慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン作成と患者レジストリの構築

文献情報

文献番号
201415106A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン作成と患者レジストリの構築
課題番号
H26-難治等(難)-一般-071
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
木村 宏(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 藤原 成悦(国立成育医療研究センター 研究所)
  • 大島 孝一(久留米大学 医学部)
  • 岩月 啓氏(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 浅田 秀夫(奈良県立医科大学 医学部)
  • 新井 文子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 伊豆津 宏二(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
  • 大賀 正一(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 澤田 明久(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 伊藤 嘉規(名古屋大学医学部 附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
13,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性活動性EBウイルス感染症、EBウイルス関連血球貪食症候群、種痘様水疱症、蚊刺過敏症の4疾患は、それぞれ疾患概念が確立し異なる臨床像を持つが、EBウイルスが感染したT細胞・NK細胞の増殖に端を発するという共通点がある。本疾患群は東アジアの小児および若年成人を中心に発症し、感染因子、遺伝因子など複数の要因が関わり、全身・局所的な病変を来すため、特定の疾患グループ/診療科に帰属させることが困難であった。また、いずれの疾患も希少かつ難治であり治療指針が未確立な現在、疾患領域・診療科を超え、共通の指針に基づく診療ガイドラインを作成することが喫緊の課題である。本研究班は、4疾患に対する診療ガイドラインを作成し、更にガイドラインに基づく登録制度(レジストリ)を確立、診療実態の把握・治療成績・長期予後に関する疫学調査を行い、本疾患群の全体像を明らかにすることを目的としている。
研究方法
1) 診療ガイドライン作成:分担研究者を中心として幅広い分野から診療ガイドライン組織を構築することとした。構成はMedical Information Network Distribution Service(Minds)に準拠した。
2) 慢性活動性EBウイルス感染症診断基準の改定:2003年にEBウイルス感染症研究会より公表された本症の診断指針の内容について、近年の論文・学会発表を参考に、更新が必要と思われる部分を記載した改訂案を作成した。
3) 患者レジストリの構築: レジストリ構築に備え、EBV感染症研究会第10回ー第23回抄録集ならびに、EBV感染症研究会事務局資料をもとに、アンケート調査状況、研究会参加状況、発表内容について調査・分析した。
結果と考察
平成26年度は、診療ガイドライン作成のために、まず診療ガイドライン作成組織を構築し、ガイドラインの大枠・作成方法・スケジュールを決定した。組織は、大筋の方針を決める統括委員会、ガンドラインの草稿・推奨を作る作成グループ、システマティックレビューチームの三層構造とした。医学・医療の専門家以外にも、患者の会代表、図書館協会委員を加えた。また、外部評価委員として、日本小児・血液がん学会・日本小児感染症学会・日本血液学会から委員を出していただいた。統括委員会・作成委員会を通し、各疾患の定義・位置づけを確認し、慢性活動性EBV感染症診断基準の改定(後述)、疾患スコープ・クリニカルクエスチョン(CQ)作成にあたった。更に2003年に制定されて以来改変されていない慢性活動性EBウイルス感染症診断基準の見直し及び改定に着手した。
本疾患群は我が国をはじめとする東アジアの小児および若年成人を中心に発症する。遺伝因子、感染因子など複数の要因が関わり、全身・局所的な病変を来すため、特定の疾患グループ/診療科に帰属させることが困難であった。患者の会(SHAKEの会、http://caebv.com)との交流会においても、患者はしばしば受診診療科/施設に悩み、未だ医療従事者の認知が乏しく、しかるべき診断・治療を受けるまでに長期間を要していること、そして生活面においても長期にわたる支障を被っていることが指摘されている。よって、疾患領域・診療科を超え、共通の指針に基づく診療ガイドラインを作成することが急務である。
平成26年度は、レジストリを構築するにあたって、必要な情報・データの収集と整理を行った。患者レジストリを確立することで、診療実態・治療成績・長期予後を把握できる。調査結果に基づき診療ガイドラインを改定し、重症度分類に基づいた診療を確立すれば、患者の予後改善につながる。また、診断・治療の均てん化で、本疾患群の治療成績が向上し、予後のみならず患者とその家族の「生活の質」向上を期待できる。更には、本疾患群の全体像と患者の実態を解明することは、新しい難病政策における医療費助成の仕組みを構築する際の必要な情報となりうると考えられる。
結論
診療ガイドライン作成のために、まずガイドライン作成組織を構築し、ガイドラインの大枠・作成方法・スケジュールを決定した。更に2003年に制定されて以来改変されていない慢性活動性EBウイルス感染症診断基準の見直し及び改定に着手した。診療ガイドライン・患者レジストリを確立できれば、多彩で難治な慢性活動性EBウイルス感染症およびその類縁疾患の、実態解明、疾患予後改善、患者の生活の質改善につながると期待できる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415106Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,200,000円
(2)補助金確定額
17,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,271,312円
人件費・謝金 834,059円
旅費 959,740円
その他 1,165,889円
間接経費 3,969,000円
合計 17,200,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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