ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
201324022A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究
課題番号
H23-難治-一般-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター )
研究分担者(所属機関)
  • 宝金 清博(北海道大学医学研究科)
  • 冨永 悌二(東北大学医学系研究科)
  • 宮本 享(京都大学医学研究科)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 小泉 昭夫(京都大学医学研究科)
  • 中川原 譲二(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 黒田 敏(富山大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
11,324,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
橋本班では従来のもやもや病診断治療ガイドラインを英訳し作成した。本年度、本研究ではまずガイドラインを通じて世界における診断治療の標準化を行うことから開始する。研究主題としては [1] 病因究明 [2] 高次脳機能障害の実態調査と画像研究、[3] 無症候性症例の予後調査、[4] 診断基準改定 とした。[1] 病因究明については家族性もやもや病の遺伝子解析を続行し感受性遺伝子の機能を検討する。 [2]高次脳機能障害のアンケートによる実態調査と神経生理学的手法による機能診断およびiomazenil SPECTによる画像診断を行う。新規治療法の開発としては多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。また小児脳梗塞急性期治療の整備や最近発展の著しい骨髄細胞による再生治療の基礎的検討を行う。また、新規研究事業として無症候性症例の登録研究であるAMORE研究を行う。また現在進行中である診断基準改定作業を進行させ、診断書作成の手引きとともに全国への啓蒙活動も行う。。
研究方法
本年度研究ではこの研究班を通じて同定された家族性もやもや病における感受性遺伝子RN213の機能解析を行いもやもや病の病因を同定する。また1000人規模のもやもや病疫学・画像データベースを作成し内科的治療法とバイパス術の効果を検証し進行例の頻度を検討する。同時に無症候性もやもや病予後調査であるAMORE studyにて無症候性もやもや病の予後を明らかにする。多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialをまとめ直接バイパス術の再出血予防効果を明らかにし、また微小出血巣を有するもやもや病患者への対応指針を立てる。脳卒中リスクの高い妊娠出産時の管理や出産において帝王切開を必要とする症例とそうでない症例の特徴を明らかにする。高次機能障害の発生頻度を明らかにする調査を行いIomazenil SPECTを用いてもやもや病患者の高次脳機能障害がもやもや病に起因するか否かの客観的指標を作成する。
結果と考察
本年度はJAM trialの最終結果が得られ、出血型もやもや病に対する直接血行再建術の効果が明らかとなった。また、AMORE studyは順調に登録症例数を増やしている。さらにもやもや病における高次脳機能を解析するCOSMO Japan studyが開始された。
結論
これまでのもやもや病研究班報告書に示されるように、本研究班からの発表は英文・邦文論文および国際学会発表を合わせ多数である。本研究班員により精力的に研究が勧められ、国内外におけるウイリス動脈輪閉塞症の研究をリードしていることは明らかである。2012年度には研究の現状をまとめた英訳ガイドラインが出版された。研究班以外からの重要知見はさしたるものは見当たらない。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201324022B
報告書区分
総合
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究
課題番号
H23-難治-一般-019
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター )
研究分担者(所属機関)
  • 宝金 清博(北海道大学医学研究科)
  • 冨永 悌二(東北大学医学系研究科)
  • 宮本 享(京都大学医学研究科)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 小泉 昭夫(京都大学医学研究科)
  • 中川原 譲二(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 黒田 敏(富山大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
橋本班では従来のもやもや病診断治療ガイドラインを英訳し作成した。本年度、本研究ではまずガイドラインを通じて世界における診断治療の標準化を行うことから開始する。研究主題としては [1] 病因究明 [2] 高次脳機能障害の実態調査と画像研究、[3] 無症候性症例の予後調査、[4] 診断基準改定 とした。[1] 病因究明については家族性もやもや病の遺伝子解析を続行し感受性遺伝子の機能を検討する。 [2]高次脳機能障害のアンケートによる実態調査と神経生理学的手法による機能診断およびiomazenil SPECTによる画像診断を行う。新規治療法の開発としては多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。また小児脳梗塞急性期治療の整備や最近発展の著しい骨髄細胞による再生治療の基礎的検討を行う。また、新規研究事業として無症候性症例の登録研究であるAMORE研究を行う。また現在進行中である診断基準改定作業を進行させ、診断書作成の手引きとともに全国への啓蒙活動も行う。
研究方法
本年度研究ではこの研究班を通じて同定された家族性もやもや病における感受性遺伝子RN213の機能解析を行いもやもや病の病因を同定する。また1000人規模のもやもや病疫学・画像データベースを作成し内科的治療法とバイパス術の効果を検証し進行例の頻度を検討する。同時に無症候性もやもや病予後調査であるAMORE studyにて無症候性もやもや病の予後を明らかにする。多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialをまとめ直接バイパス術の再出血予防効果を明らかにし、また微小出血巣を有するもやもや病患者への対応指針を立てる。脳卒中リスクの高い妊娠出産時の管理や出産において帝王切開を必要とする症例とそうでない症例の特徴を明らかにする。高次機能障害の発生頻度を明らかにする調査を行いIomazenil SPECTを用いてもやもや病患者の高次脳機能障害がもやもや病に起因するか否かの客観的指標を作成する。
結果と考察
難治性疾患克服研究事業における治療法の有効性に関する調査報告書ではもやもや病患者のうち日常生活動作(ADL)上自立していないものは8%、身体障害者手帳を有するものは3.3%、60%が月1回以下の外来受診回数である。しかし実地臨床の印象とはかけ離れた印象があり、これは重症脳卒中を生じた患者が身障者申請を行い難病登録から外れている可能性や、試算約8000-12000名の患者のうち100名規模の抽出研究であることが考えられる。さらにADLには影響しないが就学就労を困難にする最大の要因としての高次脳機能障害の問題がある。患者は常に脳虚血進行や突然の脳出血に対する不安と対峙しているが、確かに患者全員を同様に診療し続けることは厚生労働行政上非効率的である。申請研究では1000人規模のデータベースにより脳虚血進行や脳出血の頻度と生じやすい患者の特徴を明らかにし、また高次能機能障害がもやもや病に起因するか否かを判定する客観的指標を作成する。ガイドラインを作成し患者および社会啓蒙を図るため、診断治療の効率化につながり厚生労働行政上も有益と考えられる。
結論
これまでのもやもや病研究班報告書に示されるように、本研究班からの発表は英文・邦文論文および国際学会発表を合わせ多数である。本研究班員により精力的に研究が勧められ、国内外におけるウイリス動脈輪閉塞症の研究をリードしていることは明らかである。2012年度には研究の現状をまとめた英訳ガイドラインが出版された。研究班以外からの重要知見はさしたるものは見当たらない

