文献情報
文献番号
201439015A
報告書区分
総括
研究課題名
重症循環不全・呼吸不全に提供される体外式膜型人工肺(ECMO)療法の研修やレジストリネットワーク体制の構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
落合 亮一(東邦大学・麻酔科学・集中治療医学(東邦大学医療センター大森病院))
研究分担者(所属機関)
- 氏家 良人(岡山大学・救急医学(岡山大学病院))
- 行岡 哲男(東京医科大学・救急医学(東京医科大学病院))
- 森島 恒雄(岡山大学・小児医科学(岡山大学医歯薬学総合研究科))
- 竹田 晋浩(日本医科大学・麻酔学(日本医科大学付属病院)
- 清水 直樹(東京都立小児総合医療センター・救命集中治療部(東京都立小児総合医療センター))
- 市場 晋吾(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・地域医療学講座 (岡山大学病院高度救命救急センター))
- 橋本 悟(京都府立医科大学付属病院集中治療部)
- 中川 聡(独立行政法人国立成育医療研究センター病院・教育研修部)
- 田坂 定智(慶應義塾大学医学部・内科学(呼吸器) (慶應義塾大学病院))
- 佐藤 暢一(東邦大学医療センター大森病院・麻酔科学・集中治療医学 (東邦大学医療センター大森病院))
- 増野 智彦(日本医科大学付属病院高度救命救急センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
最重症型の急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) に対して膜型人工肺 (ECMO) が海外では積極的に用いられ,良好な成績を上げている.実際,ARDS の治療指針の最重症型に対する標準的な治療の一つとなっている.一方,我が国における ECMO を用いた治療成績は極端に悪く,ECMO による高いレベルの治療成績を向上させるためのシステマティックなプロジェクトが求められている.そこで,本ゴールを実現するために,教育環境の整備と評価システムの構築を目的とした.具体的には,教育環境の整備として世界的な標準的な治療方針が述べられている教材の提供を行うとともに,その教育効果の評価を行うために患者予後の改善度を明らかにする目的で症例レジストリー・システムの開発を行う.
研究方法
教育環境の整備:国際的な ECMO 組織である ELSO (Extracorporeal Life Support Organization)の発行しているテキスト『ECMO Extracorporeal Cardiovascular Support in Critical Care 4th Edition』 (Senior Editors: Gail Annich, Graeme MacLaren, Editors: Robert Bartlett, William Lynch, Jay Wilson, Manuscript Editor: Cindy Cooke, Layout: Peter Rycus. 2012 Extracorporeal Life Support Organization, Ann Arbor, Michigan)を,日本呼吸療法医学会のECMO プロジェクト・メンバーが翻訳し,日本語版として発行する.同時に,本テキストを用いながらシミュレーション・セミナーを開講する.
症例レジストリー・システムの開発:ELSO が症例登録を元に活動を行っていることを受けて,本邦における症例登録システムを開発する.
症例レジストリー・システムの開発:ELSO が症例登録を元に活動を行っていることを受けて,本邦における症例登録システムを開発する.
結果と考察
ELSO のテキストは日本語版として,2015 年 1 月に発行された.また,2014年度には2回のシミュレーション・セミナーを開講することができた.症例登録システムは,2014年12月に完成し,試験運用の末,2015年3月より登録が始まっている.
本研究で目標とした教育環境の整備と症例登録システムの開発は完了したが,本プロジェクトの真のゴールである教育成果の検証には,数年を要するものと考える.
本研究で目標とした教育環境の整備と症例登録システムの開発は完了したが,本プロジェクトの真のゴールである教育成果の検証には,数年を要するものと考える.
結論
前述した ELSO の活動は徹底した症例登録システムの活用であって,施設ごとの成績の比較検討,新しい治療法の評価などに非常に有効であることが立証されている.また,今回,短時間で治療成績がトップクラスに改善した英国において,治療成績の向上が ECMO 治療のセンター化ではなく,重症呼吸不全の総合的な治療センターを立ち上げたことにあることが調査によって明らかになり,そのプロセスの中で同じく治療成績の公開と登録の標準化が必要であることが再確認された.
本研究では,教育環境の整備が終わり,症例登録システムの構築も完成しているので,今後,教育効果がどのように治療成績の改善に結びつくのか,そして,治療成績を公開しつつ,重症呼吸不全の治療についてのセンター化が可能となるのか,検討が必要である.
本研究では,教育環境の整備が終わり,症例登録システムの構築も完成しているので,今後,教育効果がどのように治療成績の改善に結びつくのか,そして,治療成績を公開しつつ,重症呼吸不全の治療についてのセンター化が可能となるのか,検討が必要である.
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
-