文献情報
文献番号
201409061A
報告書区分
総括
研究課題名
アンメットメディカルニーズ克服のための創薬と育薬
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(国際)-指定-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学 岡山大学病院)
研究分担者(所属機関)
- 那須 保友(岡山大学 岡山大学病院)
- 前田 嘉信(岡山大学 岡山大学病院)
- 平田 泰三(呉医療センター)
- 土井原 博義(岡山大学 岡山大学病院)
- 松岡 順治(岡山大学 大学院保健学研究科)
- 樋之津 史郎(岡山大学 岡山大学病院)
- 土居 弘幸(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 加藤 宣之(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 木浦 勝行(岡山大学 岡山大学病院)
- 豊岡 伸一(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 宗 淳一(岡山大学 岡山大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
70,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性疾患、小児疾患、希少疾患といったアンメットメディカルニーズの高い疾患を対象に、新規の薬剤並びに医療機器の開発を行うためにAROとしての機能を活用しアカデミアでありながら主体的に製品開発に関わるとともに世界に向けてエビデンスを発信し、新規治療法を国民へ還元することを目的とし、以下6試験を関連法令を遵守して行う。
研究方法
分担研究1)同種造血幹細胞移植後の難治性慢性移植片対宿主病を対象としたタミバロテンの多施設共同医師主導臨床第Ⅱ相試験
慢性GVHDに対する新たな治療法確立のため、タミバロテンを使用した多施設共同医師主導臨床第II相非対照オープンラベル試験を実施する。主要評価項目を、タミバロテン治療終了時点(24週)での治療奏効維持生存率かつ奏効率(CR+PR)とし,症例数18例(岡大病院:3例)を実施する。
分担研究2)岡山大学方式の人工網膜の医師主導治験の準備と実施:生物学的安全性評価・製造・品質管理・第Ⅰ相・第Ⅱ相試験
有効な治療法のない網膜色素変性で失明した患者に対し、岡山大学方式の人工網膜を使用した治療法確立のため、生物学的安全性評価、製造工程管理と品質管理を実施し、医師主導治験を計画・実施する。
分担研究3)進行・再発乳癌に対するドセタキセル100mg/m2の第Ⅰ相試験
進行・再発乳癌患者を対象とし、ドセタキセル100 mg/m2投与時の薬物動態、忍容性及び安全性を評価するための医師主導治験を実施する。また、ドセタキセルの有効性及び安全性、並びに薬物動態に影響を及ぼす可能性のあるバイオマーカーを評価する。
分担研究4)再発非小細胞肺癌における発癌遺伝子の網羅的検索同定と特定遺伝子異常(HER2)を有する患者への個別化治療確立を目指した基礎臨床橋渡し研究 (第Ⅱ相試験)
非小細胞肺癌1000例を対象に、HER2ステータス(蛋白過剰発現、遺伝子増幅、遺伝子変異)を解析し、病理学的情報、予後を含めた臨床情報、および既知の癌細胞の分子異常に関するデータを診療録から抽出の上、それぞれの関連性についての包括的検討を行う。また、患者30名にT-DMIとして体重あたり1回3.6㎎/㎏を3週間間隔で点滴静注し、その奏効率を検討する。
分担研究5)抗マラリア薬、抗C型肝炎薬のFirst in Manの実施とPhaseⅢに向けた剤型改善に関する研究
新規抗マラリア化合物N-251を経皮吸収型製剤として最適化をはかり、マラリア流行地でPhaseIからシームレスにPhaseIIIを実施できるよう準備するとともに、難治性C型肝炎患者に対する医師主導治験を実施する。
分担研究6)悪性胸膜中皮腫に対するReduced ExpressioninImmortalizedCells/Dickkopf-3遺伝子発現アデノウイルスベクター(Ad-REIC)を用いた遺伝子治療臨床研究
悪性胸膜中皮腫に対する、本遺伝子治療前検査にて選択基準に合致し、除外基準に抵触しないことを明らかにした上で、計画にしたがって遺伝子治療を施行する。
慢性GVHDに対する新たな治療法確立のため、タミバロテンを使用した多施設共同医師主導臨床第II相非対照オープンラベル試験を実施する。主要評価項目を、タミバロテン治療終了時点(24週)での治療奏効維持生存率かつ奏効率(CR+PR)とし,症例数18例(岡大病院:3例)を実施する。
分担研究2)岡山大学方式の人工網膜の医師主導治験の準備と実施:生物学的安全性評価・製造・品質管理・第Ⅰ相・第Ⅱ相試験
