患者の自覚症状による副作用確認システムに関する研究

文献情報

文献番号
201328049A
報告書区分
総括
研究課題名
患者の自覚症状による副作用確認システムに関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
望月 眞弓(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、副作用等の医薬品に関わる問題を早期に発見し適切に対応するために、患者が自覚した体調変化を服用している医薬品と関連付けて、医師や薬剤師に相談することを促す仕組み(副作用確認システム)を創ることを目的とする。本年度は、患者が自覚症状を医薬品に関連付けて医療者へ相談する仕組みに求められる要件や課題を明らかにするため、患者、薬局薬剤師、福祉職に対して調査した。(検討1)。さらに、タブレット端末で検索可能な試用版を作成し、検索結果による生活者の行動変化について検討した(検討2)。
研究方法
<検討1>患者調査は、平成25年8月27日から8月29日にWebにて調査した。対象は、1年以内に医薬品の服用経験がある中・高齢者(55歳~99歳)とし、55歳~60歳は、男女各150人、61歳~70歳は、男女各300人、71歳以上は男女各50人より回答を得た時点で調査を終了した。福祉職の調査は、大阪介護専門員協会に協力を仰ぎ、平成25年9月16日に当協会の会合に出席した介護職に対し調査票を配布し調査した。薬局薬剤師の調査は、日本薬剤師会と株式会社ツルハに協力を仰ぎ実施した。日本薬剤師会は、サポート薬局に対しWebから回答可能な調査画面を準備し、平成25年8月8日~9月14日までに入力された回答を集計した。また、株式会社ツルハでは、全国360軒の薬局に、調査を依頼し、平成25年8月29日から9月14日までに回答を収集した。調査項目は、それぞれ主設問(患者用21問、福祉職用15問、薬剤師用16問)と回答者属性設問(患者用6問、福祉職用7問、薬剤師用6問)を設定し、さらに、薬剤師については、次年度に開発する予定のタブレット端末用アプリケーションを用いた分析を行う地域を選定する目的で、任意で連絡先を確認した。<検討2>対象は、55歳以上の男女とし、タブレット端末にてサンプル事例を検索していただき、医療者に相談に行くか否か、行かない場合、その理由について検索体験前と体験後の行動の変化を確認した。
結果と考察
<検討1>回答した患者1000人のうち46.5%は服薬後に何らかの体調の変化を感じた経験があった。このうち、医療職へ相談した患者は66.5%であり、医療職へ相談しないケースが30%以上に認められた。一方、薬剤師が患者から相談を受けた内容は、「処方薬と市販薬との相互作用」、「処方薬と処方薬の相互作用」、「服薬方法や使用方法」、「効能効果」がそれぞれ、74.9%、65.9%、60.7%、53.6%であった。福祉職では、「飲み忘れの対応方法」、「薬の管理方法」、「薬に対する不安」、「処方薬服用後の体調変化」がそれぞれ63.4%、46.9%、41.6%、40.8%であった。副作用確認システムに求める具体的な機能は、患者においては、薬を起点として副作用や相互作用を検索する機能を挙げた割合が50%以上あったが、自覚症状を起点とし「症状と服薬している処方薬を入力すると体調変化の原因が副作用かどうか確認できる」、「服用薬を登録し、体調の変化や副作用を入力すると原因と考えられる薬剤がわかる」はそれぞれ22.6%、16.3%と低かった。自覚症状の段階で患者が気付くことによって副作用の重症化を防ぐことにも繋がることから、自覚症状からの検索の重要性を、患者に普及啓発することが必要であると考えられた。<検討2>実際にタブレット端末を用いて医薬品との関連性についてタブレット端末用アプリで検索し、関連性が疑われる場合には、薬局へ相談に行くか否か、相談に行かない場合、その理由について調査した。その結果、タブレット端末を用いて検索を体験する前と比較して、検索を体験した後では専門家へ相談するという意向を示す人が増えることを確認した。患者、福祉職、および薬局薬剤師に対して、副作用確認システムに求められる要件について調査を行った結果、患者は、副作用確認システムについて、シンプルな機能で操作性の良いものを望んでいることが分かった。一方で、福祉職・薬剤師は、処方薬名を入力するたけでなく、健康食品なども含めて副作用や相互作用が検索できるシステムを望んでいた。
結論
患者は、副作用確認システムについて、シンプルな機能で操作性の良いものを望んでいることが分かった。一方で、福祉職・薬剤師は、医薬品だけでなく、健康食品なども含めて副作用や相互作用が検索できるシステムを望んでいた。また、試用版タブレット端末を用いて検索を体験する前と比較して、検索を体験した後では専門家へ相談するという意向を示す人が増えることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,001円
差引額 [(1)-(2)]
-1円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,021,731円
人件費・謝金 367,290円
旅費 66,680円
その他 2,544,300円
間接経費 0円
合計 5,000,001円

備考

備考
消費税の関係で1円オーバーした。1円については研究者側で補填した。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-