献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201427006A
報告書区分
総括
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H24-医薬-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 西田 一雄(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 瀧川 正弘(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田辺 善仁(株式会社エフエム大阪)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では3テーマにつき研究を実施した。1.献血液の需要と供給の推計研究 今後治療における輸血液の需要はますます高まると予測される一方で、若者を中心とした献血離れの傾向が指摘されており、本研究ではこれまでの献血の実績に基づいた将来の献血者数・量の予測を行い、必要な血液製剤の量、献血者数の将来予測を行う。2.献血推進施策評価研究 特に若年者層での献血離れが指摘され、献血推進が重大な課題となっている。日本赤十字社を中心にジャパンエフエムネットワークなど様々な関係者が多岐な施策に取り組んでいるが、本研究ではアンケート調査あるいは献血数(量)の推移との関連を調査し、施策の効果の検証を行う。3.献血推進に影響を与える因子に関する研究 輸血者による献血の評価の実態を調査、さらに献血推進に繋がると予測される因子についても検討した。本年度は最終年度であり、献血推進に繋げる方策を示す。
研究方法
6つの研究分担を実施した。研究分担1:輸血液の需要に関する研究(秋田定伯)、研究分担2:供血者の実情調査と献血促進および阻害因子に関する研究(西田一雄)、研究分担3:献血推進に向けた研修方法に関する研究(瀧川正弘)、研究分担4:献血推進の為の効果的な広報戦略等の閲覧に関する研究(田辺善仁)、研究分担5:献血率に与える要因分析と効果的な施策のあり方に関する研究(河原和夫)、研究分担6:献血推進施策の効果に関する研究 献血本数の推移と献血推進運動との関連性(田中純子)である。
結果と考察
研究分担1:長崎大学医学部保健学科を対象に意識調査を実施。献血する側の若い世代に献血・輸血の重要性を意識づけ、献血推進の広報活動となる行動変容を期待した。平成26年度のアンケートの回収率は約90%で献血アンケートの啓発が当学医学部保健学科全体に浸透していると思われた。研究分担2:若年層の献血離れの傾向に歯止めがかからないことが指摘されているが、全国的に通年で実施しているプロジェクトについてはラジオ放送、インターネット、各地イベント等による献血啓発を軸とし継続した展開を実施したことにより10 代の献血者数及び献血率が増加したことからも若年層を中心にメディアを活用した戦略的な広報として一定の効果があるものと推測される。研究分担3:学生ボランティアの研修を重点項目とした。代表学生がテーマや討議内容の検討を積極的に行ったことが参加者から共鳴を受けた。ボランティアのあるべき姿、後輩の育成、献血を学生からいかに発信していくか等その活動が少子高齢化を迎える日本の血液事業への貢献、将来における輸血用血液が安定供給できる社会の構築を成す為、自分たちの組織を再考する研修会の実施に至ったと考える。研究分担4:今後の若者献血行動の促進を行うために献血に対する意識調査を実施。また日本赤十字社とJFNグループで全国展開するLOVE in ACTIONのリスナーお便りやFM大阪独自の献血広報番組と御堂筋献血ルームでのミニライブにより献血広報の効果的な在り方の検証を行った。各献血ルームで展開する各種サービスやイベント情報を知らない人が多く献血推進する側の努力を伝える必要がある。研究分担5:全国市町村や地域血液センターの担当者に対して意識調査を実施。献血推進に資する方策の選択がされているか等を検証、加えて今後の献血推進活動の方向性を提示するために実施した。その結果、献血について市区町村の立場と地域血液センターの立場から見ることができた。献血を推進していくために両者が十分に話し合い、地域事情に応じた血液事業政策の確立が求められる。研究分担6:平成18年4月から平成26年3月までの全献血についての資料を基に、1)Love in Actionイベントの実施月と月別献血本数の推移との関連性、2)献血本数の将来予測と実測値の比較につき、解析、検討した。平成19年以降の全体の献血本数増加に寄与していたと考えられる中高年層の献血本数は22-24年頃から減少に転じていたが、今後50-60歳代になる中高年層への献血推進は、健康面や献血基準の面から困難であると考えられた。若年層では献血本数が低下し始める20歳代前半の献血推進が将来の献血本数確保の面から有効であると考えられた。Love in Actionプロジェクトのイベント実施は、実施していない場合よりも献血本数が有意に増加することが明らかになった。イベント中またはイベント後に献血をした人に継続して献血してもらうための対策が有効であると考えられた。
結論
1.献血者数および献血本数に関する将来推計および献血者の必要数(量)の将来予測、2.主な献血推進施策の献血推進効果の評価、3.献血推進に影響を与えると考えられる主要な要素につき検討を行い、本年度は最終年度として当初の研究目標をほぼ達成できたと考える。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201427006B
報告書区分
総合
研究課題名
献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究
課題番号
H24-医薬-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 秋田 定伯(長崎大学病院 形成外科)
