文献情報
文献番号
201409050A
報告書区分
総括
研究課題名
Bridge to Decisionを目的とした超小型補助循環システム並びに頭蓋内・心血管治療用の新規多孔化薄膜カバードステントに関する医師主導型治験及び実用化研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-実用化(臨床)-指定-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
峰松 一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
- 山本晴子(独立行政法人国立循環器病研究センター研究開発基盤センター)
- 北風政史(独立行政法人国立循環器病研究センター研究開発基盤センター)
- 妙中義之(独立行政法人国立循環器病研究センター研究開発基盤センター)
- 巽英介(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
- 武輪能明(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
- 築谷朋典(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
- 水野敏秀(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
- 小林順二郎(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 中谷武嗣(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 市川肇(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 戸田宏一(国立大学法人大阪大学大学院医学研究科心臓血管外科)
- 赤川英毅(独立行政法人国立循環器病研究センター研究開発基盤センター)
- 中山泰秀(独立行政法人国立循環器病研究センター研究所)
- 高橋淳(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 佐藤徹(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 植田初江(独立行政法人国立循環器病研究センター病院)
- 西正吾(札幌東徳洲会病院)
- 田地川勉(関西大学システム理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
92,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1.Bridge to Decisionを目的とした超小型補助循環システム(超小型補助循環システム)
植え込み型人工心臓装着の必要性を判断する(bridge to decision; BTD)という選択肢を取る機会が増えつつある.しかし,それに必要な安価でしかも高性能の左心バイパスシステムはまだ開発されていない.本研究の目的は,インペラの動圧浮上により抗血栓性能の高いディスポーザブル型遠心ポンプと血液接触面の段差が少ない送血管,および心拍動下に容易に挿入が可能な脱血管を組み合わせた新しいBTD左心バイパスシステムを開発することである.
2.脳動脈治療用多孔薄膜カバードステントの開発(カバードステント)
本事業開始当初は,単一デバイスで頭蓋内ならびに心血管の双方の治療が可能かを検討したが,それぞれの要求性能に応じた設計が必要であるため,可能性を残しつつも,昨年度からは脳動脈瘤の塞栓治療に特化して多孔薄膜カバードステントの開発に専念する様に軌道修正した.脳動脈治療用多孔薄膜カバードステントとして最終年度に医師主導治験を実施することを目的とし,早期に実用化することを最終目標とする.
植え込み型人工心臓装着の必要性を判断する(bridge to decision; BTD)という選択肢を取る機会が増えつつある.しかし,それに必要な安価でしかも高性能の左心バイパスシステムはまだ開発されていない.本研究の目的は,インペラの動圧浮上により抗血栓性能の高いディスポーザブル型遠心ポンプと血液接触面の段差が少ない送血管,および心拍動下に容易に挿入が可能な脱血管を組み合わせた新しいBTD左心バイパスシステムを開発することである.
2.脳動脈治療用多孔薄膜カバードステントの開発(カバードステント)
本事業開始当初は,単一デバイスで頭蓋内ならびに心血管の双方の治療が可能かを検討したが,それぞれの要求性能に応じた設計が必要であるため,可能性を残しつつも,昨年度からは脳動脈瘤の塞栓治療に特化して多孔薄膜カバードステントの開発に専念する様に軌道修正した.脳動脈治療用多孔薄膜カバードステントとして最終年度に医師主導治験を実施することを目的とし,早期に実用化することを最終目標とする.
研究方法
1.超小型補助循環システム
1-1 左心・右心バイパス慢性実験
最終形とした送脱血管,金属コネクタ,延長チューブに加えて,血液ポンプおよび駆動装置を含めた全システムを用いて,成ヤギによる左室心尖脱血下行大動脈送血による体外式左心バイパスを作製し,最長1ヶ月間の慢性左心補助実験を3例施行した.また,右心房脱血肺動脈送血の体外式右心バイパスを作製し,最長1ヶ月間の右心補助実験を2例施行した.
1-2 遠心血液ポンプの耐久性試験
製品化される最終システム構成を用いてGLP準拠体制の下に想定使用期間の2倍の期間である60日間の連続運転を行うことにより耐久性試験を実施した.
1-3 信頼性保証部門による測定機器類の整備及び精度管理
昨年度までに規定されたSOPに基づき,試験設備を整備すると共に,試験に使用する機器に対する校正作業を実施した.
2.カバードステント
生物学的安全性試験における細胞毒性試験は,GLPとして「医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」を遵守した.非臨床動物性能試験に関しては,昨年度に確立させた各動物実験モデルを用いて信頼性保証体制下で本試験を実施した.また,非臨床性能試験に関しては,脳動脈瘤と親血管,およびカバードステントの2次元モデルを作製し,生体外模擬実験によって,動脈瘤内の血流に及ぼす影響を調べた.
