生活習慣病予防や身体機能維持のためのエネルギー・たんぱく質必要量の推定法に関する基盤的研究

文献情報

文献番号
201315024A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病予防や身体機能維持のためのエネルギー・たんぱく質必要量の推定法に関する基盤的研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田中 茂穂(国立健康・栄養研究所 基礎栄養研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 和子(国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
  • 木戸 康博(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
  • 吉田 英世(東京都健康長寿医療センター研究所 老年医学)
  • 引原 有輝(千葉工業大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,819,000円
研究者交替、所属機関変更
以下の研究者は、初年度(24年度)は研究分担者であったが、学内業務多忙のため、2年度目からは加わらないこととなった。 海老根 直之(同志社大学 スポーツ健康科学部 准教授)

研究報告書(概要版)

研究目的
「日本人の食事摂取基準」におけるエネルギーおよびたんぱく質の必要量に関して、特に高齢者や小児における日本人の知見が乏しい。そこで、これらの値を決定するとともに推定法を改善・確立することが、本研究の主な目的である。
研究方法
1)自立した高齢者男女を対象に、二重標識水法に基づく総エネルギー消費量および基礎代謝量と、それらから得られる身体活動レベルのデータの収集を継続した。2年度目は、測定希望者62名全員に歩数調査を行い、国民健康・栄養調査の歩数調査結果に近くなるよう、対象者を18名に限定して測定を実施した。
2)そのうちの健康な70~74歳の日本人高齢者(男性6名、女性4名)を対象に、指標アミノ酸酸化 (Indicator Amino Acid Oxidation; IAAO)法によるたんぱく質代謝要求量の測定を実施した。被験者は、実験日に、9:00から18:00まで1時間ごとに、基礎代謝量×1.5kcal/日の1/12量のエネルギーおよび1日摂取量の1/12量のたんぱく質を含む実験食を摂取した。実験食は、たんぱく質源として玉子焼きを用い、体重当たりの摂取たんぱく質量は、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2および1.4 g/kg/日とした。
3)中学生を対象に、1年生から2年生ならびに2年から3年生の身体活動量および体力の経年変化について、1年間にわたって追跡した。
結果と考察
1)75歳以上の女性以外では、かなり歩数を一致させることができたが、75歳以上の女性では、改善はしたもののまだ高めの値になっており、活動的でない75歳以上の女性の対象者を追加する必要がある。また、初年度の対象者について、DLW法のサンプルを分析した結果、身体活動レベルについて、現在の食事摂取基準より高めの数値が得られた。
2)得られたたんぱく質代謝要求量は1.20 g/kg BW/dayで、現在のたんぱく質必要量(0.85 g/kg BW/day)よりかなり大きな値が得られた。また、昨年度の検討では、75~79歳で1.28 g/kg BW/dayと算出されており、70歳代の二つの区分でたんぱく質代謝要求量に顕著な違いは認められなかった。高齢者では若年成人と比較して、より多くのたんぱく質を摂取する必要があると考えられた。
3)中学1年生から2年生にかけては身体活動量、特に高強度に従事した時間が微増(3分)し、2年生から3年生にかけては、歩数が約4000歩および中高強度活動に従事した時間が約40分減少したことが明らかになった。
結論
以上のように、高齢者や小児を中心に、総エネルギー消費量や身体活動レベル、基礎代謝量推定法の問題点を指摘するとともに、新たな方法を提示した。まだ最終結果ではないが、現時点では、高齢者における身体活動レベルやたんぱく質必要量のいずれも、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」に示された値より高めとなっている。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315024Z