地方自治体との連携による新型インフルエンザ等の早期検出およびリスク評価のための診断検査、株サーベイランス体制の強化と技術開発に関する研究

文献情報

文献番号
201420025A
報告書区分
総括
研究課題名
地方自治体との連携による新型インフルエンザ等の早期検出およびリスク評価のための診断検査、株サーベイランス体制の強化と技術開発に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 皆川 洋子(愛知県衛生研究所)
  • 佐藤 裕徳(国立感染症研究所 病原体ゲノムセンター)
  • 影山 努(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
  • 今井 正樹(岩手大学農学部 獣医公衆衛生学)
  • 齋藤 玲子(新潟大学医歯学総合 国際保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,482,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国地方自治体・地方衛生研究所(地研)と国立感染症研究所(感染研)の密な連携による全国規模のPCR診断検査体制および株サーベイランス体制の強化とそれらの高い精度の維持を目的としている。効率的な実行性を追求するために、本研究班でH22 年度に構築した6地方ブロック代表および5ヵ所のサポート地研からなる11機関のコア・サポート地研-感染研共同研究ネットワークを効率よく稼働させ、検査系、株サーベイランス系の改良と強化を達成する。
研究方法
1)全国地研におけるPCR診断検査の外部精度管理(EQA)試験の実施。2)全国地研での株サーベイランス技術改善のためのウイルス分離培養の環境調査、技術研修の要否と戦略の検討。3)薬剤耐性株を含むハイリスク分離株の遺伝子情報から、計算科学によるハイリスク変異株出現予測とリスク評価法の開発を行う。4)ブタや鳥由来など新型ウイルス発生の際に速やかに国民の抗体保有状況を把握できる血清疫学体制の維持およびワクチン接種後のヒト血清抗体の安定確保基盤の整備。
結果と考察
1)鳥インフルエンザA(H5N8)国内発生へのPCR検査対応の再確認とウイルスの性状に関する情報共有をした。2)全国地衛研で季節性インフルエンザおよび鳥インフルエンザ(H5N1,H7N9)を高い精度を維持してPCR鑑別診断できるように全国規模での外部精度管理試験を実施した。3)全国地衛研におけるインフルエンザウイルスの回収技術体制の強化に向けた、ウイルス分離培養技術の再確認と改善への聞き取り調査を実施した。4)ウイルス遺伝子情報から計算科学を駆使した構造学的解析によるウイルス変化予測、薬剤耐性株の伝播性のリスク評価を実施した。5)ヒトの上気道細胞におけるウイルス増殖性を規定するノイラミニダーゼ(NA)遺伝子変異の特定を試みた。6)インフルエンザワクチン接種前後のペア血清を用いたワクチンの免疫原性の評価を実施した。これら各研究項目の実施により、地衛研のPCR検査技術、ウイルス分離培養技術精度の全国規模での均てん化が達成され、これは他の病原体検査体制の強化対策にとっても先導的モデルケースとしての役割を果たすことができる。また、計算科学によるウイルス遺伝子変異モデルを採用することにより、流行株の変化予測およびサーベイランスに応用できるか試みた。今後も改良を加えながら、実用化を目指す。
結論
・コア・サポート地衛研-感染研共同研究体制が5年目にはいり、効率的に稼働している。
・全国地衛研を対象としたEQAが2度実施され、PCR検査技術の大幅な改善と全国規模の検査系の均てん化が達成された。
・ウイルスタンパクの構造解析からリスク評価とサーべイランスへの応用の見通しが立った。
・ウイルスNA遺伝子に起こる変異とウイルス増殖性の関連を評価した。
・2013/14、2014/15シーズンのワクチンの抗体応答について評価し、ワクチンの有効性評価への支持情報を発信した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201420025Z