聴覚障害災害時要援護者支援情報システム開発研究

文献情報

文献番号
201419060A
報告書区分
総括
研究課題名
聴覚障害災害時要援護者支援情報システム開発研究
課題番号
H24-感覚-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
矢部 多加夫(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,144,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
表示装置3台を追加、計8台にて前年度の課題であった通信状況の改善を目的に電光表示装置ソフトを改良したシステムを設置、アンケート調査を行い、解析を行った。現在システムの運用は聴覚支援学校のみに限局してしているが、将来的には災害情報、避難情報、避難所における一連の情報を有機的に伝達する方策を検討中である。
研究方法
システム開発
聴覚障害災害時要援護者支援情報システムは、アンドロイド端末、WiFiメール機能、グーグルクラウド、フラッシュライト付き視覚情報表示ディスプレイ(情報受信者用)から構成されるが、機能性向上を検討した。
システム実証試験
災害訓練、学園祭模擬表示、体育会、不審者侵入時訓練、火災予防訓練など各種イベント時に実証試験、アンケート調査を施行した。
結果と考察
システム開発
WiFiメール機能の規格を強化し、内臓CPUと回路を改良新規開発した追加フラッシュライト付き視覚情報表示ディスプレイを使用し、機能性向上を図った。電光表示ソフトをさらに改善、聴力障害者の要望に答えた超高速表示を実現する、現場の一時的なアドホックネットワークの機動性向上を目的にネットワークプロトコルを従来のAODVからOLSRに変更し評価する、システム全体の価格を抑えるためにCPUをRaspberry pieに変更する、音声認識を利用した音声入力機能の改善が今後の課題である。
システム実証試験
LED表示条件は15m緑・高速スクロールの条件が高い視認性を示した。健聴者に比べ超高速表示で視認性が向上した。聴覚障害者では残された視覚情報認知、おそらく動体視力認知機能と合わせた優位性が反映された結果と推察された。
結論
クラウドコンピューティング、WiFiメール機能を利用した本システムは、接続ネットワーク、情報表示のみを準備することにより対象が限定された本事例の場合でも情報配信ネットワークの構築が安価に大規模な取り付け工事なしに可能であった。
表示文字では大きな文字が、色は緑色、スクロールは有った方が良く、速さは高速スクロールの項目が有意差を認めた。健聴者に比べ超高速表示で視認性が向上するという結果であった。
開発、評価の過程で集積された問題点・課題を解析、検討して今後のシステム機能向上に結びつけたい。

公開日・更新日

公開日
2015-08-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201419060B
報告書区分
総合
研究課題名
聴覚障害災害時要援護者支援情報システム開発研究
課題番号
H24-感覚-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
矢部 多加夫(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
聴覚障害災害時要援護者を対象に支援情報機器の長期実証実験を行った。
表示装置計11台にて聴力障害者の要望に答えた超高速表示の実現、アドホックネットワーク機動性向上を目的にネットワークプロトコルを従来のAODVからOLSRに変更、システム全体の価格を抑えるためにCPUをRaspberry pieに変更、音声認識を利用した音声入力機能の改善・情報受信確認の返信機能充実・通信状況向上のために中継ノード設置・家庭用表示器機能を追加検討した。
研究方法
宮城県立聴覚支援学校に機器を設置、試験稼働を開始した。階段を隔てた多数階間の通信、超高速表示、現場の一時的なアドホックネットワークの機動性向上、システム全体の価格を抑えるためにCPU変更、音声認識を利用した音声入力機能の改善、情報受信確認の返信機能充実、人を認識して名前を表示する機能Active Displayについて検討した。
実証試験・アンケート評価は、従来同様、宮城県立聴覚支援学校で実施した。対象は聴覚障害者3年合わせて計194名であった。
結果と考察
LED表示認知 (88%)、内容理解 (86%)、利便性評価 (92%)といずれも高値で、支援情報機器新システムに対する評価は高かった。
聴覚障害者は高速・遠距離でも、表示データを読み取る割合が健聴者に比べて高い傾向が確認できた。高速表示速度・8桁数字内容では20m、10mでは健聴者の方が、近距離(1m)では聴覚障害者で正解率が高かった。
支援情報機器開発研究で聴覚進学校での有効性が確認された。この結果を基に学校だけでなく、病院、図書館、公民館など、各種公共施設などを始めとして介護施設、仮設住宅など色々な場面において展開できる可能性が示唆された。今後東京オリンピック開催に向け、災害時要援護者の中の外国人旅行者用の多言語表示システムは必要になると思われる。
結論
本聴覚障害災害時要援護者支援情報機器システムの作動は安定しており、聴覚障害者からも高い評価を得た。開発、評価の過程で集積された問題点・課題を解析、検討して今後のシステム機能向上に結びつけたい。

公開日・更新日

公開日
2015-08-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201419060C

成果

専門的・学術的観点からの成果
表示文字では大きな文字が、色は緑色、スクロールは有った方が良く、速さは高速スクロールの項目で有意差を認めた。健聴者に比べ超高速表示で視認性が向上する結果が得られたが、動体視力認知機能と合わせた優位性が反映された結果と推察された。日本語もしくは災害情報に関する言葉に関しては遠距離、高速という条件では聴覚障害者の正解率が若干高いものの、ランダムな数字列に関しては健聴者の正解率が圧倒的に高かった。言語習得における抽象概念習得の経緯差が推測された。
臨床的観点からの成果
本聴覚障害災害時要援護者支援情報機器システムの作動は安定しており、聴覚障害者からも高い評価を得た。システム全体の価格を抑えるためにCPUをRaspberry pieに変更する、音声認識を利用した音声入力機能の改善、情報受信確認の返信機能充実、通信状況向上のために中継ノード設置、家庭においても情報を受信できる家庭用表示器、詳細避難ルート設定などの具体的・実用的な検討も行った。
ガイドライン等の開発
なし。
その他行政的観点からの成果
支援情報機器開発研究での有効性を基に学校だけでなく、病院、図書館、公民館など、各種公共施設などを始めとして介護施設、仮設住宅など色々な場面において展開できる可能性が示唆された。今後東京オリンピック開催に向け、災害時要援護者(Children、Handicapped、Elderly people、Chronically ill、Tourists、CHECT)の中の外国人旅行者用の多言語表示システムは必要になると思われる。
その他のインパクト
なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-08-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201419060Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,686,000円
(2)補助金確定額
6,686,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,130円
人件費・謝金 97,800円
旅費 1,436,484円
その他 3,594,586円
間接経費 1,542,000円
合計 6,686,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-08-20
更新日
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