科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201320014A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究
課題番号
H25-肝炎-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
熊田 博光 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院 肝臓センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡上 武(大阪府済生会吹田病院 )
  • 豊田 成司(北海道厚生連札幌病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科生物統計学教室)
  • 竹原 徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科)
  • 四柳 宏(東京大学医学部付属病院感染症内科)
  • 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院消化器科)
  • 松本 晶博(信州大学医学部付属病院消化器科)
  • 鈴木 文孝(国家公務員共済組合連合会虎の門病院肝臓センター)
  • 坂本 穣(山梨大学医学部肝疾患センター)
  • 川上 由育(広島大学病院臨床研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年度科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究班のガイドラインは、日本におけるエビデンスデータを基にウイルス性肝炎診療ガイドラインを作成した。
研究方法
全国の班員・班友からの基礎・臨床データを主に日本人のエビデンスデータからガイドラインを作成した。
結果と考察
平成26年は、C型慢性肝炎で第二世代のprotease inhibitorが認可されC型慢性肝炎治療の基本指針は、C型慢性肝炎・肝硬変において肝機能の異常値が長期化や高齢化すると肝細胞がんの発生頻度が上昇することからウイルス排除が可能な症例はできるかぎり早期に治療を開始すべきでgenotype,SNPs(IL28B),ウイルスの変異(ISDR, Coreaa70,IRRDR)および薬剤耐性等により治療効果が異なることから、治療前に治療効果に関与する因子を十分検討して治療を開始すべきである。DAA製剤は治療前から薬剤耐性が一定頻度で存在しさらに治療後にも新たな薬剤耐性が出現し治療が無効となることを留意する必要がある。治療法は今後も毎年新たな治療薬が開発されていることから、治療法の進歩に注視する必要がある。とした。また、本年度からGenotype 1高ウイルス量症例には、Peg-IFNα(24週)+Ribavirin(24週)+Simeprevir(12週)の保険認可がおりたことから初回治療のガイドラインの第一選択とした。Genotype2低ウイルス量症例のIFN単独治療では、2週以内にHCV RNAが陰性化する症例では、8~16週に短縮することも可能とした。再治療ガイドラインは、genotype 1前治療無効例では、安全性の面からsimeprevir 3剤併用療法を第一選択としたが、IFN不耐用症例では、IFN freeの次世代治療を待つのも選択肢とした。B型慢性肝炎治療の基本指針は、血中HBV DNA量が持続的に一定以下となればALTも正常値が持続し、肝病変の進展や発癌が抑制され、 さらにHBs抗原が陰性化すればより一層発癌率が低下少する。したがって治療目標は、核酸アナログとIFN(PEG-IFN)を使用し、HBe抗原陰性化とHBV DNA量を持続的に低用量に保つことを第一目標とし、最終的にはHBs抗原陰性化を目指す。ただし、HBV 持続感染者は通常、1)免疫寛容期, 2)HBe抗原陽性慢性肝炎期、3)HBe抗体陽性慢性肝炎期、4)非活動性慢性肝炎期、5)回復期(HBs抗原陰性期) のいずれかの時期にあり、多くは自然経過で1)~5)の経過をとるため、治療に際してはHBV carrierのnatural historyを十分理解した上で、個々の症例に適した治療開始時期や治療法を決める事が重要である。治療薬剤にはIFN(PEG-IFN)と核酸アナログ(lamivudine, adefovir, entecavir, tenofovir)がある。IFN(PEG-IFN)の抗ウイルス効果は弱いが耐性株の出現はなく免疫増強作用がある。核酸アナログ製剤は強い抗ウイルス効果を発揮するが耐性株出現の危険性を有する。ただし、entecavir, tenofovirでは耐性ウイルス出現の可能性は極めて低い。治療適応決定にはHBV DNA量、ALT値、肝病変(炎症、線維化)の程度が重要で、年齢、性、HBV遺伝子型(母子感染でgenotype Cかつ高ウイルス量例はIFNに抵抗性)なども参考にする。治療に際しては、特に35歳未満、genotype A, B, ALT31IU/L以上の症例では、HBs抗原陰性化を目指すことが望ましい。一方、35歳以上でgenotype C, ALT31 IU/L以上の例は病期の進展と肝発癌抑制を第一目標とするが、HBs抗原陰性化は困難で、治療効率と患者負担を考慮して治療法を選択することが重要である。
結論
科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究により基礎・臨床研究に基づいたガイドラインは、日本人のエビデンスデータを基に作成しB型・C型肝炎の治癒率を向上させ日本における肝癌の発生を減少させる平成26年のガイドラインを構築した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-02-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201320014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,800,000円
(2)補助金確定額
40,821,726円
差引額 [(1)-(2)]
-21,726円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,355,336円
人件費・謝金 1,032,350円
旅費 456,440円
その他 14,177,600円
間接経費 6,800,000円
合計 40,821,726円

備考

備考
自己資金 21,722円、利息 4円 合計21,726円

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-