文献情報
文献番号
201412016A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防や身体機能維持のためのエネルギー・たんぱく質必要量の推定法に関する基盤的研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
田中 茂穂(独立行政法人国立健康・栄養研究所 基礎栄養研究部)
研究分担者(所属機関)
- 高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
- 木戸 康博(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科)
- 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
- 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター研究所 老年医学)
- 引原 有輝(千葉工業大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「日本人の食事摂取基準」におけるエネルギーおよびたんぱく質の必要量に関して、特に高齢者や小児における日本人の知見が乏しい。そこで、これらの値を決定するとともに推定法を改善・確立することが、本研究の主な目的である。
研究方法
1)自立した高齢者男女を対象に、二重標識水法に基づく総エネルギー消費量および基礎代謝量と、それらから得られる身体活動レベル(PAL)のデータの収集を継続した。3年度目は、測定希望者33名全員に歩数調査を行い、国民健康・栄養調査の歩数調査結果に近くなるよう、対象者を17名に限定して測定を実施した。
2)そのうちの健康な80歳以上の日本人高齢者を被験者とした。指標アミノ酸酸化 (Indicator Amino Acid Oxidation; IAAO)法によるたんぱく質代謝要求量の測定を実施した。被験者は、実験日に、9:00から18:00まで1時間ごとに、基礎代謝量×1.5kcal/日の1/12量のエネルギーおよび1日摂取量の1/12量のたんぱく質を含む実験食を摂取した。実験食は、たんぱく質源として玉子焼きを用い、体重当たりの摂取たんぱく質量は、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2および1.4 g/kg/日とした。
3)首都圏内と首都圏外の国立大学附属中学校に通う男女117名(男子60名、女子57名)において、二重標識水法による総エネルギー消費量および基礎代謝量測定を実施した。
2)そのうちの健康な80歳以上の日本人高齢者を被験者とした。指標アミノ酸酸化 (Indicator Amino Acid Oxidation; IAAO)法によるたんぱく質代謝要求量の測定を実施した。被験者は、実験日に、9:00から18:00まで1時間ごとに、基礎代謝量×1.5kcal/日の1/12量のエネルギーおよび1日摂取量の1/12量のたんぱく質を含む実験食を摂取した。実験食は、たんぱく質源として玉子焼きを用い、体重当たりの摂取たんぱく質量は、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2および1.4 g/kg/日とした。
3)首都圏内と首都圏外の国立大学附属中学校に通う男女117名(男子60名、女子57名)において、二重標識水法による総エネルギー消費量および基礎代謝量測定を実施した。
結果と考察
1)3年間で合計74名の対象者の測定を実施し、67名について利用可能な結果を得ることができた。脳卒中、心筋梗塞、がんなどの既往がなく、日常生活をほとんど支障なく営んでいる在宅高齢者男女を対象に、二重標識水法に基づく総エネルギー消費量および基礎代謝量と、それらから得られるPALのデータの収集を完了した。データを採用した対象者67名における体格および歩数の平均値は国民健康・栄養調査と同程度であり、本研究対象者は標準的な日本人集団に近いと考えられる。しかしながら、いずれの性・年齢区分においても、食事摂取基準の「ふつう」に比べてPALは高値を示した。一方で、3次元加速度計を用いて身体活動を評価したところ、活動強度は高いものの歩数としてはカウントされない身体活動が多くみられた。
2)3年間で、70〜74歳、75〜79歳、80歳以上の各10名(計30名)の結果を得た。得られたたんぱく質代謝要求量は1.20 g/kg BW/dayで、現在のたんぱく質必要量(0.85 g/kg BW/day)よりかなり大きな値が得られた。また、昨年度の検討では、75~79歳で1.28 g/kg BW/dayと算出されており、70歳代の二つの区分でたんぱく質代謝要求量に顕著な違いは認められなかった。高齢者では若年成人と比較して、より多くのたんぱく質を摂取する必要があると考えられた。
3)対象者の平均PALは、1.83 ± 0.25であった。また、PALを従属変数、質問紙による生活習慣諸因子を独立変数に投入した重回帰分析により、PALの多寡に寄与する要因として、休み時間の過ごし方、学校部活動のない日の放課後の過ごし方、ならびに往復通学合計時間が選択された。
2)3年間で、70〜74歳、75〜79歳、80歳以上の各10名(計30名)の結果を得た。得られたたんぱく質代謝要求量は1.20 g/kg BW/dayで、現在のたんぱく質必要量(0.85 g/kg BW/day)よりかなり大きな値が得られた。また、昨年度の検討では、75~79歳で1.28 g/kg BW/dayと算出されており、70歳代の二つの区分でたんぱく質代謝要求量に顕著な違いは認められなかった。高齢者では若年成人と比較して、より多くのたんぱく質を摂取する必要があると考えられた。
3)対象者の平均PALは、1.83 ± 0.25であった。また、PALを従属変数、質問紙による生活習慣諸因子を独立変数に投入した重回帰分析により、PALの多寡に寄与する要因として、休み時間の過ごし方、学校部活動のない日の放課後の過ごし方、ならびに往復通学合計時間が選択された。
結論
以上のように、高齢者や子どもにおける総エネルギー消費量や身体活動レベル、たんぱく質必要量の問題点を指摘するとともに、新たな方法を提示した。高齢者における身体活動レベルやたんぱく質必要量、中学生における身体活動レベルのいずれも、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に示された値より高めとなっている。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
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