iPS細胞等の安定供給と臨床利用のための基盤整備

文献情報

文献番号
201406022A
報告書区分
総括
研究課題名
iPS細胞等の安定供給と臨床利用のための基盤整備
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西田 幸二(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 芳樹(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 吉川 秀樹(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 森 正樹(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 大薗 惠一(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 吉峰 俊樹(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 玉井 克人(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 齋藤 充弘(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 高島 成二(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
  • 新谷 歩(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
14,700,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 齋藤 充弘 大阪大学附属病院(~平成25年12月31日)→ 大阪大学大学院医学系研究科(平成26年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針において、移植を受ける被験者等が感染症を発症した場合等の原因究明のために、採取したヒト幹細胞又はヒト分化細胞の一部等の適当な試料について、適切な期間保存しなければならないと定められている。そこで本研究ではコンピュータ管理の液体窒素保管庫を専任のオペレータとともに大阪大学に設置して、全国から再生医療に使用した体性幹細胞ならびにiPS細胞を受け入れ、厳密に管理することとする。本研究により再生医療の品質管理や追跡に関する体制が整備できれば今後の再生医療の発展に大きく寄与するものと考えられる。
研究方法
1. 細胞運搬における安全でセキュリティの高いシステムの構築
運搬にはドライシッパーと呼ばれる専用の液体窒素保管容器を用いる。また細胞の由来元の個人情報の漏洩防止策として、細胞保存チューブにバーコードシールを貼り、バーコード情報と個人をリンクする対応表は鍵のかかる保管庫で保管することとした。今年度の上半期に他大学(京都府立医大および東京大学)の協力のもと運搬システムのコールドランを行った。

2. 幹細胞付帯情報データベースの構築
幹細胞に付帯する情報を安全に保管するため、本研究では前向き研究で頻用されているウエブベースのデータベースREDCapを用いて情報管理を行うこととする。

3. 大阪大学倫理委員会への研究計画書提出
幹細胞はヒト由来の試料であるため、大阪大学の倫理審査委員会に申請書を作成・提出した。

4. 体性幹細胞を用いた臨床研究の推進ならびにiPS細胞からの誘導法の確立や最適化
研究分担者が臨床研究で用いる体性幹細胞ならびにiPS細胞から特定の組織細胞に分化誘導させたものについては、運用開始後に適宜クライオライブラリで実際に保存していくこととする。iPS細胞からの誘導法の確立が未だのものや前臨床試験が終了していないものについては、引き続きiPS細胞からの誘導法の確立や最適化、前臨床試験について行っていく。
結果と考察
購入したドライシッパーの機器固有の問題の可能性の検討等は昨年度に終了していたが、他施設に細胞試料を送り、再度送り返してもらったのちに細胞の生存性を見る運搬のコールドランについては昨年度に完了できなかったために今年度に行った。結果、今回のコールドランでは細胞生存性には影響なく、問題ない運搬ができていることが証明された。運搬にあたって見出された問題点を考慮してSOPの作成を行った。
情報管理については、REDCapデータベースソフトウエアを用いて幹細胞付帯情報データベースを構築し、サンプルデータを入力して特に問題のないことを確認した。
またドライシッパーでの保管後に細胞を融解して培養することによる影響を調べた。その結果、ドライシッパーによる輸送とクライオライブラリでの保管による細胞への影響はないものと考えられた。
今年度に2回クライオライブラリが異常停止し、クライオライブラリの仕様そのものが大阪大学の液体窒素配給システムに向いていないことが明らかになった。メーカーに対して早急にアルゴリズムの変更をするように要求しているが修正可能かどうかは現時点で明らかでない。代替案として、警報発生時にメールにて警報が携帯端末等に送られるシステムの構築を検討している。
今後の予定としては、我々の機関にて行われているヒト幹細胞臨床研究に由来する細胞を保管し、問題点のあぶり出しとノウハウの蓄積を行った後、他機関からの細胞保管についても開始する予定である。
結論
我々が構築した細胞輸送システムとクライオライブラリによる保管システムは問題なく動作しており、今後国内で行われた再生医療サンプルを確実に保管・管理するのに適したシステムであると言える。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201406022Z