文献情報
文献番号
201326005A
報告書区分
総括
研究課題名
携帯情報端末を用いた作業・安全分析による造船・建設業におけるリスクアセスメントシステムの構築と展開に関する研究
課題番号
H23-労働-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
篠田 岳思(九州大学 大学院工学研究院海洋システム工学部門)
研究分担者(所属機関)
- 田中 太氏(九州大学 大学院工学研究院海洋システム工学部門)
- 小山田 英弘(北九州市立大学 国際環境工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年の建造量の増加と国際的な競争を背景にして,造船工場では生産性を向上させ,工場全体のスループットを改善していくことが不可欠である。しかしその一方で,建造量の増加や技能不足に伴う労働災害の増加が危惧されており,労働災害の社会的・経済的な影響は大きく,産業の維持・継承や持続的な発展のためには,作業者の安全の確保は重要な課題である。
これまで造船業や建設業での重作業を伴う安全管理の現場において,リスクアセスメント活動は広く行われているが,一般には「起こりやすい・にくい」等の感性尺度に基づく評価方法が取られており,安全意識の高揚について一定の効果は上げているが,安全向上への効果が不明な点があり,さらに有効な方法が求められている。本研究では,開発してきたPDA(携帯情報端末)を用いた作業・安全分析法を用いてリスクアセスメントシステムとして発展させ,実際の作業現場で試験的に実施しながら研究を進める。
これまで造船業や建設業での重作業を伴う安全管理の現場において,リスクアセスメント活動は広く行われているが,一般には「起こりやすい・にくい」等の感性尺度に基づく評価方法が取られており,安全意識の高揚について一定の効果は上げているが,安全向上への効果が不明な点があり,さらに有効な方法が求められている。本研究では,開発してきたPDA(携帯情報端末)を用いた作業・安全分析法を用いてリスクアセスメントシステムとして発展させ,実際の作業現場で試験的に実施しながら研究を進める。
研究方法
研究の方法としては,初めに労働安全の向上のためのリスクアセスメントツールの構築を行い,実際の作業現場に適用を行いながら改良を進めていく。また,安全対策として検討を行うために,研究室内のモックアップ実験や実際の工場での作業状況の計測法を考案して歩行路環境の安全性評価についても検討を行う。
作業および作業に関する不安全状態として作業者行動や作業環境等を同時に観測して,PDAに観測状況の入力を行い,作業に潜む不安全状態を抽出するツールの開発と適用研究を行ってきた。この作業・安全分析法はIE(Industrial engineering)の瞬間観測法の理論に基づいており,ランダムな時間に作業者行動の瞬間観測値を記録し,作業毎の頻度を集計して作業・不安全状態の割合を推測する。このツールを実際に適用して,作業者がお互いに観測し合い,不安全状態を認識し合うことに一定の効果を見出しており,研究ではPDA作業・安全分析法をリスクアセスメントシステムとして発展させる。今年度は,作業・安全リスクアセスメントをさらに別の造船所にも適用を行い改良を図る。
作業および作業に関する不安全状態として作業者行動や作業環境等を同時に観測して,PDAに観測状況の入力を行い,作業に潜む不安全状態を抽出するツールの開発と適用研究を行ってきた。この作業・安全分析法はIE(Industrial engineering)の瞬間観測法の理論に基づいており,ランダムな時間に作業者行動の瞬間観測値を記録し,作業毎の頻度を集計して作業・不安全状態の割合を推測する。このツールを実際に適用して,作業者がお互いに観測し合い,不安全状態を認識し合うことに一定の効果を見出しており,研究ではPDA作業・安全分析法をリスクアセスメントシステムとして発展させる。今年度は,作業・安全リスクアセスメントをさらに別の造船所にも適用を行い改良を図る。
結果と考察
(1)リスクアセスメントシステム
今年度は昨年度に引き続き実際の造船所への現場の適用例を増やすことにより,課題点の抽出と改良を図った。主な適用工程としては,造船所の鋼材切断工場での鋼板切断工程と,外業での艤装工程について,複数の造船所において実施して,以下を確認した。
