文献情報
文献番号
201314002A
報告書区分
総括
研究課題名
標準治療抵抗性神経膠芽腫に対するペプチドワクチンの第Ⅲ相臨床研究
課題番号
H23-がん臨床-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 恭悟(久留米大学 がんワクチンセンター)
研究分担者(所属機関)
- 寺崎 瑞彦(久留米大学 医学部)
- 山田 亮(久留米大学 先端癌治療研究センター)
- 笹田 哲朗(久留米大学 医学部)
- 杉田 保雄(久留米大学 医学部)
- 藤巻 高光(埼玉医科大学 医学部)
- 成田 善孝(独立行政法人国立がん研究センター)
- 西川 亮(埼玉医科大学 国際医療センター)
- 井上 亨(福岡大学 医学部)
- 上羽 哲也(福岡大学 医学部)
- 栗栖 薫(広島大学 医学部)
- 杉山 一彦(広島大学 医学部)
- 青木 友和(国立病院機構 京都医療センター)
- 出口 誠(山口大学 大学院医学系研究科)
- 竹島 秀雄(宮崎大学 医学部)
- 冨永 悌二(東北大学 大学院医学研究科)
- 小林 浩之(北海道大学 医学部)
- 田宮 隆(香川大学 医学部)
- 永根 基雄(杏林大学 医学部)
- 廣瀬 雄一(藤田保健衛生大学 医学部)
- 伊達 勲(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 隈部 俊宏(北里大学 医学部)
- 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,334,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、進行、再発、難治がんに対する新規の治療法確立を最終目的として、まずHLA-A24陽性のテモゾロミド治療抵抗性膠芽腫患者を対象としたテーラーメイドペプチドワクチン投与の有効性と安全性を検証する臨床試験を第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較試験として実施して医薬品承認を目指す。その後適応拡大を目指す。
本年度上半期には、追加施設として、高知大学、北里大学、京都大学のIRB承認を得て、治験参加者の目的達成を目指した。平成26年3月10日時点の同意取得例は75例、そのうち、スクリーニング脱落例(36例)を除いた本登録例は39例であり、死亡イベントは24例で確認されている。また、重篤な有害事象(SAE)は18例21件で発現しているが、いずれの事象も治験薬との因果関係は否定されている。なお、これらのSAEについては、その都度、全施設の治験責任医師へ報告し、各先生方から意見書を取得している。
本年度上半期には、追加施設として、高知大学、北里大学、京都大学のIRB承認を得て、治験参加者の目的達成を目指した。平成26年3月10日時点の同意取得例は75例、そのうち、スクリーニング脱落例(36例)を除いた本登録例は39例であり、死亡イベントは24例で確認されている。また、重篤な有害事象(SAE)は18例21件で発現しているが、いずれの事象も治験薬との因果関係は否定されている。なお、これらのSAEについては、その都度、全施設の治験責任医師へ報告し、各先生方から意見書を取得している。
研究方法
本研究の体制は、膠芽腫に対するテーラーメイドペプチドワクチン第I相臨床試験(治験)及び継続投与試験(治験)での研究施設・研究試料・研究フィールドの踏襲継続を基本とする。主な変更点は企業主体の治験から久留米大学医師等による医師主導治験になることである。
目標症例数は110症例、その内訳はワクチン・BSC群73例、プラセボ・BSC群37例で、主要評価項目はワクチン群とプラセボ群の全生存期間の比較である。
本研究は患者を対象とした医師主導治験であり「薬事法」、「ヘルシンキ宣言」ならびに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」を遵守し倫理面も配慮した上で実施される。治験の実施に際しては、医薬品医療機器総合機構へ治験届出後に開始した。
目標症例数は110症例、その内訳はワクチン・BSC群73例、プラセボ・BSC群37例で、主要評価項目はワクチン群とプラセボ群の全生存期間の比較である。
本研究は患者を対象とした医師主導治験であり「薬事法」、「ヘルシンキ宣言」ならびに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」を遵守し倫理面も配慮した上で実施される。治験の実施に際しては、医薬品医療機器総合機構へ治験届出後に開始した。
結果と考察
1.生存期間曲線
ブラインド(ワクチン群とプラセボ群を併合)での生存期間中央値(MST)について、平成26年1月20日を打ち切り日とした解析対象集団37例、死亡イベント24の解析では、7.6ヵ月であった。引き続き追跡調査を行っていく。
2.今後の全体的なスケジュール
