文献情報
文献番号
201412057A
報告書区分
総括
研究課題名
社会的要因を含む生活習慣病リスク要因の解明を目指した国民代表集団の大規模コホート研究:NIPPON DATA80/90/2010
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-循環器等(生習)-指定-022
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
- 上島 弘嗣(滋賀医科大学アジア疫学研究センター)
- 岡山 明(生活習慣病予防研究センター)
- 岡村 智教(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学)
- 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 奥田 奈賀子(人間総合科学大学健康栄養学科)
- 尾島 俊之(浜松医科大学医学部健康社会医学講座)
- 門田 文(滋賀医科大学アジア疫学研究センター)
- 喜多 義邦(敦賀市立看護大学看護学部看護学科)
- 清原 裕(九州大学大学院医学研究院環境医学分野)
- 斎藤 重幸(札幌医科大学保健医療学部看護学科基礎臨床医学講座)
- 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 中川 秀昭(金沢医科大学医学部公衆衛生学講座)
- 中村 保幸(京都女子大学家政学部生活福祉学科)
- 西 信雄(国立健康・栄養研究所国際産学連携センター)
- 早川 岳人(福島県立医科大学衛生学・予防医学講座)
- 藤吉 朗(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門)
- 寳澤 篤(東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門)
- 宮松 直美(滋賀医科大学看護学科臨床看護学講座)
- 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター予防健診部)
- 村上 義孝(東邦大学医学部社会医学講座医療統計学分野)
- 由田 克士(大阪市立大学大学院生活科学研究科 食・健康科学講座公衆栄養学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
46,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の循環器疾患等生活習慣病予防対策立案のため、国民の代表集団である国民健康・栄養調査および循環器疾患基礎調査対象集団を長期追跡するコホート研究を実施し、日本的ライフスタイルや社会環境の中で生まれる日本国民特有の生活習慣病リスク要因を明らかにする。健康日本21(第2次)では、健康格差の縮小が重要課題となっており、社会的要因と国民の健康との関連も明らかにする。
研究方法
申請者らが実施している1980年、および1990年の循環器疾患基礎調査の受検者を対象としたコホート研究 (NIPPON DATA80, NIPPON DATA90)、また、2010年(平成22年)実施の国民健康・栄養調査受検者を対象としたコホート研究 (NIPPON DATA2010) において、以下を実施する。
1. NIPPON DATA2010コホートの4年目追跡調査を実施する。また、2010年の国民生活基礎調査データを活用して社会的要因、生活習慣、危険因子の相互の関連を明らかにする。また、生活習慣病新規発症追跡を最長7年間継続し、社会的要因を含む発症要因を明らかにする。
2. NIPPON DATA90コホートでは25年目(平成27-28年度)の追跡を実施し、NIPPON DATA80コホートの29年追跡データとともにリスク要因の長期影響を明らかにする。また、国民生活基礎調査(または厚生行政基礎調査等)データの活用を進める。
3. 過去30年間にわたる国民の生活習慣病リスク要因および生活習慣の推移を明らかにする。
1. NIPPON DATA2010コホートの4年目追跡調査を実施する。また、2010年の国民生活基礎調査データを活用して社会的要因、生活習慣、危険因子の相互の関連を明らかにする。また、生活習慣病新規発症追跡を最長7年間継続し、社会的要因を含む発症要因を明らかにする。
2. NIPPON DATA90コホートでは25年目(平成27-28年度)の追跡を実施し、NIPPON DATA80コホートの29年追跡データとともにリスク要因の長期影響を明らかにする。また、国民生活基礎調査(または厚生行政基礎調査等)データの活用を進める。
3. 過去30年間にわたる国民の生活習慣病リスク要因および生活習慣の推移を明らかにする。
結果と考察
5年計画の2年目である平成26年度は以下の研究を実施した。当初の計画通り実施できた。
1. NIPPON DATA2010対象者約3,000人において4年目の新規発症追跡調査を実施した。98%の追跡率を達成している。発症者については脳卒中、心筋梗塞、糖尿病等に関する医療機関への確認調査を実施した。
2. NIPPON DATA2010対象者における2010年国民健康・栄養調査データとの突合データを用いて社会的要因等に関する解析を行った。社会的要因と高血圧有病率、治療率、喫煙・飲酒等生活習慣との関連などについて日本高血圧学会、国際疫学会、日本循環器病予防学会等で報告した。健康格差縮小対策の資料となる。
3. 2010年の国民生活基礎調査データの使用申請を行いNIPPON DATA2010と突合し、社会的要因を中心とする予備解析を実施した。
4. NIPPON DATA80の24年追跡データにて、野菜・果物の摂取が多いほど循環器疾患死亡リスクが減少することを明らかにした(Okuda N, et al. Eur J Clin Nutr 2015)。また、高コレステロール血症(220mg/dl以上)による冠動脈疾患死亡の集団寄与危険割合が10.6%であることを明らかにした(Sugiyama D, et al. J Atheroscler Thromb 2014)。また、低炭水化物食と循環器疾患リスクの関連も報告した(Nakamura Y, et al. Br J Nutr 2014)。以上を含め計5編の原著論文が採択された。研究成果はマスコミ等を通じて国民に分かりやすい形で発信した。
5. 過去30年間にわたる生活習慣病およびそのリスク要因の推移を検討した。
1. NIPPON DATA2010対象者約3,000人において4年目の新規発症追跡調査を実施した。98%の追跡率を達成している。発症者については脳卒中、心筋梗塞、糖尿病等に関する医療機関への確認調査を実施した。
2. NIPPON DATA2010対象者における2010年国民健康・栄養調査データとの突合データを用いて社会的要因等に関する解析を行った。社会的要因と高血圧有病率、治療率、喫煙・飲酒等生活習慣との関連などについて日本高血圧学会、国際疫学会、日本循環器病予防学会等で報告した。健康格差縮小対策の資料となる。
3. 2010年の国民生活基礎調査データの使用申請を行いNIPPON DATA2010と突合し、社会的要因を中心とする予備解析を実施した。
4. NIPPON DATA80の24年追跡データにて、野菜・果物の摂取が多いほど循環器疾患死亡リスクが減少することを明らかにした(Okuda N, et al. Eur J Clin Nutr 2015)。また、高コレステロール血症(220mg/dl以上)による冠動脈疾患死亡の集団寄与危険割合が10.6%であることを明らかにした(Sugiyama D, et al. J Atheroscler Thromb 2014)。また、低炭水化物食と循環器疾患リスクの関連も報告した(Nakamura Y, et al. Br J Nutr 2014)。以上を含め計5編の原著論文が採択された。研究成果はマスコミ等を通じて国民に分かりやすい形で発信した。
5. 過去30年間にわたる生活習慣病およびそのリスク要因の推移を検討した。
結論
各種学会ガイドラインの作成、健康日本21推進、特定健診・特定保健指導の推進等、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案への重要な提言を行う資料が得られた。今後も追跡調査、分析を続け、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案のためのエビデンスの充実を図る。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
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