膵管内乳頭粘液腫瘍患者における超早期膵癌補足技術の開発

文献情報

文献番号
201438026A
報告書区分
総括
研究課題名
膵管内乳頭粘液腫瘍患者における超早期膵癌補足技術の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
萩原 淳司(大阪市立大学医学部肝胆膵病態内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DNAメチル化状態とmiRNAの発現の関係を利用した膵管内乳頭粘液腫瘍患者における超早期膵癌捕捉技術の開発を試みる。DNAメチル化は発癌メカニズムの一つである。筆者らは膵癌で27個、新規のメチル化異常を発見し、診断キット化を試みた。さて、前癌病変においてもDNAメチル化は次第に蓄積されるためDNA全体のメチル化状態を調べることで、発癌予測や癌の早期発見が出来る。膵臓は生検により膵炎を発症するリスクが高く、膵液採取にても重篤な膵炎が起こりうる。膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)は前癌病異変と言われるが、生検は禁忌である。定期検査をしているにも関わらず、切除不能膵癌となることがあり、癌化するIPMNをより正確に見つけることが急務である。miRNAは末梢血中に安定な形態で存在し、その発現もまた、メチル化により制御されている。血中のmiRNAの発現からメチル化の蓄積状態を類推することで発癌リスクの高いIPMNを同定する。膵癌とIPMNのmiRNA発現を単に比べるのではなく、血中に存在するmiRNAから、組織でのDNAメチル化の蓄積状態を類推することでIPMNにおける膵癌の発癌予測が出来る。従って、超早期膵癌を捕捉することが可能となる。
研究方法
DNAメチル化により癌抑制遺伝子がサイレンシングされることが発癌メカニズムの一つである。前癌病変において重要でない遺伝子のメチル化が次第に蓄積されていき最後に癌抑制遺伝子など重要な遺伝子のメチル化が起こることが知られている。IPMN患者及び膵癌患者のメチル化解析を行う。
miRNAもまた、メチル化によりその発現が制御されており、膵癌においても、miR-132, miR-148a, miR-107, miR-34, miR-124の報告がある。miRNAは末梢血中に安定な形態で存在する。血清中のエクソソーム濃縮画分より抽出したRNAをマイクロアレイにてmiRNA発現解析を行う。また、統計解析支援環境のRを用いて膵癌及びIPMNに特異的なmiRNA発現プロファイルを作成する。
結果と考察
2014年06月1日、倫理委員会承認後、血液検体収集を開始し現時点で148例収集している。また同時に、手術凍結標本の収集も開始し、現時点で32例収集している。2014年09月から膵癌及び前癌病変患者、膵疾患患者のRNA及びDNA抽出開始した。2014年10月から少数例でDNAメチル化及びmiRNA発現解析を開始しており、結果が期待されるところである。血液中を循環するmiRNAは、エキソソームに内包されている。エキソソームは、どの細胞からも放出されている膜粒子であるが、内包されているmiRNAの種類は、細胞により異なる。従って、がん細胞由来のエキソソームと正常細胞からのそれは異なる。血液からがん細胞由来のエキソソーム含有画分を分離するのに最適な方法を検討中である。厚生労働省は、「対がん10ヵ年総合戦略」を策定し、予防、診断、治療等の研究及びその成果の普及に取り組んできた。しかしながら、膵癌は、発見時にはすでに切除不能になっていることが多く難治癌である。従って、超早期発見のための革新的なバイオマーカーの開発研究が急務である。本研究により、膵発癌のリスクを推定することが出来る。
結論
膵癌及び前癌病変患者、膵疾患患者のRNA及びDNA抽出し、DNAメチル化及びmicroRNA発現解析しており、結果が期待されるところである。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438026C

収支報告書

文献番号
201438026Z