中間解析は死亡イベント35例で開催し、平成26年末~平成27年初めの実施を想定している。判定基準はハザード比とし、ITK-1とプラセボのハザード比が1.0より高値であった場合、無効中止を考慮する(効果安全性委員会における判定)。最終解析は平成28年~平成29年の実施を予定している。
3.登録目標及び実績
平成26年3月10日現在、同意取得は75例、そのうち本登録は39例である。
平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より約12カ月遅延している。
【広報活動】臨床現場の脳神経外科医への認知度を上げるため以下の学会にて口演、治験展示ブース、ポスター/チラシ設置、ランチョンセミナー、サンライズセミナーなどを開催した。
【重篤な有害事象】平成26年3月10日時点までに発現した重篤な有害事象は21件報告されたが、いずれの事象も治験薬との因果関係は否定された。
4.研究成果の意義及び今後の発展性
(1) がんペプチドワクチンが実用化された暁には所謂標準治療抵抗性の多くのがん患者への福音となると思われる。また共通がん関連抗原由来ペプチドを用いているので、膠芽腫以外のがん患者に対しても、適応症拡大の可能性が高い。其の場合には、製薬企業の積極参加が期待でき日本から世界へがん治療薬の提供が可能になる。
(2) 日本発の抗がん剤開発は稀であり、大多数は欧米からの輸入医薬に頼っており、所謂ドラッグラグの課題を残しており、厚生労働行政の観点からも、本邦発の副作用の少ない新規抗がん剤の開発は意義が大きい。
平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より約12カ月遅延しているものの、治験薬関連の重篤な有害事象はなく、ブラインド(ワクチン群とプラセボ群の併合)での生存期間中央値も想定どおりの結果がみられていることから、症例集積遅延以外は順調に進捗しているものと考えている。
目標症例数は110例で計画しているが、エントリー期間の平成27年10月末までの症例数は86例になることが見込まれる。その結果をうけて検出力は80%から75%前後に低下するものの主目的は評価可能と考える。
ブラインド(ワクチン群とプラセボ群を併合)での生存期間中央値(MST)について、平成26年1月20日を打ち切り日とした解析対象集団37例、死亡イベント24の解析では、7.6ヵ月であった。引き続き追跡調査を行っていく。
2.今後の全体的なスケジュール
中間解析は死亡イベント35例で開催し、平成26年末~平成27年初めの実施を想定している。判定基準はハザード比とし、ITK-1とプラセボのハザード比が1.0より高値であった場合、無効中止を考慮する(効果安全性委員会における判定)。最終解析は平成28年~平成29年の実施を予定している。
3.登録目標及び実績
平成26年3月10日現在、同意取得は75例、そのうち本登録は39例である。
平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より約12カ月遅延している。
【広報活動】臨床現場の脳神経外科医への認知度を上げるため以下の学会にて口演、治験展示ブース、ポスター/チラシ設置、ランチョンセミナー、サンライズセミナーなどを開催した。
【重篤な有害事象】平成26年3月10日時点までに発現した重篤な有害事象は21件報告されたが、いずれの事象も治験薬との因果関係は否定された。
4.研究成果の意義及び今後の発展性
(1) がんペプチドワクチンが実用化された暁には所謂標準治療抵抗性の多くのがん患者への福音となると思われる。また共通がん関連抗原由来ペプチドを用いているので、膠芽腫以外のがん患者に対しても、適応症拡大の可能性が高い。其の場合には、製薬企業の積極参加が期待でき日本から世界へがん治療薬の提供が可能になる。
(2) 日本発の抗がん剤開発は稀であり、大多数は欧米からの輸入医薬に頼っており、所謂ドラッグラグの課題を残しており、厚生労働行政の観点からも、本邦発の副作用の少ない新規抗がん剤の開発は意義が大きい。
平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より約12カ月遅延しているものの、治験薬関連の重篤な有害事象はなく、ブラインド(ワクチン群とプラセボ群の併合)での生存期間中央値も想定どおりの結果がみられていることから、症例集積遅延以外は順調に進捗しているものと考えている。
目標症例数は110例で計画しているが、エントリー期間の平成27年10月末までの症例数は86例になることが見込まれる。その結果をうけて検出力は80%から75%前後に低下するものの主目的は評価可能と考える。
結論
申請時研究計画に沿って、症例集積遅延以外は概ね順調に経過していると自己評価している。今後はアバスチンfailure症例が増えてくることが見込まれること、また来年度は新たに2施設追加し、症例登録を加速させる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
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