文献情報
文献番号
201435003A
報告書区分
総括
研究課題名
PCSK9をターゲットとした核酸医薬の薬事申請を目指した治験に橋渡しするための非臨床試験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
斯波 真理子(独立行政法人国立循環器病研究センター 病態代謝部)
研究分担者(所属機関)
- 小比賀 聡(大阪大学大学院薬学研究科)
- 小林 直之(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療技術実用化総合研究(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
家族性高コレステロール血症(FH)は、高LDLコレステロール(LDL-C)血症、皮膚および腱黄色腫、若年性動脈硬化症による冠動脈疾患を主徴とする遺伝病であり、ヘテロ接合体は500人に1人以上の頻度で認められる。冠動脈疾患の一次予防や二次予防のために、多くのFHヘテロ接合体においてはスタチンを含む複数の脂質低下薬が処方されている。しかしながら、目標LDL-C値に達する例は少ない。スタチンや脂質低下薬は、SREBP2を活性化してLDL受容体活性を上昇するため、同時にLDL受容体分解活性を持つPCSK9発現を上昇することが大きな原因と考えられている。PCSK9は、そのプロドメインが活性部位を覆う形で存在するため、低分子阻害薬で阻害することが困難であることが創薬を困難にしている。
本研究は、小比賀らのオリジナルである人工核酸修飾技術を用いて、家族性高コレステロール血症を始めとする難治性高コレステロール血症の治療を行うものであり、日本発の技術を世界に示すことができる。本研究においては、これまでに最適化されたPCSK9をターゲットとしたBNA修飾ASを動物に投与する非臨床試験および品質保証計画立案の実施を行う。遺伝毒性試験、急性毒性試験、反復投与毒性試験、安全性薬理試験を行い、薬事申請を目指した治験に橋渡しするための非臨床試験を実施し、研究終了後の臨床試験に備える。
本研究は、小比賀らのオリジナルである人工核酸修飾技術を用いて、家族性高コレステロール血症を始めとする難治性高コレステロール血症の治療を行うものであり、日本発の技術を世界に示すことができる。本研究においては、これまでに最適化されたPCSK9をターゲットとしたBNA修飾ASを動物に投与する非臨床試験および品質保証計画立案の実施を行う。遺伝毒性試験、急性毒性試験、反復投与毒性試験、安全性薬理試験を行い、薬事申請を目指した治験に橋渡しするための非臨床試験を実施し、研究終了後の臨床試験に備える。
研究方法
目標とする臨床の前期第Ⅱ相試験(PⅡa)の試験デザインの概要を基に、FIHとなる臨床第Ⅰ相試験(PⅠ)の試験デザインを作成した。AmNAのアミダイト体(A, G, C, Tの4種)について、紫外吸収(260 nm)を指標とした逆相HPLCによる分析を実施し、その純度を評価した。各AmNAアミダイト体について31P-NMR測定を実施し、その構造並びに純度情報を収集した。1H-NMR測定を行い、リン原子を含まない夾雑物の検出の可否について検討を行った。本被験物質のターゲット遺伝子がヒトと同じ配列を有するカニクイザルを選択し、2〜6歳の雌雄計28匹を用意し、馴化終了日に、トリグリセリド(TG)あるいはLDL-Cの高い動物を選別し、試験に供給した。HELSA法を用いて、ASOの測定系を確立し、GLP適合施設への、移管を行った後、バリデーションを実施するものとした。これらの品質保証および非臨床試験のデザインは、PMDAの薬事戦略相談を受け、内容を反映させながら行う。
結果と考察
AmNAアミダイト体の純度を精査するために、逆相HPLCによる分析を実施した。今回ジアステレオマーは一般的な逆相HPLC条件下で分離可能であった。今回分析を行ったAmNAアミダイト体は、いずれも比較的純度が高く今回の逆相HPLC分析では、いずれも96%以上の純度を示した。AmNAアミダイト体の31P-NMR分析を実施し、4種のAmNAアミダイト体について、逆相HPLC分析での結果と良い一致を示した。
非臨床試験に用いる被験物質は、分析データを取得した上で製造法の検討中に得られるサンプルを被験物質として用いる可能性を考慮し、GLP適合試験に供するための暫定的な製造方法及び暫定規格を設定することとした。
薬効試験では、カニクイザル雌雄計28匹からLDL-Cの高い動物4匹(雄2匹,雌2匹)を用いて実験を開始した。初回の1 mg/kgを投与し、投与量は漸増していく予定である。一般状態観察、体重、摂餌量及び投与後6日までの血液生化学検査の結果から薬効或は毒性症状を判断し決定する予定である。
ASの定量には、ELISA(HELISA)法を用い、AS を段階希釈し、マウス肝臓由来のタンパク質を一定量加え、HELISA法を用いて、蛍光強度を測定し、真度と精度を求め、良好であることを確認した。また、HELISA法の選択性について検証すべく、16塩基長のアンチセンス分子を基準として20、10塩基長のものを用意した。濃度の高い領域においてより選択的に16塩基長の検出が可能であることが示された。
非臨床試験に用いる被験物質は、分析データを取得した上で製造法の検討中に得られるサンプルを被験物質として用いる可能性を考慮し、GLP適合試験に供するための暫定的な製造方法及び暫定規格を設定することとした。
薬効試験では、カニクイザル雌雄計28匹からLDL-Cの高い動物4匹(雄2匹,雌2匹)を用いて実験を開始した。初回の1 mg/kgを投与し、投与量は漸増していく予定である。一般状態観察、体重、摂餌量及び投与後6日までの血液生化学検査の結果から薬効或は毒性症状を判断し決定する予定である。
ASの定量には、ELISA(HELISA)法を用い、AS を段階希釈し、マウス肝臓由来のタンパク質を一定量加え、HELISA法を用いて、蛍光強度を測定し、真度と精度を求め、良好であることを確認した。また、HELISA法の選択性について検証すべく、16塩基長のアンチセンス分子を基準として20、10塩基長のものを用意した。濃度の高い領域においてより選択的に16塩基長の検出が可能であることが示された。
結論
アンチセンス分子の臨床試験に橋渡しをするための非臨床安全性試験の実施戦略を作成するとともに、臨床応用を見据えた品質管理法の戦略を立案した。品質保証に関しては、逆相HPLC、31P-NMR、1H-NMRによる分析を実施し、それぞれの分析手法の有効性、適用範囲等について検証を行った。定量法の構築や、安全性の担保できる開発候補を選定し、現在は、非げっ歯類としてアカゲザルへの投与実験を遂行している。定量法に関してはHELISA法の構築と定量法としての評価を行い、良好な結果が得られたことから、GLP施設への技術移管を既に実施している。PMDA対面助言を終え、研究は順調に進捗している。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-