文献情報
文献番号
201415066A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-031
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
三村 秀文(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 藤野明浩(慶應義塾大学外科学(小児外科)・小児外科学)
- 黒田達夫(慶應義塾大学医学部小児外科学)
- 小関道夫(岐阜大学医学部附属病院小児科・小児科学(血液腫瘍学))
- 田中純子(広島大学大学院医歯薬保健学研究院・疫学・疾病制御学)
- 佐々木了(KKR札幌医療センター斗南病院・形成外科)
- 大須賀慶悟(大阪大学医学系研究科放射線医学)
- 秋田定伯(長崎大学医学部・歯学部附属病院・形成外科)
- 高倉伸幸(大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門情報伝達分野)
- 中岡啓喜(愛媛大学医学部附属病院・形成外科)
- 森井英一(大阪大学医学系研究科病態病理学)
- 田倉智之(大阪大学・大学院医学系研究科・医療経済産業政策学寄附講座・医療経済学)
- 栗田昌和(杏林大学医学部付属病院・形成外科)
- 力久直昭(千葉労災病院・形成外科)
- 岩中 督(東京大学大学院医学系研究科・小児外科学)
- 上野 滋(東海大学医学部外科学系小児外科学・小児外科学)
- 森川康英(慶應義塾大学外科学(小児外科)・小児外科学)
- 野坂俊介(国立成育医療研究センター放射線診療部放射線診断科・画像診断学)
- 梅澤明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所 再生医療センター)
- 青木洋子(東北大学・臨床分子遺伝学(東北大学))
- 木下義晶(九州大学大学院医学研究院小児外科学分野・小児外科学)
- 松岡健太郎(国立成育医療研究センター病理診断部・病理学)
- 平川聡史(浜松医科大学医学部皮膚科学)
- 新見康成(聖路加国際病院・神経血管内治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,231,000円
研究者交替、所属機関変更
研究代表者三村秀文は平成26年11月に聖マリアンナ医科大学放射線医学に所属変更となった。
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症およびその関連疾患を対象とする。これらの疾患には長期にわたり患者のQOLを深刻に損なう多くの難治性の病態が含まれる。佐々木班・三村班は血管腫・血管奇形診療ガイドライン・重症度分類(案)・診断基準作成、全国疫学調査を行ってきた。藤野班ではリンパ管腫の全国調査が行われ、診断基準(案)、重症・難治性度診断基準(案)が作成された。小関班ではリンパ管腫症の全国調査が行われた。今後ガイドライン改訂、重症度分類の完成、細分化した診断基準の作成を行う。形成外科学会・皮膚科学会・小児外科学会、IVR学会、病理学会等と協力し承認を得る。新生児・乳児の肝血管腫には腫瘍性病変および血管奇形性病変を認め、致死率は比較的高く高度医療を要するため、診断・治療のガイドラインが望まれる。小児外科内の先行調査を踏まえて新生児・周産期の症例の調査を加えて、本研究期間内に完成する。
研究方法
1.血管疾患を主とした研究【平成26-27年度】全国疫学調査のデータを検討し、重症度分類の妥当性を検証し、ブラッシュアップを行う。「軟部・皮膚脈管奇形」診断基準を作成したが、細分化した診断基準を作成する。健康保険データと標準病名データから、脈管奇形各病変の患者数を推定する。【平成26-28年度】現診療ガイドラインは形成外科学会・IVR学会の承認を得ているが、改訂し皮膚科学会・小児外科学会の意見を反映させる。2.リンパ管疾患を主とした研究【平成26年度】リンパ管腫・リンパ管腫症の診断基準(案)、重症・難治性度診断基準(案)を完成する。病理組織診断による診断基準案作成、一般への全国調査の情報公開、ホームページ拡充、患者会との交流を行う。【平成27、28年度】各科学会や患者会との協議を行い、最終診断基準を報告することと現時点での診療ガイドラインを完成する。また今後の診療・研究の発展の布石として前方視的症例登録システムを確立する。3.肝血管腫・血管奇形研究【平成26年度】先行研究により症例の登録が進められており、周産期センターでの調査を追加した上で、すでに作成中の診断基準(案)の検討・調整を行い、これを完成する。【平成27、28年度】各科学会、肝以外の領域の血管腫・血管奇形との整合性の調整を行いつつ診療ガイドラインを作成する。
結果と考察
1.診断基準作成・学会承認:静脈奇形、動静脈奇形、混合型脈管奇形(混合型血管奇形)、リンパ管奇形(リンパ管腫)、リンパ管腫症・ゴーハム病の診断基準を作成し、関連学会の承認を得た。2.重症度分類作成・学会承認:脈管奇形重症度分類案に微修正を加え、静脈奇形、動静脈奇形、混合型脈管奇形(混合型血管奇形)の重症度分類とした。リンパ管奇形(リンパ管腫)の重症度分類は藤野班で作成されたリンパ管腫の難治性度分類を重症度・難治性度分類として適用した。リンパ管腫症・ゴーハム病の重症度分類は新たに作成した。これらは関連学会の承認を得た。3.指定難病検討資料提出:上記5疾患を対象疾患として検討資料を提出した。4.患者数推定:末梢性動静脈奇形、クリッペル・トレノネー症候群結果、クリッペル・トレノーネイ・ウェーバ症候群の全国推定患者数の算出を行った5.「血管腫・脈管奇形診療ガイドライン(仮称)」改訂版草案作成:新規10個のCQを設定し、文献検索、システマティックレビューを行い、推奨案・解説案の試作を行った。10個のCQに対して推奨案・解説案を作成した。6. 乳児巨大肝血管腫に関する研究:これまでの厚生労働省難治性疾患克服研究事業における調査結果を見直して、乳児巨大肝血管腫の概念を1歳未満の単発性・多発性の肝内血管性病変をもつ有症状例と規定し、診断基準案および重症度分類案を策定した。乳児巨大肝血管腫に対する診療ガイドライン策定の手掛かりとして、CQとそれに関するPICO事項をまとめた。
結論
「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」の改訂作業を行っており、本年度は新規10個のCQに対して推奨を作成した。静脈奇形、動静脈奇形、混合型脈管奇形(混合型血管奇形)、リンパ管奇形(リンパ管腫)、リンパ管腫症・ゴーハム病それぞれの診断基準、重症度分類を完成させ、関連学会の承認を得て指定難病検討資料として厚生労働省疾病対策課に提出した。乳児巨大肝血管腫に関する研究では診断基準案、重症度分類案を策定し、診療ガイドラインのCQとPICO事項がまとめられた。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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