文献情報
文献番号
201321017A
報告書区分
総括
研究課題名
B型肝炎創薬実用化等研究事業の評価等に関する研究
課題番号
H24-B創-肝炎-指定-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
正木 尚彦(独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 B型肝炎創薬実用化等研究経費
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
41,667,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
B型肝炎創薬実用化等研究事業は平成24年度から開始され、原則として向こう3~5年間は同一研究班で継続されることになる。本事業を適切かつ円滑で効果的に実施することは、厚生労働省の肝炎対策の推進において必須であり、研究成果の評価等が適切に行われることが必要不可欠である。平成25年度の研究目的として、以下の2項目を重点課題とした。
研究方法
1)研究の企画・評価に関する機能の整備:研究協力者等の研究班会議への参加による研究内容の把握、および、評価委員会への情報提供を綿密に行うこととする。
2)B型肝疾患患者を対象とした全国的な意識調査:研究協力者として、任期付き常勤研究員(医師職)を雇用し、「B型肝炎に対する新しい治療法開発のためのアンケート調査」を企画した。調査票の内容として、患者の各種背景因子、診断名(無症候性キャリア、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌等)、治療歴、治療効果、有害事象の有無・詳細、抗ウイルス療法に対する患者意識調査等を盛り込んだ。情報収集のツールとして、平成19年度以降全国において整備されてきた都道府県肝疾患診療連携拠点病院(70施設)と肝炎情報センターとのネットワークを全面的に活用することとした。
2)B型肝疾患患者を対象とした全国的な意識調査:研究協力者として、任期付き常勤研究員(医師職)を雇用し、「B型肝炎に対する新しい治療法開発のためのアンケート調査」を企画した。調査票の内容として、患者の各種背景因子、診断名(無症候性キャリア、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌等)、治療歴、治療効果、有害事象の有無・詳細、抗ウイルス療法に対する患者意識調査等を盛り込んだ。情報収集のツールとして、平成19年度以降全国において整備されてきた都道府県肝疾患診療連携拠点病院(70施設)と肝炎情報センターとのネットワークを全面的に活用することとした。
結果と考察
1)当初委嘱した6名(医学系4名、薬学系2名)に分子生物学系1名を加えた7名のプログラムオフィサー体制で、18研究班(2年目に2研究班が追加)が実施する班会議に出席し研究内容の把握、および、評価委員会事務局への情報提供を綿密に行っている。さらに、理化学研究所創薬部門のプログラム・ダイレクターに評価委員会事務局アドバイザーを委嘱し、事務局機能の充実を図っている。2年目には、合同班会議開催へのシフトが加速されている。また、複数の研究班間での情報共有、共同研究の推進がきわめて重要であると考え、研究者のみ閲覧可能なホームページを平成25年10月に開設した。特に、研究者間での意見交換の場(「掲示板」)として、「アナウンス・ディスカッションボード」を設けている。平成25年度中に開催された21回の班会議(合同班会議含む)、PO報告書について総括研究報告書の添付資料としてまとめた。また、2年目には、18研究代表者を対象とした研究発表会、および、評価委員会を平成26年1月30日に開催し、研究成果の評価、ならびに次年度への継続が妥当か否かについての議論が行われた。
2)全国63施設(61拠点病院+国立国際医療研究センターセンター病院・国府台病院)の研究協力が得られており、5,784部の調査票を配布し、平成26年1月末までに3,021件の回答が得られた(回収率51.4%)。単純集計の詳細な解析結果は分担研究報告書として記載することにするが、要約すると、核酸アナログ服用者は64%、インターフェロン治療歴は24%に認めた。核酸アナログ製剤に対する満足度は高率であったが、治療期間、費用に対する不安が多かった。インターフェロン製剤に対する満足度は低率であり、効果、費用、副作用に対する不安が認められた。満足度、不安、中断誘惑において、医師の説明の重要性が明らかとなった。満足度と治療効果は関連するものの、医師による説明不足を感じていない人に満足が多かった。医師の説明で不足を感じている人は、不安や中断したいと思う傾向が認められた。また、病院や行政が提供する支援について、全体では医療費助成を有用とするものが最も多かった一方で、治療効果へ満足であった人において有用とされた支援は、肝臓疾患についての情報提供が最も多く、疾患や治療に対する理解を深めることが満足度へ寄与する可能性が考えられた。新薬に期待する効果として、ウイルス排除、発がん抑制が多く挙げられた。肝硬変、肝がん患者において、発がん抑制への期待が高い傾向にあり、治療に付随する負担も許容する傾向を認めた。
2)全国63施設(61拠点病院+国立国際医療研究センターセンター病院・国府台病院)の研究協力が得られており、5,784部の調査票を配布し、平成26年1月末までに3,021件の回答が得られた(回収率51.4%)。単純集計の詳細な解析結果は分担研究報告書として記載することにするが、要約すると、核酸アナログ服用者は64%、インターフェロン治療歴は24%に認めた。核酸アナログ製剤に対する満足度は高率であったが、治療期間、費用に対する不安が多かった。インターフェロン製剤に対する満足度は低率であり、効果、費用、副作用に対する不安が認められた。満足度、不安、中断誘惑において、医師の説明の重要性が明らかとなった。満足度と治療効果は関連するものの、医師による説明不足を感じていない人に満足が多かった。医師の説明で不足を感じている人は、不安や中断したいと思う傾向が認められた。また、病院や行政が提供する支援について、全体では医療費助成を有用とするものが最も多かった一方で、治療効果へ満足であった人において有用とされた支援は、肝臓疾患についての情報提供が最も多く、疾患や治療に対する理解を深めることが満足度へ寄与する可能性が考えられた。新薬に期待する効果として、ウイルス排除、発がん抑制が多く挙げられた。肝硬変、肝がん患者において、発がん抑制への期待が高い傾向にあり、治療に付随する負担も許容する傾向を認めた。
結論
研究事業の事務局機能を整備したことで、平成26年度には3年目となる本研究事業の推進を加速させている。患者アンケート調査は、現行のB型肝疾患治療の実態と限界を明らかにした。今後、データマイニング、テキストマイニング解析を駆使し、新規薬剤に対する患者のニーズがより明確化すれば、本研究事業全体の進むべき方向性に示唆を与える道標となることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2015-06-03
更新日
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