母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究

文献情報

文献番号
201312021A
報告書区分
総括
研究課題名
母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究
課題番号
H25-次世代-指定-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 知行(東京大学医学部附属病院女性診療科・産科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 明(東京大学医学部附属病院小児科)
  • 山田 秀人(神戸大学大学院医学系研究科 外科系講座 産科婦人科学)
  • 齋藤 滋(富山大学大学院医学薬学研究部産婦人科)
  • 鮫島 浩(宮崎大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学)
  • 増崎 英明(長崎大学大学院医歯薬総合研究科産婦人科)
  • 金山 尚裕(浜松医科大学産婦人科学)
  • 川名 敬(東京大学医学部附属病院女性診療科・産科)
  • 井上 直樹(岐阜薬科大学感染制御学研究室)
  • 錫谷 達夫(福島県立医科大学微生物学講座)
  • 木村 宏(名古屋大学大学院医学系研究科ウィルス学)
  • 峰松 俊夫(愛泉会日南病院疾病制御研究所)
  • 森内 浩幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
  • 吉川 哲史(藤田保健衛生大学医学部小児科学)
  • 古谷野 伸(旭川医科大学小児科学)
  • 森岡 一朗(神戸大学医学部附属病院周産母子センター 小児科)
  • 小林 廉毅(東京大学医学系研究科公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
61,500,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者:井上 直樹 国立感染症研究所(平成25年8月2日~平成25年9月30日) → 岐阜薬科大学薬学科感染制御学研究室(平成25年10月1日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
母子感染症による後遺症は早期介入・治療により予後改善が可能であることが示されてきており、予防、診断、治療の包括的な医療体制の構築が求められている。しかし、研究レベルで母子感染の新たな診断や治療技術が開発されてきているが、我が国では導入されていない。特に頻度が高いサイトメガロウイルス(CMV)については、300人に1人という高い率で発生しているが、我が国では妊婦の血清学的なハイリスク診断技術であるAvidity検査が未承認であり、また、新生児の確定診断である尿DNA診断技術についても未承認である。また先天性CMV感染児の治療については、海外では難聴などの症候性の児に対する抗ウイルス治療の治験が行われているが、我が国では実態は不明である。一方、トキソプラズマ感染は、頻度がより低いものの、その実態は不明である。海外では薬剤による治療が一般化している現状があるが、国内での販売はない。さらに、我が国では妊婦での血清学的なハイリスク診断技術であるAvidity検査も未承認である。こうした問題を解決するために、本研究では、CMVとトキソプラズマの母子感染について、妊婦のAvidity検査法と感染児のCMV尿DNA診断法を中心に、包括的な医療体制の基盤となる医療技術の開発を行うことを目的とする。
研究方法
新生児CMV診断開発と中央検査体制に関しては、CMV感染症のDNA診断技術の体外診断用医薬品化に向け、リアルタイムPCR法等による尿中CMVDNA検査のValidation作業と、新生児CMVスクリーニング法のための尿採取ろ紙選定をした。また先天性CMV感染疑い症例に対するDNA診断体制を作った。また妊婦診断開発と中央検査体制については、CMVおよびトキソプラズマのAvidity検査開発に向け、感染者の保存検体と妊娠経過中初感染の妊婦血清を用いて、Avidity検査の標準化と臨床的有用性等の評価を行うため、臨床検体収集手順を決定した。また、感染疑い妊婦のavidity検査体制を作った。感染児レジストリ・治療薬開発・コホート調査については、当研究班で診断を行った児についてのレジストリを行うための準備い、先天性CMVフォローアップ推奨時期内容を調整した。さらにバルガンシクロビルによるCMV治療について、血中濃度推移、ウイルス学的・臨床的有効性、副作用の評価を行った。CMVとトキソプラズマの母子感染の国内相談体制について、感染の可能性がある妊婦に情報提供を行なう指針と、母子感染予防についての一般向けパンフレットとを、班として作成する手順を決定した。また、本班研究目的達成のための基礎研究、臨床的研究を、各研究者が行った。本研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守し、個人情報管理に万全を期して実施した。また研究者の利益相反管理の申出を、所属機関での利益相反委員会あるいは倫理委員会に対して行った。
結果と考察
新生児CMV診断開発およびハイリスク妊婦診断の血清学的Avidity検査法について、各研究施設での研究倫理承認をほぼ終えることができた。また、検査法開発に参加する共同研究企業の選定を行い、その結果、新生児CMV診断開発3社、血清学的Avidity検査法4社の計7社と東京大学の間で共同研究契約を結んだ。新生児CMV診断については、計画通り検査法のValidationの第一段階が終了し、今後生体試料での検定に進む予定となっている。新生児CMV診断の中央検査体制およびレジストリは開始準備が終了した。診断サービスはインターネット上で情報提供を行う準備が終了し、今後国内医療機関から依頼を受けハイリスク児の確定診断を行うことになっている。感染陽性患児については、研究班として地域を分担して班員が対応について相談を行う体制を作成した。また、レジストリを含むフォローアップについて研究班として統一した方針を確定した。妊婦での母子感染リスク評価法のためのハイリスク妊婦の血清学的Avidity検査法については、班員各施設での感染者の保存検体について調査を行った。その提供を受け、個人情報を保護した上で、参加希望各社の検査法・検査キットの検定比較を行う準備を終了した。CMVのAvidity検査については、IgG陽転が確認された初感染の妊婦血清を用いた前向き研究を、トキソプラズマのAvidity検査についてはIgM陽性が確認された妊婦血清を用いた前向き研究を、それぞれ開始し、患者登録および検体の収集を現在行っている。感染疑い妊婦の血清学的Avdity検査による母子感染リスク診断については、研究班として準備を終え、開始している。
結論
平成25年度は計画通りに進捗し、研究倫理申請および全体の研究班の役割分担等を完了し、後ろ向きおよび前向き研究の両方について開始することができた。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201312021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
79,950,000円
(2)補助金確定額
79,950,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 50,566,000円
人件費・謝金 4,200,000円
旅費 3,400,000円
その他 3,334,000円
間接経費 18,450,000円
合計 79,950,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
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