Adolescent and young adult (AYA) 世代に及ぶ骨・軟部肉腫ならびに固形がんに対する妊娠、晩期合併症に考慮した治療プロトコール開発に関する研究

文献情報

文献番号
201438061A
報告書区分
総括
研究課題名
Adolescent and young adult (AYA) 世代に及ぶ骨・軟部肉腫ならびに固形がんに対する妊娠、晩期合併症に考慮した治療プロトコール開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎 敏文(岡山大学 医学部)
  • 福島 敬(筑波大学医学医療系)
  • 菱木 知郎(千葉県こども病院)
  • 細井 創(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 細野 亜古(国立がん研究センター東病院)
  • 原 純一(地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター)
  • 池田 均(獨協医科大学越谷病院)
  • 副島 俊典(兵庫県立がんセンター)
  • 大喜多 肇(慶應義塾大学 医学部)
  • 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター)
  • 櫻井 英幸(筑波大学 医学医療系)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 北條 洋(福島県立医科大学 会津医療センター 臨床医学部門)
  • 菊田 敦(福島県立医科大学)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター)
  • 陳 基明(日本大学 医学部)
  • 河本 博(国立がん研究センター中央病院)
  • 佐野 秀樹(福島県立医科大学)
  • 角 美奈子(がん研究会有明病院)
  • 吉村 健一(金沢大学附属病院)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター研究所 小児がん疫学臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,769,000円
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動 研究分担者 吉村 健一 神戸大学医学部附属病院(平成26年4月1日ー平成26年7月31日)→金沢大学附属病院(平成26年8月1日以降) ・所属機関名変更 大阪市立総合医療センター→地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(平成26年10月1日以降) ・所属機関異動 研究分担者 角 美奈子 国立がん研究センター(平成26年4月1日ー平成26年9月30日)→がん研究会有明病院(平成26年10月1日以降) ・所属機関異動 研究分担者 大喜多 肇 国立成育医療研究センター(平成26年4月1日ー平成26年11月30日)→慶應義塾大学医学部(平成26年12月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
JCCGの大規模臨床研究の一環としてAYA世代発症のがんもしくはAYA世代における小児がん生存者の問題に焦点を当てて、この世代に発症の多い横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、肝細胞がんなどの新規治療プロトコールやモダリティ開発を目的とした。新規治療の開発にあたっては、妊孕性の温存や二次がん発症の抑制、臓器機能温存と根治性の両立した局所治療法の開発などAYA世代の問題解決を研究目的とした。また全国規模の臨床試験の共通基盤の構築・整備をも目指した。
研究方法
1) 研究フィールドの確保と臨床研究基盤の整備について:中央診断に基づいた30歳以下の新規発症症例の観察研究計画が策定され、JCCG臨床研究の共通基盤構築につき検討された。
2) 横紋筋肉腫に対する臨床試験:横紋筋肉腫新規臨床試験(JRS-2)の体制整備ならびに、低リスク、中間リスク、高リスクの各群に対する妊孕性温存など合併症軽減を図った新規治療プロトコールが検討された。
3) ユーイング肉腫に対する新規治療戦略の開発:最新標準治療であるVDC-IE療法に対する観察研究ならびに二次がん発症抑制を図った新規プロトコールにつき検討された。
4) 思春期以降発症の肝細胞癌に対する治療開発:JPLT登録例から該当症例のデータベース化が図られ、同時に国際共同臨床試験に向けた準備が検討された。
5) 陽子線治療のPilot study:筑波大学ならびに静岡県立がんセンターにおける陽子線治療症例が解析され、諸がん種の臨床試験における陽子線治療の盛り込みにつき検討された。
結果と考察
1) 研究フィールドの確保と臨床研究基盤の整備について:中央診断に基づく観察研究と連動したデータセンター、BBJと連携した検体保管・管理システムなどの臨床研究の共通基盤が構築された。
2) 横紋筋肉腫に対する臨床試験:JRS-2の改訂リスク分類、中央病理診断手順、外科治療指針が完成された。新たなリスク分類では遺伝子型に基づいて予後良好とされる一群の症例に対するリスク評価の引き下げが検討されたが、全体的な治療緩和に加えてリスクが低く分類された症例では二重に治療緩和されることになり、治療成績低下が危惧された。低リスク群、中間リスク群に対してサイクロフォスファミド使用量を低減し、イリノテカン導入で治療強度を維持した新規治療プロトコールが完成された。さらに高リスク群に対しては新規維持療法が検討中である。
3) ユーイング肉腫に対する新規治療戦略の開発:VDC-IE療法では国内の観察研究でも46例中3例の二次がん発症がみられ、二次がん発症抑制のためにエトポシドを除いてトポテカンを導入したVDC-TI療法プロトコールが策定された。
4) 思春期以降発症の肝細胞癌に対する治療開発:欧米と共同でPediatric International Hepatic Tumor Trial (PIHTT)が計画され、30歳以下の肝細胞癌に対するPLADO(CDDP + DOX)にソラフェニブを加えたランダマイズ試験が検討されている。
5) 陽子線治療のPilot study:国内の陽子線治療2施設の313症例がデータベース化された。原疾患は脳腫瘍、横紋筋肉腫が最も多くそれぞれ22%、次いで神経芽細胞腫の17%、ユーイング肉腫の10%などが続き、骨軟部肉腫が上位を占め、このうち陽子線によるmajorな有害事象は同定されなかった。横紋筋肉腫臨試験では陽子線治療の選択が可能になった。
結論
研究所年度である本年度は、各がん種に共通の臨床試験基盤が整備され、それぞれのがん種で観察研究やAYA世代の合併症や臓器機能不全回避に向けた新規治療プロトコールの開発が進められた。次年度中にこれら新規プロトコールによる臨床試験開始が見込まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438061C

収支報告書

文献番号
201438061Z