化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究

文献情報

文献番号
201427041A
報告書区分
総括
研究課題名
化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松永 佳世子(学校法人藤田学園藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(学校法人藤田学園藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座 )
  • 杉浦 伸一(名古屋大学大学院 医学系研究科 附属医学教育研究支援センター特任研究部門 医療行政学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,039,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究目的は「医師が迅速に症例登録し、学会が主導で定期的に報告例全体の調査解析を行い、医師および厚生労働省、消費者庁など関係省庁への報告と連携を密に行う。企業は医師へ製品の成分開示・成分提供などを行い、医師によるアレルギーの原因精査に協力し、その結果を明らかにする。行政はその結果をもとに、企業への指導や対策の判断根拠とする。全体として国民の健康被害を少なくし、より安全な化粧品等を開発していくネットワークを構築することができる。」ことである。今年度は化粧品等皮膚安全性症例情報ネットSkin Safety Case Information Network of Cosmetics and Other Products (SSCI-Net)のシステム入力する医師を広げ、また化粧品等の原因アレルゲンを迅速に確定する医師と企業および行政の協力システム確立を目標とした。
研究方法
1.関係省庁等、日本化粧品工業連合会等の参加を招請し、システム活用方法を検討し、産官学の情報共有推進化する。
2.調査対象医師・施設について計200施設にシステム入力を郵送で呼びかけ、ジャパニーズスタンダードアレルゲン2008、アレルギー性皮膚障害事例、非アレルギー性皮膚障害事例をパッチテスト、プリックテストで確認された症例を入力もしくは紙媒体で回収、集積する。
3.集積された症例から、化粧品等、厚生労働省管轄の原因物質について、調査分析する。
4.データ入力時のユーザーインターフェースの改修を行う。
結果と考察
1.関係省庁、日本化粧品工業連合会、日本ヘアカラー工業会の参加をいただき「化粧品等のアレルギー情報共有化推進連絡会」を3回開催、SSCI-Net活用方法を検討し情報を共有することができた。
2.1)2013 年4月から2014年3月末まで“ジャパニーズスタンダードアレルゲン2008”の結果をまとめた。症例は、60 施設より2,209例が報告され、そのうち、システム入力は55施設、1883例であった。60歳代女性が多く、原疾患では接触皮膚炎が48%を占めていた。各アレルゲン別では、陽性率の高いアレルゲンは、ニッケル、ウルシオール、コバルトの順であった。今回の調査で陽性率が上昇する傾向にあったアレルゲンは、薬剤のフラジオマイシン、化粧品のパラフェニレンジアミン(PPD)、バルサムオブペルー、防腐剤でチメロサール、Kathon CGであった。
2)システム入力されたアレルギー性皮膚障害事例は、2013年度は612例(男性70例、女性542例)、2014年度は121例(男性24例、女性97例)が報告された。30日の以上治療を必要とし、入院加療を要した症例の原因製品は医薬品と化粧品で95%を占めていた。入院の有無に関わらず、アレルギー性皮膚障害事例として報告された733例中、250例が30日以上の治療を必要としていた。
3)非アレルギー性皮膚障害事例は、入院を要した症例は報告されていなかったが30日以上治療を要した症例は2013年で11例、2014年で3例あり、これらの原因製品は、医療関連用品による化学熱傷が1例、化粧品による刺激性接触皮膚炎が4例、化粧品による脱色素斑が8例であった。
3.化粧品、医薬部外品、外用医薬品の成分のなかで、イソチアゾリン系防腐剤の障害例が注目され、その原因製品の調査を行った。
4. システム入力時のユーザーインターフェースの改修クラウドアプリケーションを利用したシステム構築により、後付のデータコントロールであってもクラウドアプリケーションが持つ大きな制御システムによってコントロール可能となった。データ項目を追加、リストから読み込むことで既存のXMLファイルとデータとの連携を構築できた。しかし、一度に利用できるデータ量の制限が小さく、検索時のデータ引用でシステム許容量をオーバーするという課題が残った。
結論
化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究として、SSCI-Netを産官学の共同検討により入力システムは構築できた。今後はシステム改善と情報提供の実際運用、さらに有益なシステム構築をめざす。
本システムが全国の医療施設で稼働し、早期に原因製品、物質が同定され、産官学で情報が連携・共有されれば、健康被害や医療費を最小限に抑えられることが予想される。
本システムは、医療用のデータベースシステムとして有用であることが確認された。しかし、クラウド側の制約も多いため、最終的な用件定義が確定した後はデータベースを別に持つなど、通常のクラウドサービスを拡張する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201427041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,250,000円
(2)補助金確定額
5,249,737円
差引額 [(1)-(2)]
263円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 229,143円
人件費・謝金 1,052,671円
旅費 388,730円
その他 2,368,193円
間接経費 1,211,000円
合計 5,249,737円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
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