後発医薬品の同等性ガイドラインにおける試験方法の改正に関する研究

文献情報

文献番号
201328054A
報告書区分
総括
研究課題名
後発医薬品の同等性ガイドラインにおける試験方法の改正に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-009
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 亘作(独立行政法人物質・材料研究機構)
  • 柴田 寛子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 吉田 寛幸(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の生物学的同等性ガイドラインでは、溶出試験を生物学的非同等性を防ぐための有効な試験法と位置付け、極めて重要であるが、難溶性の医薬品が増加する中で、完全に溶解していない過飽和状態など、従来の溶出試験の判断だけでは製剤の品質の保証が困難なケースが増えつつある。そこで、過飽和型経口製剤の評価を重点課題として、我が国の経口固形製剤の同等性試験法について検討する。
また、最近では経口固形製剤以外のいろいろな特殊な製剤の後発医薬品の開発が目指されるようになってきており、特殊な製剤として、長期徐放性注射製剤及び吸入剤を取り上げて、基礎的な検討を開始する。
 近年、生物学的同等性に関する国際的な動きが、2010年に欧州医薬品庁(EMA)の生物学的同等性試験の実施方法のガイドラインが出され、さらに、放出制御製剤のガイドライン改訂が待たれる中で、非常に活発化している。生物学的同等性試験ガイドラインが新たに出されたことは注目に値し、新たな諸外国の動きを精査しつつ、我が国ガイドラインの今後のあり方を模索することとした。
研究方法
過飽和型経口製剤及び長期徐放型注射製剤では、フロースルーセル法による溶出試験の有用性を検討した。吸入製剤の評価法では、アンダーセンカスケードインパクターについて、プレセパレーターに充填する溶液の種類の影響を検討した。経口固形製剤に異なる結晶形を用いる場合の考え方と必要となる情報について、FDAのガイダンスや、EPの一般的記載を参考に、まとめた。
結果と考察
過飽和型経口製剤の評価では、非晶質製剤の溶解過程の評価法、および溶解に影響を与える保存安定性に関する検討を行った。リトナビアとロピナビアの腸溶性非晶質合剤をエレクトロスプレー法にて調製し、溶出試験とラットにおける経口吸収性の相関を評価したところ、溶解過程における過飽和状態からの微粒子形成が、フロースルーセル法で簡便に定量評価できることが分かった。
長期徐放性注射製剤の放出試験法及び放出メカニズムに関する研究では、マイクロスフェア製剤のin vitro放出試験に関する文献調査を行うと共に、リスペリドン封入マイクロスフェア製剤を対象に,”連続フロー法”において試験液中の界面活性剤の有無と流速が放出性に及ぼす影響を調査し,流速の影響は殆ど無いこと,使用するセルの種類によって界面活性剤の影響が異なることを示した.また、FDAの、マイクロスフェア製剤において生物学的同等性を示すための推奨事項につき、設定目的や背景などを概説した。
吸入製剤の評価法に関する検討では、吸入粉末剤の空気力学的粒度分布試験に汎用されるアンダーセンカスケードインパクターについて、プレセパレーターに充填する溶液の種類が粒度分布試験結果へ与える影響について検討した。パレーターに精製水を入れ場合の各ステージの薬物回収量および5 μm以下の微粒子量は、メタノールを入れた場合と比較して小さくなる傾向が認められた。
経口固形製剤に異なる結晶形を用いる場合の考え方と必要となる情報では、原薬として異なる結晶形のものを用いる場合の考え方として、結晶の溶解度が十分に高い場合には、特に有効性、安全性に大きな影響は無いと考えられ、低溶解性の検証形を本居場合には、慎重なでデータを示した対応が必要であるとした。
結論
過飽和型経口製剤の評価では、溶出が速やかに起こる非晶質製剤の場合は、溶出液の中に不溶性粒子が生じることが分かり、フロースルーセル法により評価が容易に行えることが分かった。また、結晶化が圧力依存の化合物の場合はさらに安定なため、いかなる化合物についても、ガラス転移温度から結晶化時間が予測できることが分かった。
長期徐放性注射製剤の放出試験法及び放出メカニズムに関する研究では、連続フロー法”を使ってマイクロスフェア製剤からの薬物放出性を評価する際の試験条件が放出挙動に及ぼす影響を調査し,試験液の流速は4-16 mL/minの範囲では放出挙動に殆ど影響しないこと,散剤用セルを使用する場合は試験液への界面活性剤の有無が薬物放出プロファイルに大きく影響することを示した.
吸入製剤の評価法に関する検討では、表面張力が高い精製水を使用した場合、PS内の水面で発生する風波によって液面が大きく乱れ、薬物がより多く回収されてしまい、その結果、下流ステージに移行する薬物量が減少したものと推察された。
経口固形製剤に異なる結晶形を用いる場合の考え方と必要となる情報では、結晶の溶解度が十分に高い場合には、特に有効性、安全性に大きな影響は無いと考えられ、低溶解性の検証形を本居場合には、慎重なでデータを示した対応が必要であるとした。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201328054Z