医療機関外死亡における死後画像診断の実施に関する研究

文献情報

文献番号
201424031A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関外死亡における死後画像診断の実施に関する研究
課題番号
H25-医療-指定-011
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
兵頭 秀樹(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 裕(東海大学 医学部)
  • 池田 典昭(九州大学 医学部)
  • 渡邊 智(札幌医科大学 医学部)
  • 高橋 直也(新潟大学 医学部)
  • 小熊 栄二(埼玉県立小児医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関外死亡に対する死後画像診断を安全に実施するためには、得られた画像を適切に読影する能力を有する医師の育成が欠かせず、そのための読影トレーニングや講習会等が実施されている。しかし、エビデンスに基づく診断基準は明らかにされておらず、喫緊の課題と考えられていた。そこで、我が国における死後画像の読影に関する基準/ガイドラインを策定することを目的とした。
 死後画像についての読影トレーニングを補助するための典型画像参照を可能とするツールを作成し、地域格差のない全国的な実施に必要な具体策を提示することを第二の目標とした。
研究方法
死後画像読影/診断を実際の医療現場で実施あるいは検案/解剖の際に利用している医師からなるガイド来院作成委員を選出した。既知の学術発表を基に、死後画像から正しい所見の読影を行えるためのガイドラインを作成した。ガイドラインを作成する元文献についてはPubMedにて
#1 Search (postmortem CT) or (postmortem computed tomography)
#2 Search (causes of death) and (autopsy)
#3 Search (#1) and (#2)
#4 Search (#3) and English [language] Filters: published in the last 10 years
の検索式で選出した181論文に加えて、研究協力者(医師)で構成される作成委員が二次資料として追加したものを採用した。
 各文献は項目として設定したClinical Question (CQ)毎に抄録を作成し、科学的根拠に基づく文献のエビデンスレベルの分類法に準じて評価した。
 倫理面への配慮として、ご遺体に関わる研究ではあるが既発表論文の検討であり個別の事案に関する記載は掲載図に限定された。この図に関しては、提示された事例を担当した施設において倫理委員会の審査を受け承認されているものを使用し、具体的な個人が特定されないように記述に配慮した
結果と考察
研究結果  
 181論文に加え81論文が各作成委員から参考文献として提示され、合計262文献(論文入手困難3文献を含む)を元文献とすることとなった。構造化抄録は226文献(86.3%)で作成された。
考察
 構造化抄録作成には、採用論文数が多数であったため長時間を要した。と同時に、新たに発表される知見についての検索も平行して実施したため、検索式以外の重要な論文についても多く検討を加えることとなり、当初予定の1.4倍の文献について検討を行うこととなった。設定したCQについても、平成24年度・平成25年度に作成したものを再考した、新たに解説を加えた。CQの中には未だ十分なエビデンスの得られていない死後画像読影に関する項目が存在したため、ガイドライン検討委員会(計4回 本年度は平成26年4月12日(横浜)で開催)にて参加したガイドライン作成委員にて討議し、現時点で記述できる範囲を明らかにしつつ記載を加えた。
 これらの結果、死後画像読影ガイドラインには33項目のCQを収載することとなり、小児に特化したCQを5項目取り上げることとなった。死後画像読影ガイドラインの詳細については総合研究報告書に記載するが、現時点のエビデンスに基づく死後画像読影を実施するうえで我が国の基本見識となり得るガイドラインが作成できたと考えられる。
 先にも述べたが、ガイドラインは文献検索(2013年8月7日)及び各作成委員提出論文を基にしたものであり、既に多くの新たな論文発表が行われている。従って、死後画像読影ガイドライン2015年版については今後改訂が行われる必要があり、新たな予算措置を含めた準備が必要と考えられる。また、国内に多く存在する死後画像実施施設から本分野の新知見について発表されることが、研究者並びに担当医師には求められると考えられる。
結論
死後画像読影ガイドライン作成のための、構造化抄録の作成並びに読影ガイドライン作成を行った。採用論文の86.3%(226論文)の構造化抄録、及び死後画像読影ガイドラインCQ33項目について提示した。本研究により、平成27年3月現在の我が国の死後画像読影の基準を提示することが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2015-04-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201424031B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関外死亡における死後画像診断の実施に関する研究
課題番号
H25-医療-指定-011
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
兵頭 秀樹(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 裕(東海大学 医学部)
  • 池田 典昭(九州大学 医学部)
  • 渡邊 智(札幌医科大学 医学部)
  • 高橋 直也(新潟大学 医学部)
  • 小熊 栄二(埼玉県立小児医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療機関外死亡に対する死後画像診断を安全に実施するためには、得られた画像を適切に読影する能力を有する医師の育成が欠かせず、そのための読影トレーニングや講習会等が実施されている。しかし、エビデンスに基づく診断基準は明らかにされておらず、喫緊の課題と考えられていた。そこで、我が国における死後画像の読影に関する基準/ガイドラインを策定することを目的とした。
 死後画像についての読影トレーニングを補助するための典型画像参照を可能とするツールを作成し、地域格差のない全国的な実施に必要な具体策を提示することを第二の目標とした。
研究方法
 死後画像読影/診断を実際の医療現場で実施あるいは検案/解剖の際に利用している医師からなるガイド来院作成委員を選出した。既知の学術発表を基に、死後画像から正しい所見の読影を行えるためのガイドラインを作成した。ガイドラインを作成する元文献についてはPubMedにて検索式で選出した181論文に加えて、研究協力者(医師)で構成される作成委員が二次資料として追加したものを採用した。
 各文献は項目として設定したClinical Question (CQ)毎に抄録を作成し、科学的根拠に基づく文献のエビデンスレベルの分類法に準じて評価した。
 倫理面への配慮として、ご遺体に関わる研究ではあるが既発表論文の検討であり個別の事案に関する記載は掲載図に限定された。この図に関しては、提示された事例を担当した施設において倫理委員会の審査を受け承認されているものを使用し、具体的な個人が特定されないように記述に配慮した。
 作成された死後画像読影ガイドライン(案)を開示し、パブリックコメントを収集し、ブラッシュアップをおこなった。
結果と考察
 181論文に加え81論文が各作成委員から参考文献として提示され、合計262文献(論文入手困難3文献を含む)を元文献とすることとなった。構造化抄録は226文献(86.3%)で作成された(構造化抄録の詳細については平成26年度総括・分担研究報告書を参照のこと)。構造化抄録に基づきCQ33項目を設定し、エビデンスに基づき考察をおこなった。
 平成26年10月~12月の3か月間、死後画像読影ガイドライン(案)に対するパブリックコメントを収集し、寄せられた意見を参考に修正を加え、死後画像読影ガイドライン2015年版を策定した。
 項目によっては具体的な事例画像を提示し読者の理解の助けとなるように配慮し、31事例を提示した(事例図譜の詳細については「死後画像読影ガイドライン2015年版」日本医学放射線学会/厚生労働科学研究班 扁 (金原出版)を参照のこと)。