1-1 左心・右心バイパス慢性実験
最終形とした送脱血管,金属コネクタ,延長チューブに加えて,血液ポンプおよび駆動装置を含めた全システムを用いて,成ヤギによる左室心尖脱血下行大動脈送血による体外式左心バイパスを作製し,最長1ヶ月間の慢性左心補助実験を3例施行した.また,右心房脱血肺動脈送血の体外式右心バイパスを作製し,最長1ヶ月間の右心補助実験を2例施行した.
1-2 遠心血液ポンプの耐久性試験
製品化される最終システム構成を用いてGLP準拠体制の下に想定使用期間の2倍の期間である60日間の連続運転を行うことにより耐久性試験を実施した.
1-3 信頼性保証部門による測定機器類の整備及び精度管理
昨年度までに規定されたSOPに基づき,試験設備を整備すると共に,試験に使用する機器に対する校正作業を実施した.
2.カバードステント
生物学的安全性試験における細胞毒性試験は,GLPとして「医療機器の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」を遵守した.非臨床動物性能試験に関しては,昨年度に確立させた各動物実験モデルを用いて信頼性保証体制下で本試験を実施した.また,非臨床性能試験に関しては,脳動脈瘤と親血管,およびカバードステントの2次元モデルを作製し,生体外模擬実験によって,動脈瘤内の血流に及ぼす影響を調べた.
結果と考察
1.超小型補助循環システム
1-1 左心(3例)・右心バイパス慢性実験(2例)
左心バイパスでは,3例全例で実験予定期間満了の30日を達成した.剖検では3例とも血液ポンプ内にはインペラ,軸受け部にも全く血栓はなかった.右心バイパスでは,1例は,脱血管の右心房内での血栓形成により流量が低下し17日間で終了したが,もう1例では1ヶ月間安定して駆動した.
1-2 遠心血液ポンプの耐久性試験
試験期間中,試験装置回路中の各圧力,全拍出流量,およびバイパス流量は概ね定値を示しており,また,開始時,および終了時の各波形も過度の変化は確認されなかった.
1-3 信頼性保証部門による測定機器類の整備及び精度管理
当該プロジェクトの慢性動物実験(信頼性保証体制下試験)で使用するポリグラフシステムおよび血液ガス分析装置,血球測定分析器,血液生化学測定装置,血液凝固能測定装置とした.
2.カバードステント
カバードステント本体に関する生物学的安全性試験において,1)細胞毒性試験,2)感作性試験,3)皮内反応試験,4)急性全身毒性試験,5)亜急性全身毒性試験,6)埋植試験,7)遺伝毒性試験(復帰突然変異試験),8)遺伝毒性試験(染色体異常試験),9)発熱性物質試験,10)溶血性試験の全ての項目に合格することができた.カバードステントに加えて,そのデリバリーカテーテルに関しても新規物質を加えることになったため,同様に生物学的安全性試験を実施し,安全性を確かめることができた.
1-1 左心(3例)・右心バイパス慢性実験(2例)
左心バイパスでは,3例全例で実験予定期間満了の30日を達成した.剖検では3例とも血液ポンプ内にはインペラ,軸受け部にも全く血栓はなかった.右心バイパスでは,1例は,脱血管の右心房内での血栓形成により流量が低下し17日間で終了したが,もう1例では1ヶ月間安定して駆動した.
1-2 遠心血液ポンプの耐久性試験
試験期間中,試験装置回路中の各圧力,全拍出流量,およびバイパス流量は概ね定値を示しており,また,開始時,および終了時の各波形も過度の変化は確認されなかった.
1-3 信頼性保証部門による測定機器類の整備及び精度管理
当該プロジェクトの慢性動物実験(信頼性保証体制下試験)で使用するポリグラフシステムおよび血液ガス分析装置,血球測定分析器,血液生化学測定装置,血液凝固能測定装置とした.
2.カバードステント
カバードステント本体に関する生物学的安全性試験において,1)細胞毒性試験,2)感作性試験,3)皮内反応試験,4)急性全身毒性試験,5)亜急性全身毒性試験,6)埋植試験,7)遺伝毒性試験(復帰突然変異試験),8)遺伝毒性試験(染色体異常試験),9)発熱性物質試験,10)溶血性試験の全ての項目に合格することができた.カバードステントに加えて,そのデリバリーカテーテルに関しても新規物質を加えることになったため,同様に生物学的安全性試験を実施し,安全性を確かめることができた.
結論
超小型補助循環システムについては,本年度は最終形になると考えられるシステムを用いての慢性大動物実験を施行した.また,呼吸循環補助システム用に開発された超小型遠心血液ポンプを体外設置の循環補助システムとして応用するために必要となる機械的な耐久性試験を実施した.更に,試験に使用する測定機器類の整備及び精度管理を実施した.
一方で,カバードステントについては昨年度から一部開始した生物学的安全性試験に加えて,予備試験を済ませている動物を用いた非臨床性能試験の本試験を実施した.
一方で,カバードステントについては昨年度から一部開始した生物学的安全性試験に加えて,予備試験を済ませている動物を用いた非臨床性能試験の本試験を実施した.
公開日・更新日
公開日
2016-01-28
更新日
-