精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド

文献情報

文献番号
201419036A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド
課題番号
H25-精神-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(独立行政法人精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 竹島 正(独立行政法人精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
14,774,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、第1回「こころの健康についての疫学調査」(世界精神保健日本調査ファースト)から10年が経過した2010年代半ばにおけるわが国の地域住民の精神疾患の頻度、受診行動、関連要因、社会生活・自殺行動などへの影響を日本の代表サンプルにおいて明らかにすることである。また統合国際診断面接法(CIDI)3.0による双極性障害の診断評価の妥当性を明らかにする。3.さらに精神保健疫学に関する国際会議を開催して精神疾患の疫学研究に関する国際共同研究およびその行政施策への応用について討議する。
研究方法
1.平成26年度は東日本(関東を除く、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県)、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)から選択された合計37地点の20~74歳の住民合計1850人を対象に面接調査と自己記入式調査票による調査を行った(世界精神保健日本調査セカンド2014東日本調査)。2.双極性障害を有する患者と双極性障害を有しない者に対してSCIDによる診断をゴールドスタンダードとし、CIDIによる双極性障害の診断評価の妥当性を評価する。評価が異なる場合に,それを修飾する可能性因子についての検討を行う。3.2014年10月15日からの4日間,わが国で初めてとなる世界精神医学会の疫学・公衆衛生セクションミーティング2014(WPASEPH2014)を奈良市で開催し,精神疾患の疫学研究に関する国際共同研究およびその行政施策への応用について討議した。
結果と考察
1.2014年東日本調査の回答者は852人であり、転居、死亡、長期不在、住所不明を除いた1726人を分母とした回答率は49%であった。DSM-IV-TR精神疾患の12ヶ月有病率は、大うつ病性障害(2.5%)、アルコール乱用(1.2%)が高かった。過去12ヶ月間に精神疾患を経験した者のうち15.0%が精神科医を、2.5%が一般医を受診し、医師受診率は合計で20.0%であった。世界精神保健日本調査(2002-2006)とくらべて医師受診全体では5ポイントの増加だが、特に精神科医への受診が倍増していた。大うつ病性障害の過去12ヶ月経験者でも同様の傾向が見られた。2.CIDIによる双極性障害の診断評価の妥当性検討ための調査の倫理的な手続き,調査に用いる調査票の作成,面接調査員のトレーニングを完了した。研究協力者と調査のフィージビリティを検討し,調査の実施が可能と判断できた。3.WPASEPH2014の参加者は280名を超え,その約半数が海外からの参加者であって,精神医学と公衆衛生学の専門家が多く参加した。 英語と日本語での発表が2つの会場で同時進行され,精神保健疫学研究の発展とその社会応用を進める上で,精神医学と疫学・公衆衛生学の専門家の協働が必要であることが確認された。
結論
1.2014年東日本調査では、2013年の関東地方調査に比べて回収率を向上させることができた。関東地方以外の東日本地域でも10年前に比べて大うつ病性障害等がいくらか増加していること、また精神疾患による精神科医への受診が増加していることが示された。2015年には西日本地域の調査を進めることで、2010年代におけるわが国における精神疾患の有病率、受診率などが明らかになる。2.CIDIによる双極性障害の診断評価の妥当性検討ための調査の準備を完了し,来年度に調査を開始することが可能となった。3.WPASEPH2014は国内外の精神保健疫学の研究者が一堂に会する貴重な機会となり,わが国の精神医学と公衆衛生学の研究者の協働による精神保健疫学発展の可能性を高めた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201419036Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,206,000円
(2)補助金確定額
19,206,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 717,053円
人件費・謝金 67,125円
旅費 1,460,443円
その他 12,529,379円
間接経費 4,432,000円
合計 19,206,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
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