文献情報
文献番号
201322025A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎発症機序の解明と皮膚バリアケアによる予防法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-難治等(免)-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 斎藤 博久((独)国立成育医療研究センター研究所)
- 木戸 博(徳島大学 疾患酵素学研究センター)
- 菅井 基行(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
- 大矢 幸弘((独)国立成育医療研究センター研究所)
- 新関 寛徳((独)国立成育医療研究センター研究所)
- 海老原 全(慶應義塾大学 医学部 )
- 久保 亮治(慶應義塾大学 医学部 )
- 永尾 圭介(慶應義塾大学 医学部 )
- 佐々木 貴史(慶應義塾大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、皮膚バリア機能障害による経皮的抗原曝露の亢進がアトピー性皮膚炎をはじめとするアトピー性疾患を発症、増悪させるという観点から、アトピー性皮膚炎発症機序を解明する基礎研究と、バリアケアによるアトピー性皮膚炎発症、増悪の予防法を確立するための疫学的臨床研究を行う。基礎研究では、フィラグリン以外の新規アトピー性皮膚炎発症関連新規候補遺伝子の探索、同定を行うとともに、アトピー性疾患モデルマウスの作成、解析を行い、発症機序の解明をめざす。臨床研究では、H22年度から開始された「適切なスキンケア、薬物治療方法の確立とアトピー性皮膚炎の発症・増悪予防、自己管理に関する研究」を継続、発展させることにより、スキンケア、バリアケアによりアトピー性皮膚炎の発症、増悪を予防することが可能か、疫学的研究を行う。
研究方法
1)角層バリア機能障害を有するアトピー性疾患発症関連新規候補遺伝子の同定
flaky tailマウスのmatted変異を同定し、そのヒト相同遺伝子のAD患者及びコントロールでの解析を行った。
2)スキンケアによる乳児湿疹・アトピー性皮膚炎予防に関するランダム化介入試験
研究デザインは無作為化オープン並行群間試験で、生後1週未満の健康な新生児を対象とし、スキンケアを予防的(proactive)に実施する群と必要時(reactive)に実施する群に分け、32週間指定されたスキンケアを継続し、アトピー性皮膚炎の発症率を比較した。途中、4週、12週、24週、32週と外来でフォローし、皮膚バリア機能の指標であるTEWL(transepidermal water loss)、角質水分量の測定と、皮膚黄色ブドウ球菌の有無を調べるための皮膚ぬぐい液の採取を行った。
flaky tailマウスのmatted変異を同定し、そのヒト相同遺伝子のAD患者及びコントロールでの解析を行った。
2)スキンケアによる乳児湿疹・アトピー性皮膚炎予防に関するランダム化介入試験
研究デザインは無作為化オープン並行群間試験で、生後1週未満の健康な新生児を対象とし、スキンケアを予防的(proactive)に実施する群と必要時(reactive)に実施する群に分け、32週間指定されたスキンケアを継続し、アトピー性皮膚炎の発症率を比較した。途中、4週、12週、24週、32週と外来でフォローし、皮膚バリア機能の指標であるTEWL(transepidermal water loss)、角質水分量の測定と、皮膚黄色ブドウ球菌の有無を調べるための皮膚ぬぐい液の採取を行った。
結果と考察
1)角層バリア機能障害を有するアトピー性疾患発症関連新規候補遺伝子の同定
マウスMatted変異最小責任領域を次世代シーケンサーで解読した結果、Tmem79 p.Y280*変異を同定した。このTmem79はマウス内に相同遺伝子はなく、ヒトでも同一の遺伝子構造を有するTMEM79遺伝子が存在していた。そこで、AD患者250人及び健常人コントロール100人において、ナンセンス変異やAD患者とコントロールの間で有為な差がある変異は同定されなかった。
2)スキンケアによる乳児湿疹・アトピー性皮膚炎予防に関するランダム化介入試験
2013年11月18日現在、118例より参加同意を得ている。そのうち、出産後の母体、児の体調不良などでリクルート基準に達しなかった児を除く116例がランダム化登録を完了した。(Proactive群61例:、Reactive群57例)研究参加開始後、研究を開始できなかった2例と同意撤回の7例を除く109例(Proactive群57例、Reactive群:52例)が解析の対象となった。アトピー性皮膚炎に乳児湿疹A(掻痒を伴うが、出現から4週間以内の皮疹)を加えアウトカムとするとp値は0.018となった。このことから、乳児湿疹Aがその後アトピー性皮膚炎に進展するかを再検討する必要があると考え、フォロー期間を36週(32週+4週)としてアウトカムを再計算したところ、36週時点でのアトピー性皮膚炎の発症はReactive群で有意に高くなることが分かった(p=0.049)。副次的評価項目である皮膚バリア機能(TEWL、角質水分量)や特異的IgEは現在結果の集計中である。
マウスMatted変異最小責任領域を次世代シーケンサーで解読した結果、Tmem79 p.Y280*変異を同定した。このTmem79はマウス内に相同遺伝子はなく、ヒトでも同一の遺伝子構造を有するTMEM79遺伝子が存在していた。そこで、AD患者250人及び健常人コントロール100人において、ナンセンス変異やAD患者とコントロールの間で有為な差がある変異は同定されなかった。
2)スキンケアによる乳児湿疹・アトピー性皮膚炎予防に関するランダム化介入試験
2013年11月18日現在、118例より参加同意を得ている。そのうち、出産後の母体、児の体調不良などでリクルート基準に達しなかった児を除く116例がランダム化登録を完了した。(Proactive群61例:、Reactive群57例)研究参加開始後、研究を開始できなかった2例と同意撤回の7例を除く109例(Proactive群57例、Reactive群:52例)が解析の対象となった。アトピー性皮膚炎に乳児湿疹A(掻痒を伴うが、出現から4週間以内の皮疹)を加えアウトカムとするとp値は0.018となった。このことから、乳児湿疹Aがその後アトピー性皮膚炎に進展するかを再検討する必要があると考え、フォロー期間を36週(32週+4週)としてアウトカムを再計算したところ、36週時点でのアトピー性皮膚炎の発症はReactive群で有意に高くなることが分かった(p=0.049)。副次的評価項目である皮膚バリア機能(TEWL、角質水分量)や特異的IgEは現在結果の集計中である。
結論
本研究の成果により、アトピー性疾患の発症に関与する皮膚バリア機能関連遺伝子の同定がなされ、アトピー性皮膚炎発症における病態が確実に解明されてきている。さらに、スキンケア、バリアケアによりアトピー性皮膚炎の発症、増悪を予防すること可能であることが、ランダム化介入試験により示されつつある。皮膚バリア機能を補正することによりアトピー性疾患の発症、アレルギーマーチを予防、抑制することができれば、厚生行政に多大なる貢献が期待される。
公開日・更新日
公開日
2014-07-31
更新日
-