総合的診療能力を適切に判定する医師国家試験の開発と展開

文献情報

文献番号
201325060A
報告書区分
総括
研究課題名
総合的診療能力を適切に判定する医師国家試験の開発と展開
課題番号
H25-医療-指定-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
奈良 信雄(東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,546,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医師国家試験のあり方を検討し、より適正な試験を目指す方向性を研究した。また、外国医師に対して日本語を駆使して診療できる能力をより的確に評価できるシステムの開発を検討した。
 
研究方法
委員会を開催して研究協力者から医師国家試験のあり方関する意見を聴取し、より適正な試験のあり方を検討した。
また、外国医師に対する日本語診療能力を評価する方法を確認し、実際の調査で応用し、検証を行った。
結果と考察
医師国家試験については、医師として必要な知識を問うだけではなく、臨床技能、医師としての態度をも評価できるような試験のあり方について議論した。具体的には、臨床能力評価を導入した場合に知識問題の出題数、課題等について議論した。臨床能力評価の導入については、並行して研究している日本語診療能力調査での臨床能力の評価が参考になると考えられた。
 日本語診療能力調査については、外国医師が日本で適正な医療を行うのに必要な会話能力、コミュケーション能力、診療能力を適正に評価できる調査法を開発し、研究では、まず診療能力を適正に評価できる調査法の研究開発を行った。また、外国医師の便宜をはかるため、日本語診療能力調査に関する厚生労働省の「医師国家試験受験資格認定について」を英訳した。
 本研究で検討した成果は平成25年度の日本語診療能力調査の改善に有用であり、さらに次年度以降の日本語診療能力調査にも応用可能である。また、外国医師を対象にした日本語診療能力調査をより発展させ、日本の医学部を卒業した者に対する臨床技能評価にも適応できるようなシステムの構築に貢献することが期待される。
結論
1.医師国家試験の在り方にかかる研究
 現行の医師国家試験を解析し、問題の質・量についての議論を行った。実際の臨床例を用いた問題
を多くし、視覚素材を用いるなど、実際の臨床に近い形での評価が求められた。問題数については、
臨床実習前共用試験との連携を保つことで、より適正な出題数が可能であると考えられた。
 現行では臨床技能・態度を評価するのに限界がある。これを解消するために、筆記試験だけでなく
客観的臨床能力試験(OSCE)の導入を検討した。より臨床実習を充実し、医学生の臨床能力を高める
ためにも、各医学部で卒前OSCEを適正に実施していくことの必要性が考えられた。
 なお、グローバル化の中で、国際レベルでの医学教育、国家試験が望まれる。このため、国際基準
に則った医学教育を実施し、医学教育の質保証を実施していくことの重要性が結論された。また、
日本が医学を導入したドイツを始め、諸外国での医学教育、医師資格試験のあり方を研究することは
意義深い。本研究では、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国の医師資格試験の
あり方を調査研究し、わが国の医師国家試験の改善の参考とすることができた。
2.日本語診療能力調査にかかる検討
 外国医学部を卒業した医師が日本で日本語を駆使して日本で診療行為が円滑にできるには、「聴く能力」、「話す能力」、「書く能力」、「読み取る能力」、「診察する能力」のいずれもが日本で教育を受けた医師と同等以上の能力を持っていることが要求される。このため、これら5つの能力を適正に評価する調査法を開発し、実際に平成25年度の調査で実施し、適正な評価を行うことができた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201325060C

収支報告書

文献番号
201325060Z