アジュバント安全性評価データベースの構築研究

文献情報

文献番号
201407034A
報告書区分
総括
研究課題名
アジュバント安全性評価データベースの構築研究
課題番号
H24-創薬総合-指定-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
石井 健(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部アジュバント開発プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 弘(独立行政法人医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
  • 水口 賢司(独立行政法人医薬基盤研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト)
  • 清野 宏(東京大学医科学研究所 粘膜免疫学)
  • 中西 憲司(兵庫医科大学 免疫学・医動物学)
  • 松本 美佐子(北海道大学 医学研究科・免疫学)
  • 植松 智(東京大学医科学研究所 自然免疫制御分野)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液安全性研究部)
  • 保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • STANDLEY DARON(スタンドレー ダーロン)(京都大学ウイルス研究所)
  • Coban Cevayir(チョバン ジェヴァイア)(大阪大学免疫学フロンティア研究センター マラリア免疫学)
  • 國澤 純(独立行政法人医薬基盤研究所 ワクチンマテリアルプロジェクト)
  • 山崎 晶(九州大学生体防御医学研究所 分子免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
238,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、次世代の免疫医薬として期待されるアジュバントの開発研究(有効性)および審査行政(安全性)に寄与するバイオマーカー探索可能なデータベースを構築することを目的とする。
研究方法
本提案はアジュバントやワクチンの安全性と有効性の判断における有用な指標(バイオマーカー、サロゲートマーカー)を同定、検証するために、人に対する臨床試験を行う前の研究段階で2つの実験系を用いて行い、臨床試験のデータからのサンプルでバリデーションをとる。
各種アジュバントやアジュバントを含んだワクチンを用いてデータを蓄積し、公開することを目的とし、下記の研究方法を採った。

1)認可もしくは開発中のアジュバントを約20種類ほど選択しモデル動物を用いてアジュバントに対する初期反応(自然免疫反応を含む)の遺伝子解析をDNAマイクロアレイ、マイクロRNAアレイを用いて網羅的に行う。
2)ヒトにおけるアジュバントワクチンの臨床試験のサンプル(血清など)を用いてマイクロRNAの解析、加えてアジュバント副作用に関連する自己免疫疾患などの患者血清を用いた臨床研究も開始する。
3)上記の網羅的解析や機能解析で見つかってきた分子群、因子群に関して、アジュバント(ワクチン)の安全性もしくは有効性の指標になりうるかを、細胞レベル、動物実験レベル、そして臨床試験のレベルで検証実験を行う。特に評価法の開発につながるアジュバントのターゲット器官である粘膜におけるターゲット細胞の解析や、アジュバントのイメージングなどを行う。
4)また、サルなどの高等動物モデルの実験系を用いてアジュバント(ワクチン)接種後の有効性、安全性の解析を行い、ヒトやげっ歯類での実験結果のブリッジングを続行する。
5)日本でのガイドライン作成の可能性を検討する。
6)アウトリーチの一環として、一般公開、次世代アジュバント研究会、学会、シンポジウム等で本研究内容を含めたアジュバントの研究、開発、臨床試験、審査、臨床にわたる広い範囲の啓発活動を行う。
結果と考察
予定されていた研究内容を予定通りかそれ以上の成果を上げることが出来たと考えている。
 特に、アジュバントデータベースのプロトタイプが前倒しで完成し、バリデーションに入った点、動物実験やヒトの治験サンプルの成果も順調に上がってきている点、実際のアジュバント開発も予想以上の成果(20種以上の同定)、そしてWHOにおけるアジュバント入りワクチンの非臨床ガイドライン発布や次世代アジュバント研究会の開催、専門書の発行、PMDA科学委員会など、アウトリーチ活動にも成果が増えている点などが挙げられる。
結論
今後のワクチン開発におけるアジュバントの役割は非常に大きく、アジュバントの安全性及び有効性を科学的に評価するためには、アジュバント投与によって生じる生体反応を細胞および遺伝子レベルで解析したデータからなるデータベース構築が必須である。本研究では、ラット、マウス、ヒトPBMCを用いてアジュバント投与後の遺伝子発現変化を遺伝子アレイによって網羅的解析してデータベース構築を進めていく。アジュバントの有効性と安全性を適正に評価するためには高品質のデータベースが必要であり、さらに知見を集積してSOPを確立していく。また、結果として得られる膨大なデータから様々な指標を抽出する方法論の確立も進めていく。

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201407034Z