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201324022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究ではまずガイドラインを通じて世界における診断治療の標準化を行うことから開始する。研究主題としては [1] 病因究明 [2] 高次脳機能障害の実態調査と画像研究、[3] 無症候性症例の予後調査、[4] 診断基準改定 とした。また現在進行中である診断基準改定作業を進行させ、診断書作成の手引きとともに全国への啓蒙活動も行う。
臨床的観点からの成果
臨床的観点からは[1] 病因究明については家族性もやもや病の遺伝子解析を続行し感受性遺伝子の機能を検討する。 [2]高次脳機能障害のアンケートによる実態調査と神経生理学的手法による機能診断およびiomazenil SPECTによる画像診断を行う。新規治療法の開発としては多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。
ガイドライン等の開発
従来の発表論文を整理しもやもや病診断治療ガイドラインを作成した。現在進行中の診断基準改定作業を終了し、診断基準の改訂を行う予定である。この改訂された診断基準とガイドラインを元に英訳作業にはいり、英語版ガイドラインを出版する予定である。
その他行政的観点からの成果
[1] 病因究明については家族性もやもや病の遺伝子解析を続行し感受性遺伝子の機能を検討する。 [2]高次脳機能障害のアンケートによる実態調査と神経生理学的手法による機能診断およびiomazenil SPECTによる画像診断を行う。新規治療法の開発としては多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。
その他のインパクト
市民公開シンポジウム、アジア国際会議を開催した

発表件数

原著論文(和文)
16件
原著論文(英文等)
25件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hitomi T, Habu T, Kobayashi H, et al
Downregulation of securing by the variant RNF213 R4810K (rs112735431, G>A) reduces angiogenic activity of induced pluripotent stem cell-derived vascular endothelial cells from moyamoya patients.
BBRC , 438 , 13-19  (2013)
原著論文2
Sonobe S, Fujimura M, Niizuma K. et al
Temporal profile of the vascular anatomy evaluated by 9.4-tesla magnetic resonance angiography and histopathological analysis in mice lacking RNF213; a susceptibility gene for moyamoya disease
Brain Res , 1552 , 64-71  (2014)
原著論文3
Fujimura M, Kimura N, Ezura M. et al.
Development of de novo arteriovenous malformation after bilateral revascularization surgery in a child with moyamoya disease -Case report-
J Neurosurg Pediatr , in press  (2014)
原著論文4
Fujimura M, Akagi K, Uenohara H. et al.
Moyamoya Disease in Pregnancy: A Single Institute Experience
Neurol Med Chir (Tokyo) , 53 , 561-564  (2013)
原著論文5
Mineharu Y, Takagi Y, Takahashi JC et al.
Rapid Progression of Unilateral Moyamoya Disease in a Patient with a Family History and an RNF213 Risk Variant
Cerebrovasc Dis , 36 , 155-157  (2013)
原著論文6
Liu W, Senevirathna STMLD, Hitomi T et al.
Genome-wide association study identifies no major founder variant in Caucasian moyamoya disease
J Genet , 92 , 605-609  (2013)
原著論文7
AMORE Study Group
:無症候性もやもや病の予後と治療法の確立をめざした多施設共同研究―AMORE研究について
脳卒中の外科 , 41 , 235-239  (2013)
原著論文8
藤村幹、冨永悌二
もやもや病の研究課題
脳神経外科ジャーナル , 22 , 695-698  (2013)
原著論文9
藤村幹、上之原広司、冨永悌二
もやもや病に対する頭蓋外内血行再建術における生体吸収性プレート/チタンプレートのハイブリッド使用による頭蓋骨形成
脳神経外科ジャーナル , 23 , 418-422  (2014)
原著論文10
藤村幹、清水宏明、井上敬  ほか
60歳以上の高齢もやもや病患者に対する血行再建術:周術期過灌流に注目して
脳卒中の外科 , 42 , 37-41  (2014)

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
2018-06-11

収支報告書

文献番号
201324022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,720,000円
(2)補助金確定額
14,720,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,378,262円
人件費・謝金 1,719,744円
旅費 1,478,647円
その他 1,747,387円
間接経費 3,396,000円
合計 14,720,040円

備考

備考
分担研究者2名が研究を遂行するにあたり、年度末に必要物品が発生したため、研究費に不足は生じていたが該当施設事務要領に基づき自己資金にて補填をした。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-