従来でも造船所の現場では,言葉による評価から定性的なリスクアセスメントについて検討がなされていたが,本方法であるPDA作業・安全観測ツールによる作業や安全の定量化が可能で有り「見える化」には有効なツールとして現場でのニーズも高いことが分かった。
要素作業と不安全状態の関連分析や,不安全状態での要因の同定について検討を行い,安全上の課題を抽出する際に有効な方法であることを確認した。
要素作業について過去の災害発生状況や災害の起こりやすさを定量化するために,災害ポテンシャルの定義を行い,災害が危惧される対策を取るべき対象の順位付けについて有効性を確認した。
災害が危惧される要素作業について,ハザード・対策展開法による対策の立案方法の検討を行い,ハザードに着目した対策の立案への有効性を確認した。
(2)計測に基づく歩行路環境の評価方法の検討
計測に基づく安全歩行の評価方法の検討として,造船所内において各種の想定される歩行路環境について検討を行うため,スラットコンベヤ上の歩行の検討に加え,傾斜角度の異なる階段上の歩行や勾配のある歩行路,さらに管やスティフナ-上での歩行についてモックアップを作成して,歩行足圧センサーを用いた計測による検討を行い,以下を確認した。
歩行の際に足裏に現れる荷重中心の移動軌跡について,安定な歩行路環境である平坦路上の歩行と各歩行路環境との比較を行い,身体バランスの変化に与える影響を評価することや,身体バランスの変化に与える影響の限界値の算定,作業の足下環境の危惧度ついて暴露される時間を評価するためにハザード指数の定義等により安全性評価の検討を行い有効性を確認した。
今年度は昨年度に引き続き実際の造船所への現場の適用例を増やすことにより,課題点の抽出と改良を図った。主な適用工程としては,造船所の鋼材切断工場での鋼板切断工程と,外業での艤装工程について,複数の造船所において実施して,以下を確認した。
従来でも造船所の現場では,言葉による評価から定性的なリスクアセスメントについて検討がなされていたが,本方法であるPDA作業・安全観測ツールによる作業や安全の定量化が可能で有り「見える化」には有効なツールとして現場でのニーズも高いことが分かった。
要素作業と不安全状態の関連分析や,不安全状態での要因の同定について検討を行い,安全上の課題を抽出する際に有効な方法であることを確認した。
要素作業について過去の災害発生状況や災害の起こりやすさを定量化するために,災害ポテンシャルの定義を行い,災害が危惧される対策を取るべき対象の順位付けについて有効性を確認した。
災害が危惧される要素作業について,ハザード・対策展開法による対策の立案方法の検討を行い,ハザードに着目した対策の立案への有効性を確認した。
(2)計測に基づく歩行路環境の評価方法の検討
計測に基づく安全歩行の評価方法の検討として,造船所内において各種の想定される歩行路環境について検討を行うため,スラットコンベヤ上の歩行の検討に加え,傾斜角度の異なる階段上の歩行や勾配のある歩行路,さらに管やスティフナ-上での歩行についてモックアップを作成して,歩行足圧センサーを用いた計測による検討を行い,以下を確認した。
歩行の際に足裏に現れる荷重中心の移動軌跡について,安定な歩行路環境である平坦路上の歩行と各歩行路環境との比較を行い,身体バランスの変化に与える影響を評価することや,身体バランスの変化に与える影響の限界値の算定,作業の足下環境の危惧度ついて暴露される時間を評価するためにハザード指数の定義等により安全性評価の検討を行い有効性を確認した。
結論
本研究では,作業・安全の向上ためのリスクアセスメントのシステム構築を行い,実際の複数の造船所において試験的な運用を行い手法の有効性を確認した。また作業場所の環境評価や歩行路の評価として,モックアップ実験や実際での造船所での計測と安全性評価の検討を行い,作業環境からもリスクアセスメントの定量化について検討を進められることを確認した。
以上より,リスクアセスメントから対策の検討までを一貫して行い,提案したリスクアセスメント方法の有効性を確認した。
以上より,リスクアセスメントから対策の検討までを一貫して行い,提案したリスクアセスメント方法の有効性を確認した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-22
更新日
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