動物由来感染症の対応に関する研究

文献情報

文献番号
201420031A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来感染症の対応に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 新井 智(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 福士 秀悦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 宇田 晶彦(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 三浦 智行(京都大学ウイルス研究所附属感染症モデル研究センター霊長類モデル研究領域)
  • 前田 健(山口大学 共同獣医学部 獣医微生物学)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 山田 章雄(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻獣医公衆衛生学)
  • 山本 明彦(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 菅沼 明彦(都立駒込病院 感染症科)
  • 新倉 綾(座本 綾)(国立感染症研究所 動物管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
24,673,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新興・再興感染症の大部分が動物由来感染症である。これらのうち国内で稀にしか発生していない動物由来感染症について、疫学的知見を集積しヒトへの感染リスクを評価する。また、これらの感染症が国内で発生した場合の診断・迅速検査法を確立する。重要な動物由来感染症の病原性発現機構に関する研究を行い、霊長類等に発生した新興感染症に関してヒトへのリスクを科学的に評価する。動物の常在細菌や環境中の菌等から病原性腸内細菌に対し抗菌作用を示す菌種を探索する。これらにより総合的に動物由来感染症対策の体制整備を目指す。
研究方法
RGによるウイルス回収やシュードタイプウイルスは実験承認を得た上で遺伝子組み換え実験により行なった。動物やマダニの疫学は、病原体毎にPCR、分離や血清学的方法など適切な方法を用いて実施した。動物実験は各研究施設で実験承認を得て行なった。
結果と考察
1)サルに致死的流行を起こしたCDVをRGにより回収した。ネコモルビリウイルスが国内のネコにmお浸淫していて、ウイルスには3遺伝子型があるが地理的分布とは一致しない、2)ニホンザルに致死的なSRV4をRGで回収し、受容体がASCT2と同定し、3)狂犬病のG蛋白質の糖鎖修飾が細胞内局在と粒子形成に重要であり、4) MERS-CoVのS蛋白を外套したpVSVによる中和抗体測定法を開発し、ラットDpp4がレセプターとして機能しない、 5) 野兎病菌の病原性遺伝子pdpC遺伝子欠損弱毒株と強毒株では6遺伝子の発現レベルが異なり、6) 国内の野生動物・節足動物間で、新規ラブドウイルス・フレボウイルス・トーゴトウイルス・フラビウイルスが蔓延していて、北海道のヒメネズミ及びベトナムの翼手目から新規ヘルペスウイルス4株が分離され、7) ハンタウイルスはユーラシア大陸で誕生したと推測され、8) 回帰熱群や新興回帰熱群特異的抗原を推定し大腸菌で組換え抗原を作製し、9) E. coli O157:H7感染防御効果があるビフィズス菌の株を見出し、10) シカがCorynebacterium ulceransを保菌し、ネコを介して人への感染すると推定し、11) 日本に存在しないとされていたバベシア(B. divergens)が全国的に分布している事からヒトバベシア症が国内でも発生するリスクがあり、11) ヒト狂犬病の救命8症例を参考に現時点で行い得る治療法、院内感染対策などに関してまとめた。
結論
多くの動物由来感染症あるいは動物由来感染症として新興する可能性のある感染症に関して研究を行った結果、新たな知見が得られた。レセプターの同定されたウイルスなどではヒトへのリスクを最終年に評価する。また、疫学的に日本に分布しないと考えられていたバベシアなどが浸淫していることが明らかになりリスクが有ることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2015-04-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-04-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201420031Z