難治性腎疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415077A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腎疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-042
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松尾 清一(名古屋大学 大学院医学系研究科腎臓内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 仁(金沢医科大学医学部)
  • 渡辺 毅(福島県立医科大学医学部)
  • 長田 道夫(筑波大学医学医療系)
  • 服部 元史(東京女子医科大学医学部)
  • 安藤 昌彦(名古屋大学医学部附属病院)
  • 川村 哲也(東京慈恵会医科大学附属病院)
  • 鈴木 祐介(順天堂大学大学院医学研究科)
  • 山縣 邦弘(筑波大学医学医療系)
  • 杉山 斉(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 丸山 彰一(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 武藤 智(帝京大学医学部)
  • 堀江 重郎(順天堂大学医学部)
  • 岩野 正之(福井大学医学部)
  • 成田 一衛(新潟大学医歯学系)
  • 岡田 浩一(埼玉医科大学医学部)
  • 本田 雅敬(東京都立小児総合医療センター)
  • 藤元 昭一(宮崎大学医学部)
  • 要 伸也(杏林大学医学部)
  • 柴垣 有吾(聖マリアンナ医科大学医学部)
  • 望月 俊雄(東京女子医科大学医学部)
  • 佐藤 和一(藤田保健衛生大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,231,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 佐藤和一 名古屋大学(平成26年4月1日~平成26年6月30日)→藤田保健衛生大学(平成27年7月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
対象重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)について、①これまでの研究で確立したウエブ疾患登録のシステム改良による予後追跡、②Mindsの作成手順に則った形ですでに作成した診療ガイドラインの臨床現場への普及、③同ガイドラインの検証と改訂、④疾患ごとのコホート(二次研究)の推進、⑤小児期からの移行(Transition)の調査研究および診療ガイドラインの作成、⑥研究成果を、社会・患者と双方向的に共有するための啓発活動(ホームページの充実など)。さらに⑦3年間の研究から得られた研究成果をもとにリサーチクエスチョンの立案と政策提言。以上を研究目的とした。
研究方法
研究組織は、研究班全体を統括する「研究管理推進委員会」のもとに「疾患登録・調査研究分科会」と「診療ガイドライン分科会」の2つの分科会を置き、それぞれに分科会責任者を定めた。「疾患登録・調査研究分科会」はさらに疾患登録・調査研究分科会および重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)の各ワーキンググループ(WG)に、「診療ガイドライン分科会」も同じく重点4疾患ガイドラインワーキンググループ(GL-WG)に細分化され、それぞれ責任研究分担者のもとに研究分担者、協力者による研究グループを組織した。移行医療に関しては疾患登録・調査協力、診療ガイドライン両分科会の下にWG、GL-WGを設置した。
「研究管理推進委員会」は研究代表者が委員長を務め、委員は各分科会責任分担研究者・臨床疫学者・事務局で組織され、予め定めた研究計画の進捗状況のチェックと分科会へのサポートを行うとともに、社会への情報発信についても事務局を通じてこれを企画・実行した。疫学者による臨床研究プロトコールの確認ならびに研究支援のもと遂行された研究成果進捗状況は、年3回分担研究者全員による会議の場において逐一報告された。また、本研究班で明確にできなかった課題を班内外の専門家の意見を広く聴取しリサーチクエスチョンとして抽出した。
結果と考察
研究で取り組んでき腎臓疾患レジストリーは順調に登録数の伸びを見た。特に重点4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)を対象とした二次研究においては、本邦における疫学的あるいは今後の治療指針の礎となる数多くの知見が得られた。
本年度に当研究班が発表した、わが国で初となる「エビデンスに基づく診療ガイドライン」は、本邦での今後の腎臓診療の標準化に大きく寄与するものと期待できる。今後は、ガイドラインの運用状況の調査に基づき、診療ガイドラインの普及と診断基準・重症度分類・治療指針の再検証を通じた、さらなる診療ガイドラインの改訂が、疾患のアウトカム改善のために極めて重要な課題となると考えられる。その第一歩として、CIを定めて遵守率を調査していく必要がある。
また小児腎疾患の成人医療への移行に関しては、当研究で小児科医と内科医双方による、強固な協力体制のもと、本年度ステートメントを発表したが、これは世界でも例をみない試みである。今後は腎疾患診療ガイドラインへの移行に関する追加を目標としたエビデンスの集積や、実際の診療現場で移行システム構築が課題としてあげられる。
結論
種々の腎疾患のうちで本研究課題が対象とする4疾患(IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎)に関して、平成26年度事実上わが国で初めてとなるエビデンスに基づく診療ガイドラインを公表した。今後、この診療ガイドラインの普及と診断基準・重症度分類・治療指針の検証(日本人の臨床データの収集と諸外国のガイドラインとの比較を含む)を通じた診療ガイドラインの改正は、疾患のアウトカム改善のために極めて重要な課題である。また本研究班で樹立した腎疾患登録システムに関しては、今後より正確に予後調査ができるようレジストリーシステムを改良することを計画している。小児医療から成人医療への移行(Transition)には小児・成人施設が連携した移行プログラムが必要であり、欧米に比べ、日本ではこれからの課題である。日本小児腎臓病学会と連携し、小児期発症慢性腎臓病患者の移行に関する実態を調査し、移行医療の診療ガイドラインの新規作成を目指す必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415077Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,300,000円
(2)補助金確定額
26,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,703,392円
人件費・謝金 1,658,643円
旅費 3,295,708円
その他 8,573,905円
間接経費 6,069,000円
合計 26,300,648円

備考

備考
自己資金:648円

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-