有効な治療法のない網膜色素変性で失明した患者に対し、岡山大学方式の人工網膜を使用した治療法確立のため、生物学的安全性評価、製造工程管理と品質管理を実施し、医師主導治験を計画・実施する。
分担研究3)進行・再発乳癌に対するドセタキセル100mg/m2の第Ⅰ相試験
進行・再発乳癌患者を対象とし、ドセタキセル100 mg/m2投与時の薬物動態、忍容性及び安全性を評価するための医師主導治験を実施する。また、ドセタキセルの有効性及び安全性、並びに薬物動態に影響を及ぼす可能性のあるバイオマーカーを評価する。
分担研究4)再発非小細胞肺癌における発癌遺伝子の網羅的検索同定と特定遺伝子異常(HER2)を有する患者への個別化治療確立を目指した基礎臨床橋渡し研究 (第Ⅱ相試験)
非小細胞肺癌1000例を対象に、HER2ステータス(蛋白過剰発現、遺伝子増幅、遺伝子変異)を解析し、病理学的情報、予後を含めた臨床情報、および既知の癌細胞の分子異常に関するデータを診療録から抽出の上、それぞれの関連性についての包括的検討を行う。また、患者30名にT-DMIとして体重あたり1回3.6㎎/㎏を3週間間隔で点滴静注し、その奏効率を検討する。
分担研究5)抗マラリア薬、抗C型肝炎薬のFirst in Manの実施とPhaseⅢに向けた剤型改善に関する研究
新規抗マラリア化合物N-251を経皮吸収型製剤として最適化をはかり、マラリア流行地でPhaseIからシームレスにPhaseIIIを実施できるよう準備するとともに、難治性C型肝炎患者に対する医師主導治験を実施する。
分担研究6)悪性胸膜中皮腫に対するReduced ExpressioninImmortalizedCells/Dickkopf-3遺伝子発現アデノウイルスベクター(Ad-REIC)を用いた遺伝子治療臨床研究
悪性胸膜中皮腫に対する、本遺伝子治療前検査にて選択基準に合致し、除外基準に抵触しないことを明らかにした上で、計画にしたがって遺伝子治療を施行する。
結果と考察
分1)共同治験を実施する各施設においてIRB申請(準備)中である。本学において1例目の症例同意が得られ、症例登録へと進んでいる。
分2)安全性評価としての感作性試験、色素分子による眼刺激性試験で毒性はなかった。また、人工網膜を植込んだRCSラットでは、対照と比較して術後4週目に網膜電図および視覚誘発電位が記録された。
分3)治験実施計画書を作成し、治験結果を適切に収集するためのEDCシステムの構築、データの信頼性を担保するためにQA、QC体制を構築した。
分4)中国四国地方の30を超える基幹施設と協力関係を構築し、1000例の治験候補者から30例の治験対象者をスクリーングする基盤を整備した。
分5)昨年度の結果をもとにに界面活性剤を主とする溶液状態の径皮投与剤の体内動態解析を行なった。この結果、単回の経皮投与で抗マラリア薬効を示す充分な血中濃度を維持することが判った。今後の臨床試験を見据え、低コスト化等を図るべく、N-89を用いることの検討を行った。また抗HCV活性の評価細胞系であるOR6細胞やORL8細胞へのN-251の添加実験を行ったところ、親細胞と比較して20倍抵抗性であることが分かった。
分6)試験を行うにあたり必要となるREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターの入手を完了し、ベクターを保管している
分2)安全性評価としての感作性試験、色素分子による眼刺激性試験で毒性はなかった。また、人工網膜を植込んだRCSラットでは、対照と比較して術後4週目に網膜電図および視覚誘発電位が記録された。
分3)治験実施計画書を作成し、治験結果を適切に収集するためのEDCシステムの構築、データの信頼性を担保するためにQA、QC体制を構築した。
分4)中国四国地方の30を超える基幹施設と協力関係を構築し、1000例の治験候補者から30例の治験対象者をスクリーングする基盤を整備した。
分5)昨年度の結果をもとにに界面活性剤を主とする溶液状態の径皮投与剤の体内動態解析を行なった。この結果、単回の経皮投与で抗マラリア薬効を示す充分な血中濃度を維持することが判った。今後の臨床試験を見据え、低コスト化等を図るべく、N-89を用いることの検討を行った。また抗HCV活性の評価細胞系であるOR6細胞やORL8細胞へのN-251の添加実験を行ったところ、親細胞と比較して20倍抵抗性であることが分かった。
分6)試験を行うにあたり必要となるREIC/Dkk-3遺伝子発現アデノウイルスベクターの入手を完了し、ベクターを保管している
結論
各研究は、当初計画にほぼ準じた進捗状況で研究が進んでいる。次年度は、データマネージメントセンターのさらなる強化を中心とした品質管理体制をさらに充実させる予定であり、外部委託に頼らない体制を構築する予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-05-27
更新日
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