身体活動・不活動量、運動量の実態とその変化が生活習慣病発症に及ぼす影響と運動介入支援の基盤構築に関する研究

文献情報

文献番号
201315044A
報告書区分
総括
研究課題名
身体活動・不活動量、運動量の実態とその変化が生活習慣病発症に及ぼす影響と運動介入支援の基盤構築に関する研究
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
熊谷 秋三(九州大学 基幹教育院)
研究分担者(所属機関)
  • 清原 裕(九州大学 医学研究院)
  • 眞崎 義憲(九州大学 基幹教育院)
  • 山津 幸司(佐賀大学 文化教育学部)
  • 内藤 義彦(武庫川女子大学 生活環境学部)
  • 丸山 徹(九州大学 基幹教育院)
  • 米本 孝二(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
目的①は,地域住民の身体活動・運動量に関わる実態把握を行い,それらの変化に加え異なる年代群における運動習慣が死亡・生活習慣病発症に与える影響ついて検討する(久山町研究).目的②では、運動療法の実態把握と運動療法の集団介入研究を行い,その成果を臨床現場で活用可能な運動療法(介入)支援マニュアルの作成し普及をはかること(九州大学介入研究).
研究方法
A.久山町研究
研究① 異なる年齢での運動習慣と死亡率に関する前向き研究(担当:熊谷、清原)
1)研究デザイン:久山町研究第3コホートに関する前向き研究(追跡:18年)
2)アウトカム:総死亡・死因別死亡
3)暴露指標: 65歳未満、65歳以上での運動習慣

B. 九州大学介入研究
研究① 運動療法の実施情報、運動介入支援マニュアル作成の要望に関するアンケート調査(担当:丸山、眞崎、内藤)
1)調査対象機関:全国の病院(大学の付属病院含む)や健康関連施設の無作為抽出(20機関)
2)調査内容:①運動療法実施状況、②実施上の課題・対策、③マニュアル作成への要望調査
研究② 特定健診受診者で動議付け支援対象者の生活習慣等の実態と運動療法実施に関する要望に関するアンケート調査(担当:眞崎、熊谷)
1)対象者:動機づけ支援対象者 2)内容:①教室参加意志の確認と理由 ②過去の運動継続性と要因 ③教室参加の準備性
結果と考察
本研究の目的は大きく分類して二つである.研究の第1の目的(課題1)は運動療法の
実態調査および運動療法の実践に基づく成果を通して,医療機関で利用可能な運動療法支
援マニュアルを作成することである.第2の目的(課題2)は,客観的なツールを用いて評
価された日本人の身体活動量(座位行動含む)の実態調査に加え,異なる年齢での運動習
慣が健康状態に及ぼす影響に関する前向き研究を実施することであった。課題1に関しては,
アンケート調査から得られた運動療法の実施に関わる実態(実施の有無,担当者,効果,
課題など),および要望などマニュアル作成に活かすと共に,平成26年度からは医療機関
での運動療法の実施,および職域での動議付け支援者を対象とした非対面生活習慣プログ
ラムを実践し,その成果もマニュアル作成に有効利用する.また,アンケート実施機関に
は,完成した「運動療法支援マニュアル」を送るなどして,その普及をはかる予定である.
課題2に関しては,客観的ツールを用いた身体活動量,座位時間調査を既に久山町住民を対
象に2回(2009,2012)実施済みであるが,今後はアンケートベースでの調査を有効利用して,
運動量に関する調査を実施していくと共に,これらを暴露指標とした前向き研究を継続し
ていく予定である.身体活動量に関しては,産官学連携のもと「日本版身体活動ネットワ
ーク」を構築したいと考えている.また,異なる年齢での運動習慣は総死亡率の保護因子
であったが,原因別死亡率に関しては,統計パワーの課題から,その有効性は確認できな
かった.この課題に関しては,久山研究以外の大集団を対象としたコホートでの解析の必
要性があろう.
結論
1・運動療法支援マニュアルの作成調査研究
九州沖縄地区の循環器領域における基幹病院において運動療法は過半数の施設で実施されているものの専門スタッフ設備投資などが阻害要因となっていることが明らかになった。今回のアンケートは充分な回答数を得られなかったが、アンケート結果から「運動」に対する抵抗感が強いことが示唆された。今後非対面生活習慣改善プログラムを進めるにあたり、WEBアクセスの容易さや運動への抵抗感を軽減させ、興味を持たせるシステム構築が必要と考える。「CPAスマートライフスタイル」の完全WEB化に取り組み、抵抗とで提供可能な通信型行動変容プログラムを構築した。
2・身体活動量の実態調査と運動疫学研究
久山町住民の3軸加速度センサー活動量計によって測定された身体活動の実態が明らかとなった。男女ともに年齢階級に関係なく身体活動量が不足していることが示唆された。65歳未満及び65歳以上における余暇時の運動習慣は、他の危険因子と独立して総死亡リスク低下と関連した。大阪府内の事業所を対象とした研究コホートの解析から、若いときクラブ活動に熱心でも、社会人となり運動習慣が失われると、元々運動習慣がない群よりも肥満になりやすく、循環器疾患リスクが高まる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315044Z