母子保健に関する国際的動向及び情報発信に関する研究

文献情報

文献番号
201312004A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健に関する国際的動向及び情報発信に関する研究
課題番号
H24-次世代-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
森 臨太郎(独立行政法人・国立成育医療研究センター 政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 古川 壽亮(京都大学大学院 医学研究科)
  • 大槻 克文(昭和大学横浜市北部病院)
  • 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター 小児科)
  • 堀内 成子(聖路加看護大学看護学部)
  • 原田 隆之(目白大学人間学部)
  • 米本 直裕(国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナルメディカルセンター)
  • 大田 えりか(伊東 えりか)(国立成育医療研究センター、社会医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
根拠に基づく母子保健を実現するために、母子保健分野に関する科学的根拠について、国内外の情報を網羅的かつ系統的に収集し、定期的に国内外に情報発信する体制を整備することが必要であり、本研究はこのような体制整備を通して、我が国における根拠に基づく母子保健を推進し、かつ世界の母子保健に貢献することを目的としている。少子高齢化と社会保障の今後を念頭に置くと、次世代の市民が安心して健全に育っていく社会の実現と、説明責任に耐えうる政策策定過程が必要であり、母子保健における根拠に基づく手法が強く求められている。諸外国において、科学的根拠を系統的ビューとして集積する手法は、診療方針や保健施策策定の方法論として結実しつつあるが、我が国においては、根拠に基づく医療や施策の根幹である系統的レビューの基盤整備はいまだ発展途上である。こういった状況を踏まえ、本研究の特色・独創的・新規的な点としては、①日本で初めての試みであるコクラン共同計画の妊娠出産のサテライトネットワークを構築しその基盤のもとに幅広い母子保健・次世代育成に関する科学的根拠を継続的に国内外に情報発信すること、②国内外の根拠に基づく母子保健を推進する機関や人材と緊密に連携をとりつつ以後独立して科学的根拠を集積発信できる体制を構築するために人材育成に資すること、③我が国における重要母子保健課題に関して科学的根拠に基づく費用対効果の高い予防介入を施策として提案すること、が挙げられる。
研究方法
所管課や国内外の関連機関と協議し、母子保健の現重要課題に関して、医療系データベース等を網羅
的検索し、検索された研究を系統的に批判的吟味し、結果抽出したうえで統計的に統合(メタ解析)、すなわちコクラン共同計画の方法論に沿った系統的レビューを施行・出版し、広く国内外に発信して情報共有を行っている。国内外関連機関と連携して、プロトコール作成、批判的吟味、メタ解析、結果解釈などの方法論に関するワークショップ及び、学会や教育現場における意識啓発・教育・情報提供を定期的に開催し、同時に、我が国で系統的レビューを行っている著者や研究者へ方法論や発信手法などに関するきめ細かい支援も行うことで、人材強化を行っている。今年度は、定期的にワークショップや講義・講演を実施し、人材育成を順調に行うことができている。我が国の出生届・死亡届等政府統計の分析を行い、低出生体重児や早産の情報を多角的に分析した。また、日本の母子保健における臨床研究を世界に発信するための検討を行っている。厚労省や世界保健機関、コクラン共同計画などの国内外の機関との関係を強化し、新たに連携できる人材や組織の発掘や育成を行っている。研究班の基盤整備への成果は着実に示されている。
結果と考察
系統的レビューの導入ワークショップおよび講義を日本各地の講座・研究所・大学等で延べ200名以上の参加者を得て開催し、好評を得た。またコクラン系統的レビューのプロトコールおよび系統的レビューのワークショップを行い定員30名で満席であった。本年度は、研究班全体でコクランプロトコールが6本、コクラン系統的レビューが10本出版された。母子保健分野のレビューはその内、コクランプロトコールが4本、コクラン系統的レビューが5本出版を達成し、以下の医療や政策上の重要課題に関して、最新の科学的根拠を質の高い手法でまとめ発信できた。また、結果をわかりやすい形で、医療提供者、医療のエンドユーザーに提供していき、エビデンスが活用されやすいようにする。この研究班の活動が認められて、コクラン日本支部が認定された。今後は、引き続き人材育成を強化し、系統的レビューの出版を増やしていく。
結論
少子高齢化と社会保障の今後を念頭に置くと、次世代の市民が健全に育っていく社会の実現と、説明責任に耐えうる政策策定が必要であり、根拠に基づく手法が強く求められている。外国において、科学的根拠を集積する手法は、診療方針や保健施策策定の方法論として結実しつつあるが、我が国においては、この系統的レビューの基盤整備はいまだ発展途上である。われわれは、海外関連機関の支援のもと20本の母子保健関連系統的レビューを現在まで出版し、我が国が独立して根拠に基づく母子保健政策・医療を実現するには、人材の強化を通した基盤整備の必要性がある。本年度は、コクラン系統的レビューの著者数およびコクラン系統的レビューの出版が増加し、日本コクランブランチに認定され、この研究班の基盤整備への成果は着実に示されている。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201312004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,540,000円
(2)補助金確定額
12,540,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,075,124円
人件費・謝金 8,003,733円
旅費 1,312,847円
その他 1,008,951円
間接経費 1,140,000円
合計 12,540,655円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-05-28
更新日
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