリティの向上に資する基盤的研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(聖路加国際大学 公衆衛生大学院設置準備室)
研究分担者(所属機関)
- 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 森川 茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
- 安田 二朗(長崎大学 熱帯医学研究所)
- 高田 礼人(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
- 齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 横手 公幸(一般財団法人化学及血清療法研究所)
- 古田 要介(富山化学工業株式会社 綜合研究所)
- 犬塚 隆志(一般社団法人日本薬理評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
13,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国内外における生物兵器開発の歴史や未遂を含めた既知の生物テロ等に関する事例、諸外国の対策等に関する網羅的な情報収集・ 分析を実施した上で、天然痘、ぺスト、炭疽及び鼻疽等の生物テロ等で使用されうる危険性が高い病原体に関するサーべイランス体制や、迅速かつ精度の高い診断法や治療法等の在り方や現状のパイプラインについて調査・分析を行い、優先的に開発すべき診断薬や治療薬等を絞り込み、新規の診断薬や治療薬等の開発に繋げることを目的とする。
研究方法
国内外の生物テロ事例や対策について文献やデータベース情報をもとに分析を行い、優先的に検討すべき病原体・毒素を検討した。優先的に検討すべき病原体・毒素について、診断法、主に米国における対抗医薬品の開発パイプラインの網羅的な調査を行った。また、米国のバイオサーベイランス体制について調査を行った。そして、日本における生物テロ対策に使用しうる薬剤・ワクチン開発や診断薬開発に向けた国内基盤技術調査として、BSL4病原体代替病原体による感染実験系に関する研究、出血熱ウイルスの阻害薬のスクリーニング手法、iPS細胞を活用したスクリーニング手法の検討を行った。さらに、米国と、「日米バイオディフェンス研究シンポジウム」を開催し、エボラ出血熱対策を中心とした政策・研究について意見交換を行った。これらの成果と各種情勢を踏まえ、国内で優先的に開発すべき診断薬や治療薬等についての戦略的提言を検討した。
結果と考察
検討の結果、天然痘、炭疽、ウイルス性出血熱(エボラ出血熱ウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルス)、リシン、ボツリヌス毒素、野兎病について優先的に開発すべき診断法・治療法を検討すべきと考えられた。これらについて米国の開発パイプラインを一覧化した。
医薬品・ワクチン・診断薬の開発目標が明確化されることで、官民が重点的に投資すべき研究開発領域が明示され、これまで民間の投資意欲が期待できなかった生物テロ対策医薬品等開発への官民の投資が活発化し、必要な医薬品・ワクチン・診断薬の開発が促進されることが期待される。諸外国との連携による効率的な研究開発スキームが構築されることも期待される。これらにより医薬品・ワクチン・診断薬の開発に成功すれば、国民の健康安全保障の確保のみならず、「日本発医薬品」での世界の健康安全保障への貢献となる。国内技術の検討、米国で基礎研究、製品化プロセスおよび包括的な戦略の立案などに携わる関係者との意見交換から、以下の提言を行った。
①生物テロ対策薬剤の開発等としては、他国の開発パイプラインにあり、未承認であってもbest availableとして発生時には使用を検討しうる医薬品・ワクチン(具体的には炭疽菌:(曝露後投与用途としての)ワクチン(AVA)と抗体医薬のRaxibacumabまたは免疫グロブリン、天然痘:Tecovirimat (ST246)と Brincidofovir (CMX001)、 ウイルス性出血熱(特にエボラ出血熱): ZMapp, BCX-4430、ファビピラビル,(曝露後予防としての)ChAd3、rVSV-EBOV)について、国内での臨床開発を進めること、あるいはそれを確実に入手可能な準備を行うこと、かつ、事態発生時にそれを臨床研究のフレームワークの中で迅速に実施する体制を準備しておく必要がある。診断薬としてはより患者に近いところで迅速かつ大量にスクリーニングが行える診断法が求められる。②医薬品・診断薬のパイプライン開発を進める上での研究インフラとして、国内のBSL4研究施設稼働は必須である。稼働までの移行期間においては、海外研究機関との密な研究連携枠組みの構築が不可欠である。また、BSL4病原体代替病原体による実験系の構築が有用である。海外研究機関との連携においては、感染症発生時に臨床研究を行えるよう、海外フィールドでの臨床研究協力を視野に入れた連携体制が有用である。③iPS細胞といった新技術を活用した薬剤開発や診断薬開発手法のバイオセキュリティ分野での応用を検討すべきである。
医薬品・ワクチン・診断薬の開発目標が明確化されることで、官民が重点的に投資すべき研究開発領域が明示され、これまで民間の投資意欲が期待できなかった生物テロ対策医薬品等開発への官民の投資が活発化し、必要な医薬品・ワクチン・診断薬の開発が促進されることが期待される。諸外国との連携による効率的な研究開発スキームが構築されることも期待される。これらにより医薬品・ワクチン・診断薬の開発に成功すれば、国民の健康安全保障の確保のみならず、「日本発医薬品」での世界の健康安全保障への貢献となる。国内技術の検討、米国で基礎研究、製品化プロセスおよび包括的な戦略の立案などに携わる関係者との意見交換から、以下の提言を行った。
①生物テロ対策薬剤の開発等としては、他国の開発パイプラインにあり、未承認であってもbest availableとして発生時には使用を検討しうる医薬品・ワクチン(具体的には炭疽菌:(曝露後投与用途としての)ワクチン(AVA)と抗体医薬のRaxibacumabまたは免疫グロブリン、天然痘:Tecovirimat (ST246)と Brincidofovir (CMX001)、 ウイルス性出血熱(特にエボラ出血熱): ZMapp, BCX-4430、ファビピラビル,(曝露後予防としての)ChAd3、rVSV-EBOV)について、国内での臨床開発を進めること、あるいはそれを確実に入手可能な準備を行うこと、かつ、事態発生時にそれを臨床研究のフレームワークの中で迅速に実施する体制を準備しておく必要がある。診断薬としてはより患者に近いところで迅速かつ大量にスクリーニングが行える診断法が求められる。②医薬品・診断薬のパイプライン開発を進める上での研究インフラとして、国内のBSL4研究施設稼働は必須である。稼働までの移行期間においては、海外研究機関との密な研究連携枠組みの構築が不可欠である。また、BSL4病原体代替病原体による実験系の構築が有用である。海外研究機関との連携においては、感染症発生時に臨床研究を行えるよう、海外フィールドでの臨床研究協力を視野に入れた連携体制が有用である。③iPS細胞といった新技術を活用した薬剤開発や診断薬開発手法のバイオセキュリティ分野での応用を検討すべきである。
結論
生物兵器として使用されうる生物剤に対する診断薬、医薬品について、優先的に開発すべき診断薬・治療薬について検討を行った。優先的に開発すべき診断法・治療法を検討すべき病原体を整理し、国内で優先的に開発すべき診断薬や治療薬等を示し、関連して整備・検討すべき内容についての戦略的提言が得られた。
公開日・更新日
公開日
2015-05-26
更新日
-