文献情報
文献番号
201434001A
報告書区分
総括
研究課題名
三次元積層造形法による股関節インプラント及び手術支援ガイドの開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 孝司(大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学)
研究分担者(所属機関)
- 迫田 秀行(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
三次元積層造形法による股関節インプラントと下肢・骨盤骨切り術に対する手術支援ガイドの臨床応用への橋渡しを念頭に、PMDAで対面助言をうけ開発計画における力学的安全性・生物学的安全性試験項目を検討し、股関節インプラント・手術支援ガイドの設計製造過程における精度・力学的安全性・生物学的安全性を明らかにすることである。
研究方法
大腿骨インプラントデザインを決定し、三次元積層造形法によりTi-6Al-4V粉末を材料として作製した大腿骨インプラントについて、非接触性三次元スキャナーにより造形精度を解析した。また新鮮屍体標本を用いた模擬手術を行い、大腿骨インプラントの設置精度、手術支援ガイドを用いた際の手術精度を単純レントゲン検査、CT撮像を行って調査した。さらに大腿骨インプラントの力学的安全性を担保するため、疲労強度試験を施行し、摺動部材の評価法、生物学的安全性に必要な試験項目を検討した。
結果と考察
Ti-6Al-4V合金製の大腿骨インプラントデザインをテーパーウェッジ型とし、近位表面加工部に金属ビーム三次元積層造形法にて作成した近位表面加工部(多孔質部)を拡散接合にて母材に固着するデザインとした。8~10のサイズバリエーションを有するシステムとした。近位表面加工部をセミカスタマイズするオプションを検討することとした。
非接触性三次元スキャナーによる大腿骨インプラントの造形精度について、三次元比較における平均偏差は0.027、標準偏差は0.0275 で、良好な造形精度が確認できた。
新鮮屍体標本における模擬手術における大腿骨インプラントの設置精度及び手術精度について、大腿骨インプラントは術前計画どおりのインプラントサイズが選択され、計画通りの設置であった。大腿骨インプラントのアライメントに関して、良好な設置が確認された。
手術支援ガイドは骨盤骨切り術用ガイドと大腿骨頚部骨切り用ガイドを作製した。ガイド設置制度は良好で、術前計画と術後の比較ではガイド使用群でガイド非使用群よりも絶対値誤差が小さかった。臨床応用が期待される結果であったが、骨盤骨切り術用ガイドについて、ガイド設置から、骨切り・骨片回転・骨片固定の間に絶対値誤差は増加しており改良の余地があると考えられた。
三次元積層造形法にて作製した近位表面加工部を、拡散接合にて固着した大腿骨インプラントにおける疲労強度試験に関して、インプラント体部の破損は認められず、染色浸透探傷剤を用いた探傷調査でも、亀裂・損傷は確認されず、FEM解析でもインプラント体部は安定していた。ただし近位表面加工部の剥離を生じ、剥離を生じた箇所では細かい傷が確認された。また、股関節インプラント摺動部材の耐久性に関して、3種の高度架橋UHMWPEを含む5種の材料について疲労き裂進展試験により評価したところ、再溶融を施した高度架橋UHMWPEなどで特に大きな疲労特性の低下が認められた。
非接触性三次元スキャナーによる大腿骨インプラントの造形精度について、三次元比較における平均偏差は0.027、標準偏差は0.0275 で、良好な造形精度が確認できた。
新鮮屍体標本における模擬手術における大腿骨インプラントの設置精度及び手術精度について、大腿骨インプラントは術前計画どおりのインプラントサイズが選択され、計画通りの設置であった。大腿骨インプラントのアライメントに関して、良好な設置が確認された。
手術支援ガイドは骨盤骨切り術用ガイドと大腿骨頚部骨切り用ガイドを作製した。ガイド設置制度は良好で、術前計画と術後の比較ではガイド使用群でガイド非使用群よりも絶対値誤差が小さかった。臨床応用が期待される結果であったが、骨盤骨切り術用ガイドについて、ガイド設置から、骨切り・骨片回転・骨片固定の間に絶対値誤差は増加しており改良の余地があると考えられた。
三次元積層造形法にて作製した近位表面加工部を、拡散接合にて固着した大腿骨インプラントにおける疲労強度試験に関して、インプラント体部の破損は認められず、染色浸透探傷剤を用いた探傷調査でも、亀裂・損傷は確認されず、FEM解析でもインプラント体部は安定していた。ただし近位表面加工部の剥離を生じ、剥離を生じた箇所では細かい傷が確認された。また、股関節インプラント摺動部材の耐久性に関して、3種の高度架橋UHMWPEを含む5種の材料について疲労き裂進展試験により評価したところ、再溶融を施した高度架橋UHMWPEなどで特に大きな疲労特性の低下が認められた。
結論
Ti-6Al-4V粉末を材料とし三次元積層造形法により作製する股関節インプラントとして、テーパーウェッジ型デザインを決定し、非接触性三次元スキャナーにて良好な造形精度を確認した。また新鮮屍体骨標本を対象に模擬手術を行い、大腿骨インプラントと手術支援ガイドの良好な手術精度を確認した。母材と近位多孔質表面加工部を拡散接合にて作製した大腿骨インプラントの疲労強度試験では、母材の疲労強度は担保されたが、近位表面加工部の剥奪が見られ、強固な拡散接合の必要性を確認した。摺動部材の評価法として高度架橋UHMWPEに対する疲労亀裂進展試験について確認しえた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-