文献情報
文献番号
201425013A
報告書区分
総括
研究課題名
事業場におけるメンタルヘルス対策を促進させるリスクアセスメント手法の研究
課題番号
H25-労働-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 原谷 隆史((独)労働安全衛生総合研究所)
- 堤 明純(北里大学 医学部)
- 吉川 徹((財)労働科学研究所 国際協力センター)
- 島津 明人(東京大学大学院 医学系研究科)
- 小田切 優子(東京医科大学)
- 錦戸 典子(東海大学 健康科学部)
- 五十嵐 千代(東京工科大学 医療保健学部)
- 森口 次郎(一般財団法人京都工場保健会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、事業場における職業性ストレスのリスクアセスメントと改善の手法について、①事業場規模や業種等に対応した実効性のある複数のモデル枠組みを開発し、②中小規模事業場でも適応可能な職業性ストレスのリスクアセスメントおよび対策のためのツールおよびマニュアルを開発し、③モデル事業を実施し、職業性ストレスのリスクアセスメントの実施可能性、有効性、残された課題を明らかにし、④事業場における職業性ストレスのリスクアセスメント手法の普及・支援方策をまとめ提案することである。
研究方法
2年目にあたる本年度は、①事業場規模に応じた職業性ストレスのリスクアセスメント手法モデルの開発を行うために,経営分野の視点に沿った中小企業におけるメンタルへルス対策普及手法を検討した。②リスクアセスメントおよびツールの開発と見直しを行うために,職業性ストレスのアセスメントツールの改善と開発,職業性ストレスの改善ツールの改善と開発,職場環境へのポジティブアプローチの提案と事業場での試行を行った。③京都市および大田区の中小規模事業場における職場環境改善モデル事業を行い,その効果を活動前後の職業性ストレスの変化により評価した。④海外動向に関する情報を収集するために,WHOのコルトム博士を招へいしたシンポジウムを行い意見交換を行った。
結果と考察
1. 事業場規模に応じた職業性ストレスのリスクアセスメント手法モデルの開発:新たな学会動向として、「人を大切にする経営学会」が、経営者や経営学研究者のみならず、広く学際的な会員を集めて2014年9月に設立された。また,経営者等向けの啓発書籍に記載された良好実践事例を分析した結果、良好な職場風土を実現して社員が元気でメンタルへルス不調に陥りにくく、経営面でも安定した利益を上げている企業に3つの共通要素が抽出された。
2. リスクアセスメントおよびツールの開発と見直し:現場と専門家の意見をもとに、リスクアセスメント試行版およびマニュアルに当たるツールの使用方法を改訂した。また,職場環境改善実施手順書としてのリーフレットの作成、それぞれのツールの改定、ツールを活用した職場改善支援者・ファシリテーターの育成研修プログラムが開発された。さらに,ワーク・エンゲイジメントの向上を通じた職場の活性化に関して,産業保健部門と経営および人事部門とが共同した対策の一連の流れを構築した。
3.モデル事業の実施:京都市および大田区でのモデル事業を通じて,中小規模事業場においても職場環境改善活動が可能であることが示された。
4.海外動向に関する情報収集:
コルトム博士を招いての講演とシンポジウムを通じて、職場の心理社会的要因のリスクアセスメントは国際標準となりつつあり、日本もこれに調和して行く必要があることが再確認された。しかしその標準的手順の開発、現場関係者の教育訓練、小規模事業場での手法の確立など課題は多い。本研究班では、さらに現在の手法を改善し、また職場の心理社会的要因のリスクアセスメントの基本要素を明確にして、現場で実行性のある方法を提案してゆく必要がある。
2. リスクアセスメントおよびツールの開発と見直し:現場と専門家の意見をもとに、リスクアセスメント試行版およびマニュアルに当たるツールの使用方法を改訂した。また,職場環境改善実施手順書としてのリーフレットの作成、それぞれのツールの改定、ツールを活用した職場改善支援者・ファシリテーターの育成研修プログラムが開発された。さらに,ワーク・エンゲイジメントの向上を通じた職場の活性化に関して,産業保健部門と経営および人事部門とが共同した対策の一連の流れを構築した。
3.モデル事業の実施:京都市および大田区でのモデル事業を通じて,中小規模事業場においても職場環境改善活動が可能であることが示された。
4.海外動向に関する情報収集:
コルトム博士を招いての講演とシンポジウムを通じて、職場の心理社会的要因のリスクアセスメントは国際標準となりつつあり、日本もこれに調和して行く必要があることが再確認された。しかしその標準的手順の開発、現場関係者の教育訓練、小規模事業場での手法の確立など課題は多い。本研究班では、さらに現在の手法を改善し、また職場の心理社会的要因のリスクアセスメントの基本要素を明確にして、現場で実行性のある方法を提案してゆく必要がある。
結論
本研究では、国内外の文献レビュー、関連学会の動向調査,海外動向の情報収集を通じて,中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策のあり方について、有用な情報が得られた。また、専門家および現場担当者の意見をふまえながら中小規模事業場でも適応可能な職業性ストレスのリスクアセスメントおよび対策のためのツールが開発,改善された。これらのツールを使用したモデル事業が実施され,これらのツールを用いた職場改善活動が中小規模事業場でも適応可能であることが示されるとともに,普及促進に必要な要因が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2015-06-08
更新日
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