  • 大西 雅彦(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 西田 一雄(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 井上 慎吾(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 瀧川 正弘(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 田辺 善仁(株式会社エフエム大阪)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では3テーマにつき研究を実施した。1.献血液の需要と供給の推計研究 今後、治療における輸血液の需要はますます高まると予測される一方で、若者を中心とした献血離れの傾向が指摘されており、本研究では、これまでの献血の実績に基づいた将来の献血者数・量の予測を行い、必要な血液製剤の量、献血者数の将来予測を行う。2.献血推進施策評価研究 特に若年者層での献血離れが指摘され、献血推進が重大な課題となっている。日本赤十字社を中心に、ジャパンエフエムネットワークなど様々な関係者が多岐な施策に取り組んでいるが、本研究では、アンケート調査あるいは献血数(量)の推移との関連を調査し、施策の効果の検証を行う。3.献血推進に影響を与える因子に関する研究 輸血者による献血の評価の実態を調査、さらに献血推進に繋がると予測される因子についても検討した。
研究方法
具体的には、次の6つの研究分担を実施した。研究分担1:輸血液の需要に関する研究 長崎大学医学部保健学科における献血・輸血についての意識調査(秋田定伯)、研究分担2:供血者の実情調査と献血促進および阻害因子に関する研究(大西雅彦/西田一雄)、研究分担3:献血推進に向けた研修方法に関する研究(井上慎吾/瀧川正弘)、研究分担4:若者における献血意識と献血行動の促進および阻害因子に関する研究・献血推進の為の効果的な広報戦略等の閲覧に関する研究(田辺善仁)、研究分担5:献血率に与える要因分析と効果的な施策のあり方に関する研究(河原和夫)、研究分担6:献血推進施策の効果に関する研究(田中純子)である。3年間の研究では、各研究分担は相互に連携を行った。
結果と考察
研究分担1:長崎大学医学部保健学科を対象にアンケート調査を実施し、回答から献血・輸血の重要性の意識づけ、献血推進の広報活動となる行動変容の検討、被験者の属性、自由記載とともに、献血に対する認識を解析した。
研究分担2:若年層の献血離れの傾向に歯止めがかからないことが指摘されているが、その理由が明らかにされていないことから、平成21年度から本研究において献血推進における広報の効果に関する研究を実施してきた。今後は、安全な輸血用血液製剤の安定的な確保のために、これまでの研究を踏まえ、献血の実情を明らかにし、その原因の解明を行い、さらなる対策を提示することが重要と考えられた。
研究分担3:より安全な輸血用血液製剤を安定的に供給するためには、日常からより有効となる献血推進を展開する必要がある。近年は、特に若年層献血者が減少傾向にあり、献血離れの現象があることが指摘されており、その原因の解明を行い、献血推進に向けた戦略的な広報の開発研究に取り組んでいる。一方で、広報展開も含めたより有効な献血推進を継続的に実施し、目標を達成するためには、職員や学生献血推進ボランティア等のスキル向上が不可欠であり、理想的な研修モデルを構築することが重要と考えた。
研究分担4 今後の若者献血行動の促進を行うために、献血に対する意識調査を実施。また、日本赤十字社とJFNグループで全国展開するLOVE in ACTIONのリスナーお便りやFM 大阪の独自の献血広報レギュラー番組と御堂筋献血ルームでの毎週土曜に開催されるミニライブにより、献血広報の効果的な在り方の検証を行った。
研究分担5 献血者を増加させ、献血率を向上していくためには献血者の居住環境といった地域性や行動特性、性別、年齢、職業などの属性を科学的に分析し、地域性や献血者の行動特性、属性に応じた献血教育や献血に対する正しい知識の普及・啓発活動が関係者には求められている。平成24年度は献血経験者と献血未経験者の間の献血に対する意識や行動の差を比較した。平成25年度研究では、2010年の1年間に全国の献血実施場所を訪れた献血者データをもとに分析したもので、地域の実情などに応じた献血推進の在り方を提示した。また、全国の自治体別・年齢階級別の“標準化献血比”を算定したが、今後の科学的データに基づいた献血推進活動の実践に多大なる貢献を果たすものと考えている。
研究分担6 本研究では、平成24年度に「献血者数および献血本数に関する将来推計の試み」、平成25年度に「献血行動の変化を考慮した総献血本数の推移予測(供給)と将来推計人口に基づく血液製剤に必要な献血本数推移予測(需要)との比較」、平成26年度に「献血本数の推移と献血推進運動との関連性」を行った。
結論
本研究では1.献血者数および献血本数に関する将来推計および献血者の必要数(量)の将来予測、2.主な献血推進施策の献血推進効果の評価、3.献血推進に影響を与えると考えられる主要な要素につき検討を行い、最終年度に総合的に解析を行った。3年間で当初の研究目標をほぼ達成できた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201427006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
当班では献血本数の将来推計、将来推計人口に基づく輸血用血液製剤の需要予測を行い、需要と供給の差(不足)が毎年増加し2023年時点で75万本不足と推定した。献血推進広報Love in Actionプロジェクトはイベントにより献血本数の有意な増加(0.8%)が推定された。学生ボランティア研修で学生の自主的活動の推進を図った。献血者の居住環境といった地域性や行動特性、属性を科学的に分析し、地域性や行動特性、属性に応じた献血教育や献血の正しい知識の普及・啓発活動の重要性を自治体を含む関係者に周知した。
臨床的観点からの成果
献血液の需要と供給の状況を把握するため、輸血を受けた患者に対しアンケート調査を実施し、輸血及び献血に対する意識の現状を確認することができた。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
全国の自治体別・年齢階級別の標準化献血比を算定したが、これは地域の血液センターや自治体にとり、献血状況を把握する上で有用であり、今後の科学的データに基づいた献血推進活動の実践に多大なる貢献を果たすものと考える。地域での妥当な献血推進施策が実施されているかを検証、加えて、今後の献血推進活動の方向性を提示するために、全国市区町村や地域血液センターの献血推進に関する意識調査を実施した。
その他のインパクト
NHK番組 週刊ニュース深読み「血が足りない!?どうする?どうなる?献血」に出演し、献血の重要性を訴えた。

発表件数

原著論文(和文)
13件
原著論文(英文等)
56件
その他論文(和文)
51件
その他論文(英文等)
10件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
52件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201427006Z