文献情報
文献番号
201325018A
報告書区分
総括
研究課題名
第七次看護職員需給見通し期間における看護職員需給数の推計手法と把握に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
小林 美亜(千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 伏見清秀(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 )
- 白岩健(国立保健医療科学院 研究情報研究支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,367,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、1)「第七次看護職員需給見通し」の需給見通し期間で実際に生じた看護職員の需給数の把握を行うとともに、平成21年度に実施された「第七次看護職員需給見通し」に係る調査(以下、見通し調査)」の需要の予測数とそれらを比較し、乖離が認められた場合には、その要因を検討すること、2.平成24年末の潜在看護職員数を推計すること、3.本研究結果やヒアリング調査等を通じて第八次看護職員需給見通し策定に向けた看護職員の需要把握方法を検討することを目的とした。
研究方法
1.見通し調査の需要予測の妥当性検討:平成23年から平成27年の需要予測数の増加率の高位群、中位群、低位群の各カテゴリから一県を抽出し、各県の病院を対象とした全数調査を実施した。得られた回答から、A県(高位群)、B県(中位群)、C県(低位群)の平成25年の実際の需要数、平成24年(1年間)の実際の供給数を推計した。これらの推計値を活用し、平成23年、平成24年の実際の需要数、平成23年の実際の供給数についても推計し、各県において、平成23年~25年における見通し調査の需要予測数と本調査の実際の需要数とを比較し、乖離率を算出した。また、乖離がみられた場合には、その要因についても把握した。参考として、県ごとに、実人員ベースで、平成23年における見通し調査の看護職員の充足率(県全体)と実際の充足率(病院全体)との比較も行った。
2.潜在看護職員数の推計:厚生労働省が平成14年末時点で推計した、潜在看護職員数の推計方法の精緻化を図り、それに基づき、平成24年末時点の免許保持者数を算出し、看護職員就業者数を減ずることで、潜在看護職員数を算出した。
3.第八次看護職員需給見通しにおける需要の把握方法:現場の看護管理者からのヒアリング結果や予測された需要数と実際の需要数との乖離要因等を踏まえ、検討を行った。
2.潜在看護職員数の推計:厚生労働省が平成14年末時点で推計した、潜在看護職員数の推計方法の精緻化を図り、それに基づき、平成24年末時点の免許保持者数を算出し、看護職員就業者数を減ずることで、潜在看護職員数を算出した。
3.第八次看護職員需給見通しにおける需要の把握方法:現場の看護管理者からのヒアリング結果や予測された需要数と実際の需要数との乖離要因等を踏まえ、検討を行った。
結果と考察
1.需要予測の妥当性:常勤換算ベースでは、B県、C県の平成23年~27年の乖離率は0.4~2.0%であったが、A県はB県とC県と比較して乖離率が高く、その乖離率は2.2~3.9%であった。実人員ベースでは、予測数と実際数との間に1.7~8.1%の乖離がみられた。需要の予測数と実際数の乖離要因は、病床機能分化による影響、ワーク・ライフ・バランス推進、看護職員の臨床研修の努力義務化への対応、診療報酬改定に伴う対応等であった。平成24年において、A県、B県、C県はいずれも実際の充足率は予測された充足率を下回っており、予測された供給数は過小であった。供給数の推計は、自県や他県の看護師養成校を卒業した新卒看護職員の確保数や潜在看護職員の復職者数をどれだけ見込めるかによって影響を受けることから、各都道府県ベースでこれらの情報を把握することのできる手段を講じ、供給数の予測に反映させることが必要である。
2.潜在看護職員数の推計:潜在看護職員数は699,566人であり、潜在看護職員率は32.5%であった。潜在看護職員率を性別にみると、男性が19.3%、女性が33.2%であった。年齢階層別では25歳未満が34.2%、25~29歳が31.6%、30~34歳が34.7%、35~39歳が29.4%であり、40~54歳は約30%であった。結婚・子育て世代に加え、若い世代の離職を防止し、非就業率を下げる取り組みも重要であることが示唆された。
3.看護職員の需要予測方法:平成37年の病床の機能区分に向けた各医療施設の方向性と対策、診療報酬改定の動き(入院基本料の算定の見直しによる看護職員の増減、在宅医療への移行等)、ワ-ク・ライフ・バランス等の労務管理機能や看護職員の臨床教育体制の強化、看護職員の専門性の向上等を考慮することの重要性が示唆された。また、現場が簡便に回答できる質問形式の工夫が求められることが明らかとなった。
2.潜在看護職員数の推計:潜在看護職員数は699,566人であり、潜在看護職員率は32.5%であった。潜在看護職員率を性別にみると、男性が19.3%、女性が33.2%であった。年齢階層別では25歳未満が34.2%、25~29歳が31.6%、30~34歳が34.7%、35~39歳が29.4%であり、40~54歳は約30%であった。結婚・子育て世代に加え、若い世代の離職を防止し、非就業率を下げる取り組みも重要であることが示唆された。
3.看護職員の需要予測方法:平成37年の病床の機能区分に向けた各医療施設の方向性と対策、診療報酬改定の動き(入院基本料の算定の見直しによる看護職員の増減、在宅医療への移行等)、ワ-ク・ライフ・バランス等の労務管理機能や看護職員の臨床教育体制の強化、看護職員の専門性の向上等を考慮することの重要性が示唆された。また、現場が簡便に回答できる質問形式の工夫が求められることが明らかとなった。
結論
見通し調査の見通し期間における需要の増加率が高位(A県)の県では、中位(B県)、低位(C県)の県と比較して、予測数と実際数との乖離が大きい傾向にあった。実人員ベースでは、常勤換算ベースよりもその乖離率が大きくなり、同様に高位(A県)の県で最も乖離率が大きくなっていた。実際の充足率は、A県、B県、C県のいずれも予測された充足率を下回っており、予測した供給数は過小であった。潜在看護職員数は699,566人(潜在看護職員率:32.5%)であった。看護職員の需要予測を行うためには、需要予測に必要となる要因を明確に示し、簡便な方法で回答を求めることが必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
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