文献情報
文献番号
201408012A
報告書区分
総括
研究課題名
医工連携人材育成プログラムの研究
課題番号
H24-医療機器-指定-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
竹之下 誠一(公立大学法人福島県立医科大学 医学部器官制御外科)
研究分担者(所属機関)
- 小原 勝敏(公立大学法人福島県立医科大学付属病院 内視鏡診療部)
- 錫谷 達夫(公立大学法人福島県立医科大学 医学部微生物学)
- 大木 進司(公立大学法人福島県立医科大学 医学部器官制御外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、医療機器の開発工程を「医工連携OJTモデル」としてモデル化した「医工連携人材育成プログラム」を開発することである。本研究の特徴的な視座は、「医療研究Seedsの産業化」の視点ではなく、「医療現場のneedsを、工学的視点から製品へと展開・再構成する医療機器の製品化アプローチ(医工連携OJTモデル)」である。すなわち、医療現場のneedsを産業界の技術Seedsにより、医療機器として製品化するための手法の構築であり、この視点が本研究の独創的な点である。具体的な試作活動の一例として消化管内視鏡改良型鉗子の開発試作と、改良型鉗子評価のための疑似静脈瘤が装着可能な胃モデルの作成を昨年度に引き続き実施し、人材育成プログラムの構築を行う。
研究方法
「医療現場のneeds」から「製品開発工程」を経て「安全性評価・動物実験」にまで至る開発工程を、製品規格段階から試作・安全評価・動物実験に至るまでの製品化プロセスとして、実際の試作事例を踏まえて「ニーズ/要求実装/設計指針(背景技術・解決課題・実現形態)/特許事項/要求事項」まで医工連携OJTモデルの中核として定義・作成し、電子カリキュラムとして構築を実施する。実際の試作事例として「消化管内視鏡の改良型静脈瘤穿刺針の開発」を行い、平成25年度の成果をもとに最終試作と評価実験を実施する。また、「鉗子の評価のための疑似静脈瘤を装着できる胃モデル」の改良と評価を実施し、それらの研究結果を人材育成プログラムとして電子カリキュラムへ組み込み知財・薬事を含めた人材育成プログラムの基本枠組みの作成を行う。
結果と考察
内視鏡改良型鉗子の試作として食道静脈瘤の内視鏡的治療法である食道静脈瘤硬化療法(EIS)のデバイスの問題を解決する「食道・胃静脈瘤処置の止血鉗子と静脈瘤穿刺針との機能が統合された改良型鉗子」の最終試作と評価実験を実施した。本年度は「バルーン一体型穿刺針の一体鉗子」を最終試作として開発を実施し、技術的課題を明確にしたうえで比較項目に数値的な重みづけを加え、より客観的な視点から設計、試作を実施した。評価プロセスにおいては製品化のニーズの命題として定義した「内視鏡下胃静脈瘤の治療での静脈瘤に対する穿刺・止血一体化鉗子」の評価項目を要求事項から明確にし、製品選択を検討する手順を確立することで最終試作の評価を実施した。また、前述の評価実験のため疑似静脈瘤が装着可能な胃モデルの制作を、昨年度に引き続き実施し動物実験の代替手法としても有用なモデルの制作を行った。これらの試作は人材育成プログラムとして人材育成Webプログラム(電子カリキュラム)へと実装を行い、医工連携分野における人材育成のためのカリキュラムとして有用なプログラムの基礎構築を実施した。
結論
本研究により期待される成果は、医工連携の教育促進を科学的に推進するための人材育成プログラムである。今年度の研究においては、「医工連携OJTモデル」による実際の試作として「バルーン型穿刺針一体鉗子」を開発し、その試作鉗子の評価を補助する評価治具として「疑似静脈瘤を組み込んだ胃モデル」の製作も合わせて実施した。また、並行してこれらの試作・製作結果を電子カリキュラム化し、「試作事例」としてまとめることができた。この具体的な試作事例を通じて確立した手法は、今後の医療機器お開発・事業化において重要となる医工連携分野の大学教育・社会人教育・企業教育において、標準的なカリキュラムとしても利用可能な補助的手段として育成プログラムへの展開が可能となる。またこうした試作事例、および電子カリキュラムは、医療従事者及び企業における技術・製品開発・市場展開の従事者の今後の教育を、実際の医療現場のニーズに基づく機器開発のための大学カリキュラムおよび企業内教育と関連づけて効果的に実施していくための事例・材料として提供していくこともできる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
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