non-HDL等血中脂質評価指針及び脂質標準化システムの構築と基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
201315054A
報告書区分
総括
研究課題名
non-HDL等血中脂質評価指針及び脂質標準化システムの構築と基盤整備に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-015
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
寺本 民生(帝京大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三井田 孝(順天堂大学 医学部)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 山下 静也(大阪大学大学院 医科系研究科)
  • 北村 明彦(大阪がん循環器病予防センター)
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 中村 雅一(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防健診部)
  • 藤吉 朗(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者の北村明彦が大阪がん循環器病予防センター副所長兼健康開発部長から大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学准教授に変更となったが、研究基盤を大阪がん循環器病予防センターにて行いたいため、同センター循環器病予防健診部長の木山昌彦に研究分担者を変更。

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)わが国におけるnon-HDL-Cの冠動脈疾患(CAD)リスクとしての意義をLDL-Cとの比較という観点から疫学手法で検証、(2)どのような条件(患者背景・脂質レベル・採血時間など)で測定した場合にLDL-C直接法が信頼できるのか、(3)高脂血症のタイプや採血条件により直接法で測定したLDL-Cとnon-HDL-Cの関係が異なるのか、という3点を明らかにすることを目的とし、本年度は、国内外で既に報告されている疫学研究の中からnon HDL-Cと、比較できるLDL-Cのあるものを選定し、CAD発症の予測因子としていずれが優れるのか検討する。また、non HDL-Cの値を求める際に必須のTCとHDL-Cの測定精度管理について検討することとした。今年度は、新鮮血清を用いて、HDL-C直接法で測定したHDL-C値が米国疾病管理予防センター(CDC)の基準法(RMP法)で測定した値と一致するのか検討することを目的とした。
研究方法
1.疫学的検討①:non HDL-CとCADに関する文献レビューを下記条件に合致する論文を選定し、検討する。1)non HDL-Cのリスクまたは治療効果を臨床イベントで判定している論文。2)スタチンの普及以降の文献に限定。3)原著またはメタアナリシス論文。4)前向きコホート研究、nested case-control研究、無作為化比較対照試験のいずれか。5)地域住民、職域、患者集団。6)国・地域は問わない。以上の条件に合致した論文で、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012』にてnon HDL-C関連で引用した文献が全て含まれていることを確認する。
2.疫学研究②:現在進行中の住民健診として1)吹田研究6)、2)CIRCS研究7)、3)神戸研究、4)鶴岡メタボロームコホート研究、5)SESSA研究8)、について、non LDL-CとLDL-Cの関係を明らかにすることを目的に中間解析を行う。
3.血中脂質測定・評価
1) 検討1:HDL-C直接法(12社)の正確性の検討
健常人48例、疾患群119例から、食後の絶食時間に関わらず採血し、血清を分離後、4℃以下に保って24時間以内に12社のHDL-C直接法とRMP 法でHDL-Cを測定する。
2)検討2:LDL-CとHDL-C直接法の追加検討のための体制作り
来年度以降に行うLDL-CおよびHDL-C直接法の正確性の検討は、現在我が国で使用されている試薬の約9割を占める4社の試薬を対象とすることとした。プール血清を作成し、日差再現性、同時再現性、濃縮試験、クロスコンタミネーション試験を実施する。
結果と考察
1.疫学的検討①: 95件の文献について、レビューシートを作成した。その内、non HDL-C,LDL-Cのイベント発症予測能について、尤度比検定等を使って直接比較した文献は10件あり、そのうち7本がnon HDL-Cの方がLDL-Cよりもイベント予測能が高い、2本は両者がほぼ同等、1本のみがLDL-Cの方が勝っているという結果であった。少なくともnon HDL-CはLDL-Cに勝るとも劣らないイベント予測因子になるものと思われた。2,疫学的研究②:5つの進行中の住民健診研究において、non HDL-CとLDL-Cの差は、ほぼ20mg/dl前後であった。non HDL-Cをどのような目的で用いるかで、その基準値設定もなされるべきであると思われる。3,LDL-C直接法の正確性とその使用適正条件の検討:健常群では、1試薬を除きHDL-C直接法試薬で測定したHDL-C とRMPで測定したHDL-C の差(%バイアス)は、ほとんどのサンプルでNCEP基準の13%以内であった。LDL-Cの直接測定法について、自家製プール血清の日差再現性と同時再現性を検討したところ、4社の試薬ともCV値が3%未満という目標値を達成した。どのような条件であれば、LDL-Cの直接測定法を用いることができるのか検討しておくことも重要である。
結論
1、non HDL-Cの動脈硬化性疾患の予測能はLDL-Cに勝るとも劣らないものと考えられた。
2、TCの測定精度はすでに確立されているが、今回の検討から直接法によるHDL-Cの測定精度が満足できるものであることが確認された。
3、健常者では、non HDL-Cの基準値はLDL-C+20mg/dlが妥当であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,564,156円
人件費・謝金 1,177,236円
旅費 861,141円
その他 397,764円
間接経費 0円
合計 10,000,297円

備考

備考
協力者の一人が預金利息のつく口座であったため36円が発生しました。また急遽連絡事項が発生し、連絡費として自己資金から261円を捻出させていただきました。

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-