文献情報
文献番号
201324035A
報告書区分
総括
研究課題名
脊柱靭帯骨化症に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-難治-一般-032
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 吉村 典子(東京大学医学部付属病院 22世紀医療センター)
- 森 幹士(滋賀医科大学 医学部)
- 吉田 宗人(和歌山県立医科大学 整形外科)
- 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学研究科)
- 池川 志郎(理化学研究所ゲノム医科学研究センター 骨関節疾患研究チーム)
- 内田 研造(福井大学 医学部)
- 川口 善治(富山大学 医学部)
- 石橋 恭之(弘前大学 医学部)
- 辻 崇(北里大学北里研究所病院 整形外科)
- 永田 見生(久留米大学 医学部)
- 山崎 正志(筑波大学 医療系学部)
- 千葉 一裕(北里大学北里研究所病院 整形外科)
- 藤原 奈佳子(愛知県立大学 看護学部)
- 中村 雅也(慶應義塾大学 医学部)
- 遠藤 直人(新潟大学 医学部)
- 松本 守雄(慶應義塾大学 医学部)
- 岩波 明生(慶應義塾大学 医学部)
- 星地 亜都司(自治医科大学 整形外科)
- 小宮 節郎(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
- 今釜 史郎(名古屋大学医学部附属病院 整形外科)
- 高畑 雅彦(北海道大学病院 整形外科)
- 小澤 浩司(東北大学大学院 医学研究科)
- 土屋 弘行(金沢大学 医学部)
- 野原 裕(獨協医科大学 整形外科)
- 山本 謙吾(東京医科大学 整形外科)
- 持田 讓治(東海大学 医学部)
- 藤林 俊介(京都大学大学院 医学研究科)
- 米延 策雄(大阪南医療センター 整形外科)
- 中原 進之介(岡山医療センター 整形外科)
- 田口 敏彦(山口大学大学院 医学研究科)
- 進藤 重雄(九段坂病院 整形外科)
- 松山 幸弘(浜松医科大学 整形外科)
- 市村 正一(杏林大学 医学部)
- 大川 淳(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
- 谷 俊一(高知大学 医学部)
- 芳賀 信彦(東京大学医学部付属病院 リハビリテーション科)
- 中島 康晴(九州大学医学研究院 臨床研究部門)
- 神薗 淳司(北九州市立八幡病院 小児科)
- 須佐美 隆史(東京大学医学部付属病院 顎口腔外科・歯科矯正歯科)
- 片桐 岳信(埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター病態生理部門)
- 鬼頭 浩史(名古屋大学大学院 医学研究科総合医学専攻)
- 川口 浩(東京大学医学部付属病院 整形外科(研究分担者前任))
- 竹下 克志(東京大学医学部付属病院 整形外科(研究分担者後任))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
92,781,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脊柱靱帯骨化症(後縦靱帯骨化症; OPLL, 黄色靱帯骨化症; OYLおよび進行性骨化性線維異形成; FOP)は異所性骨化を特徴とし、骨化巣増大に伴い多彩な神経症状やADL制限をもたらし患者QOLの低下、家族負担の増大に加えて医療費など医療経済の面からも早急な対策が望まれている。
本研究班は疫学・遺伝子解析・基礎研究・多施設共同臨床研究ならびに診療ガイドラインの策定による啓蒙などを通じて、未だに治療の困難な面が多い本症に対する有効な診断と治療体制を確立し、国民に質の高い医療環境を整備し厚生労働行政に貢献することを目的としている。
本研究班は疫学・遺伝子解析・基礎研究・多施設共同臨床研究ならびに診療ガイドラインの策定による啓蒙などを通じて、未だに治療の困難な面が多い本症に対する有効な診断と治療体制を確立し、国民に質の高い医療環境を整備し厚生労働行政に貢献することを目的としている。
研究方法
研究班では、疫学調査(吉村典子)、治療ガイドライン改訂(吉川秀樹)、ゲノム解析(池川志郎)、基礎/創薬研究(永田見生/内田研造)、診断・評価(千葉一裕)、多施設臨床研究(松本守雄)、新規画像評価(中村雅也)、脊髄モニタリング(松山幸弘)、進行性骨化性線維異形成(芳賀信彦,片桐岳信)のサブグループを構築し、研究班のスケールメリットを生かして多面的に研究を推進する。
※ ()内はサブグループのリーダー
※ ()内はサブグループのリーダー
結果と考察
疫学調査:初回調査後3年後の追跡調査で新規OPLLの発症はわずか1名であった。
ガイドライン改訂:改訂版出版を終え、引き続き啓発活動を行っている。
ゲノム解析:OPLL症例1550中1112例に関して全ゲノム相関解析を行い、6つの疾患感受性遺伝子座部位を同定した。
基礎・創薬研究:脊柱靱帯から幹細胞の同定・単離を行い、その局在や靱帯組織発現のメカニズムについて解析を行った。
多施設臨床研究:術中脊髄モニタリングのアラームポイントに関する研究では、アラームポイントを振幅の70%以下と定め、多施設合計959例の前向き研究を行い、感度95%特異度91%の良好な成績が得られた。
画像解析:OPLL患者の術前後の拡散テンソル投射路撮影(DTT)像を比較した。脊柱管狭窄率が40%を越えるとTract Fiber比が低下する症例が増加することが分かった。
進行性骨化性線維異形成(FOP): 臨床では、FOP variant例の検討を行い、世界で2例目のL196P(587T>C) mutationを同定した。基礎では、典型的FOPのALK2(R206H)を発現するトランスジェニックマウスの樹立に成功した。
ガイドライン改訂:改訂版出版を終え、引き続き啓発活動を行っている。
ゲノム解析:OPLL症例1550中1112例に関して全ゲノム相関解析を行い、6つの疾患感受性遺伝子座部位を同定した。
基礎・創薬研究:脊柱靱帯から幹細胞の同定・単離を行い、その局在や靱帯組織発現のメカニズムについて解析を行った。
多施設臨床研究:術中脊髄モニタリングのアラームポイントに関する研究では、アラームポイントを振幅の70%以下と定め、多施設合計959例の前向き研究を行い、感度95%特異度91%の良好な成績が得られた。
画像解析:OPLL患者の術前後の拡散テンソル投射路撮影(DTT)像を比較した。脊柱管狭窄率が40%を越えるとTract Fiber比が低下する症例が増加することが分かった。
進行性骨化性線維異形成(FOP): 臨床では、FOP variant例の検討を行い、世界で2例目のL196P(587T>C) mutationを同定した。基礎では、典型的FOPのALK2(R206H)を発現するトランスジェニックマウスの樹立に成功した。
結論
以上の結果を踏まえ、今後も疫学的・基礎的・臨床的など多面的なアプローチによるデータの集積を行いながら、脊柱靱帯骨化症・進行性骨化性線維異形成に対する診断・治療体制の構築を目指し、国民に役立つ医療に還元していく所存である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
-