 ガイドラインは文献検索(2013年8月7日)及び各作成委員提出論文を基にしたものであり、既に多くの新たな論文発表が行われている。従って、死後画像読影ガイドライン2015年版については今後改訂が行われる必要があり、新たな予算措置を含めた準備が必要と考えられる。国内に多く存在する死後画像実施施設から本分野の新知見について発表されることが、研究者並びに担当医師には求められると考えられる。また、平成26年度から厚生労働省委託事業「小児死亡事例に対する死亡時画像診断モデル事業」(日本医師会)が開始されており、読影を担う医師の養成の観点から本研究で策定した死後画像読影ガイドラインが読影技能向上に寄与すると考えられた。
結論
 死後画像読影ガイドライン作成のための、構造化抄録の作成並びに読影ガイドライン作成を行った。死後画像読影ガイドラインCQ33項目についてエビデンスに基づく解説並びに推奨グレードを提示した。本研究で提示したガイドラインはパブリックコメントを参考にしながら改訂され、平成27年3月に死後画像読影ガイドライン2015年版として刊行された。死後画像読影に関する平成27年3月時点の基準を提示することとなった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201424031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
死後画像読影ガイドライン2015年版(金原出版)は、2017年9月に英語版・2017年12月にイタリア語版に翻訳され、大学HPより公開された。
2018年5月には、ガイドライン2015年版について国際法医放射線学会にて特別講演を行った。
臨床的観点からの成果
死後変化として生じる所見が臨床画像では肺炎や脳出血等と類似した所見を呈するため、臨床医が死後画像診断を行う際に誤った判断を行わないうえで必要な知識を得るための重要な研究成果が得られた。
ガイドライン等の開発
死後画像読影ガイドライン2015年版(金原出版)は、2017年9月に英語版・2017年12月にイタリア語版に翻訳され、大学HPより公開された。
2018年4月には、ガイドライン2020年版作成委員会が結成された。
2018年5月には、ガイドライン2015年版について国際法医放射線学会にて特別講演を行った。
2018年8月・2019年2月・6月にガイドライン2020年版作成委員会が開催され、2020年4月発刊予定である。
その他行政的観点からの成果
医療事故調査制度が開始される際に利用される可能性のある死亡時画像診断(Ai)を実施する際、通常の死後経過を理解しておくことが必須であるが、本研究ではその事象を明らかにしており有用性が高い。
その他のインパクト
死後画像読影ガイドラインについて、ヘルス出版から救急医が現場で使い尽くす診療ガイドライン選集で取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
1件
Forensic Radiology in Japan(2018年5月10日,Melbourne, Australia)
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
2019-06-10

収支報告書

文献番号
201424031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,758,273円
(2)補助金確定額
11,758,273円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,382,983円
人件費・謝金 0円
旅費 2,866,774円
その他 7,508,988円
間接経費 0円
合計 11,758,745円

備考

備考
研究報告書の作成・発送にかかる費用を調整したが、補助金確定額(11,758,273円)・支出額(11,758,745円)の差額(472円)が発生したため、自己負担した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-