白杖歩行・盲導犬歩行・同行援護歩行に対応したマルチモーダル情報処理技術に基づく訓練と評価の循環支援

文献情報

文献番号
201317033A
報告書区分
総括
研究課題名
白杖歩行・盲導犬歩行・同行援護歩行に対応したマルチモーダル情報処理技術に基づく訓練と評価の循環支援
課題番号
H24-感覚-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
蔵田 武志(独立行政法人産業技術総合研究所 サービス工学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 関 喜一(独立行政法人産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門)
  • 興梠 正克(独立行政法人産業技術総合研究所 サービス工学研究センター )
  • 石川 准(静岡県立大学 国際関係学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,937,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スマートフォンの普及により健常者の歩行者ナビ利用が一般的になりつつあるが、視覚障害者に適したインタフェースが搭載されれば、その視覚障害者への普及も現実味を帯び、視覚障害者の外出歩行を取り巻く環境が大きく変化することが想定される。無論、歩行訓練カリキュラムや訓練現場もこの変化に適応していく必要がある。このような背景を踏まえ、本研究では、視覚障害者の多様な歩行形態に対応したナビシステムの開発、それによる歩行評価とその歩行訓練への活用、さらには、訓練と評価との間の情報循環支援の将来的な実現への寄与をその目的とする。
研究方法
H24年度のFSにおいては、音声ナビには専用機を用い、歩行状況の計測やその履歴記録のためにも別途複数の機材を装着・携帯する必要があった。脳波や心拍の計測には電極の装着が必須であるが、歩行中の動きの計測や測位、音声ガイド自体の履歴記録等については、スマートフォンに集約することが技術的には可能である。そこでH25年度は、集約可能な機能を有するスマートフォンベースの音声ナビを開発する。また、音声ナビ利用者(主に訓練生を想定)が歩行ルートを事前に把握すると共に、歩行履歴を振り返って偏軌やルートからの逸脱等を確認するための触地図、触軌跡の作成システムについても開発する。加えて、歩行中の不規則動作と音声ガイドの関係についての分析等を含む歩行評価指標設計やその計測に向けた取り組みを進める。
結果と考察
視覚障害者向けナビシステムの開発を進め、歩行中の動きの計測や測位、音声ガイド自体の履歴記録等の機能を有するアンドロイド端末ベースのシステムを開発した。歩行中の動きの計測や測位については、PDR、GPS、及び準天頂衛星測位の統合エンジンを開発した。音声ガイドは、最低限伝えるべき情報を、分岐での進路及び分岐の形状として設計、実装した(図1)。システム履歴に基づく歩行評価指標設計と歩行結果のフィードバック方法の設計については、「触軌跡」の作成支援システムを開発し、歩行後の触軌跡提供時間の効率化を図った(図3)。なお、ナビシステムや触地図・触軌跡作成支援システムの開発には、普及促進を考慮し可能な限りFOSS4Gを活用し、触地図はOpenStreetMapに基づいて記述した(図2、3)。技術、評価指標、歩行結果のフィードバック方法の検証(実証)については、H24年度取得データを用いて、音声ガイド発話中の不規則動作について検定を含む調査を行い、音声ナビがモビリティに負の寄与を与えていたことが再確認された。白杖と盲導犬の特にモビリティの認知的負荷とナビ導入との関係については、盲導犬歩行の方が音声ガイド発話中の不規則動作頻度が低い傾向があった。
結論
スマートフォンベースの音声ナビと触地図・触軌跡の作成システムの開発、及び評価指標設計を進め、来年度の本格的な実証に向けての準備が整いつつある。音声ガイドの内容の構造や構成、提供タイミングについては、その効果に注目して設計・開発を進めることが今度ますます重要となっていくものと考えられる。PDRやQZSS測位での不規則動作の自動検出が可能かどうかも検討課題の1つである。これが実現すれば、不規則動作と音声ガイドとの関係の分析を効率化し、歩行評価指標設計、特に特に安全性指標の設計に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317033Z