除染等作業での内部被ばく防止措置等の最適化のための研究

文献情報

文献番号
201326021A
報告書区分
総括
研究課題名
除染等作業での内部被ばく防止措置等の最適化のための研究
課題番号
H25-労働-一般-012
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
甲田 茂樹 (独立行政法人労働安全衛生総合研究所 健康障害予防研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 鷹屋 光俊(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 環境計測管理研究グループ)
  • 篠原 也寸志(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 環境計測管理研究グループ)
  • 中村 憲司(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 環境計測管理研究グループ)
  • 山田 丸(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 環境計測管理研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
作業者の内部被ばくを防止するため、作業時に発生する粉じんに含まれる放射性物質濃度の測定・評価を簡易かつ適正に行えるようにすることを主たる目的とする。内部被ばくのリスクを管理するためには、基準となる粉じん濃度10 mg/m3前後の高濃度粉じんが模擬作業実験データのみであることや、粉じん測定を対象として調査を行ったため発生した粉じんの比放射能に関するデータがないという点で不十分であるため、汚染地域内で模擬除染作業を行い、実際の汚染土壌由来の粉じんを測定することで、汚染の度合いや土質の違い等によりK値が影響を受けるかどうか、粉じん濃度と比放射能との関連について検証を行い、内部被ばく防止には資する基礎的なデータを得る。
研究方法
本研究では 除染等作業に関連して以下の二つについて研究を行った。
①除染処理業務時に発生する粉じん並びに放射能の測定
 実際の処理業務で発生する粉じん濃度・粒径分布等の測定を行った。また、実際の除染等作業は様々な場所で行われることから、取扱い土壌の種類や性質等の違いが、粉じんばく露にどのような影響をもたらすのか検討する必要がある。従って、異なる種類や性質の土壌を用いた模擬的な除染作業を行い、処理業務で発生する粉じん濃度・粒径分布等の測定評価を実施した。
②ラボレベルでの再発じん実験
非汚染土壌を用いて作業により発生する粒径分布に近い模擬粉じんの発生条件を検討する。発生させた粉じんを用いて,粉じん測定,放射能測定を行う。K値の検証を行うとともに,汚染土壌を再発じんさせ,粒径別捕集することにより発生した粉じんの粒径と放射性セシウムの分布に関するデータが得られないか検討する。このデータは,保護具の選定など防護の方法をより効果的に行うために有用な情報となる。
結果と考察
粉じん用サンプラー(柴田科学やIOM)やアンダーセンサンプラー、携帯あるいは定置型ローボリュームポンプなどを組み合わせることで、除染作業者がばく露するレスプラブルあるいはインハラブルの粉じん量や粉じんの粒度分布を把握する測定評価系を確立した。この測定評価系を用いて、福島県楢葉町における除染等作業での粉じんばく露を測定評価した(レスプラブル粉じん量は0.02mg/m3以下であった)。群馬県で実施した模擬的な除染作業の結果では、土壌の違いによる粉じんばく露量は、山砂の場合(総粉じん量:1.1mg/m3、吸入性粉じん量:0.1~0.4mg/m3)、耕作地の場合(総粉じん量:10.9mg/m3、吸入性粉じん量:5.1mg/m3)、水田の場合(総粉じん量:6.0mg/m3、吸入性粉じん量:0.6mg/m3)であった。これらの結果は実際に用いた土壌を研究所に持ち帰り、ラボレベルで再発じんを行い、粉じんばく露量や粒度分布を再度検証しており、詳細は来年度に報告する。
結論
今回の模擬実験で得られた土壌の発じん状況、ひいては作業者等への粉じんばく露状況や粉じんばく露測定評価等は福島県における除染等業務における粉じんばく露測定評価の基礎的な資料として活用しうることが確認できた。今後は、模擬実験で使用した土壌を元にラボレベルで再発じん実験を行い、粒度分布の違いを明らかにし、研究2年目に実施する予定の高濃度に汚染された地域における除染等業務での粉じんばく露状況の測定評価結果や汚染土壌を用いたラボレベルの再発じん実験の結果から、土壌の粒度分布別の比放射能の計測結果を基にした内部被ばくの測定評価、さらにはその結果から考えられる内部被ばくを防止するための対策の構築等につなげていきたい。

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201326021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 916,116円
人件費・謝金 0円
旅費 344,920円
その他 2,585,964円
間接経費 1,153,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
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