重症薬疹における特異的細胞死誘導受容体をターゲットにした新規治療薬開発

文献情報

文献番号
201442015A
報告書区分
総括
研究課題名
重症薬疹における特異的細胞死誘導受容体をターゲットにした新規治療薬開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 理一郎(北海道大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 難治性疾患等実用化研究(難治性疾患実用化研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201442015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
重症薬疹(中毒性表皮壊死症:TEN、Stevens-Johnson症候群:SJS)は時に致死的疾患であり、高率に眼障害などの重篤な後遺症を残す。重症薬疹の発症機序についてはいまだ不明なことが多い。
重症薬疹発症における重要な現象の表皮細胞死の発生メカニズムについて、これまでアポトーシスによる細胞死であると考えられてきた。しかし最近我々は本症発症における表皮細胞死はアポトーシス以外のメカニズム(ネクロプトーシス)によって生じることを明らかにした。
臨床的観点からの成果
本研究の成果から、重症薬疹モデルマウスを用いて治療法効果を検討することができ、モデルマウス病変部の解析で発症メカニズムを明らかにすることができた。特に表皮細胞死において疾患特異的な現象が起こることはこれまで全く報告もなく、極めて画期的知見である。発症誘導する遺伝的背景の存在が予想されることから発症予見因子を明らかにすることも期待できる。さらに細胞死の機序の一部を阻害することで新規治療法の開発が可能になる。
ガイドライン等の開発
本研究はSJS/TENに対する特異的治療薬開発を主な目的としており、治療薬が開発され臨床の場において有効性が確認されるまで直接ガイドライン等の開発には結びつくものではない。しかし、本研究が基礎としている、表皮細胞死壊死の機序のメカニズムから、バイオマーカーなどの開発も可能性があり、将来ガイドラインに含まれることも考えられる。
その他行政的観点からの成果
薬剤による健康被害は国民医療、医療行政に関して最も重要な課題の一つである。重症薬疹は頻回にメディアにおいても取り上げられ、重症薬疹の制圧に対して国民の期待・要求は大きい。
重症薬疹は重篤であるにもかかわらず症例数が少ないため治療薬の研究がなされていない。したがって、治療薬を提供することにより、本研究を通じた重症薬疹の新規治療法の実用化によって薬剤による臓器傷害を防ぐことができれば、安心な医療行為を国民が受ける上での強力な基盤となる。
その他のインパクト
本研究の成果であり、治療薬開発の基盤である、SJS/TENにおける表皮細胞機序解明についての論文がScience Translational Medicine2014年7月号に掲載された。この論文の紹介記事が、日経産業新聞2014年7月17日朝刊に掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
21件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Saito N,Qiao H, Yanagi T 他
A novel necroptosis pathway of annexin A1/ FPR1 interaction in severe cutaneous adverse drug reactions.
Sci Transl Med ,  (6) , 245-295  (2014)
10.1126/scitranslmed.3008227.

公開日・更新日

公開日
2016-05-26
更新日
2016-06-13

収支報告書

文献番号
201442015Z